「短歌の森」に2本アップしました
①「プランゲ文庫雑誌記事索引」を読む―敗戦直後の歌人たち
プランゲ文庫記事索引から近藤芳美の削除されたという一首を追う
②「内閣情報局資料」を読む―戦時下の女性歌人たち
部外秘資料『最近に於ける婦人執筆者に関する調査』における
阿部静枝、今井邦子、五島美代子たちを追跡する
続いてマイリストにある「女性執筆者一覧」をあわせてご覧ください
①「プランゲ文庫雑誌記事索引」を読む―敗戦直後の歌人たち
プランゲ文庫記事索引から近藤芳美の削除されたという一首を追う
②「内閣情報局資料」を読む―戦時下の女性歌人たち
部外秘資料『最近に於ける婦人執筆者に関する調査』における
阿部静枝、今井邦子、五島美代子たちを追跡する
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「都市計画の見直し」というけれど・・・
4月23日(日)午後、市役所で「都市計画見直し」の市民むけの説明会が開催された。都市計画法により、大体5年ごとに実施する基礎調査にもとづいて都市計画を見直すことになっており、前回は2000年(平成12年)だったという。思えば、私は前回の見直しの前後から、都市計画の見直し=土地区画整理組合による開発の不透明性に気づき始めたといえる。今回の見直しも、いま進行中の井野東土地区画整理事業区域の一部工区の「用途地域変更」とあらたに井野南土地区画整理予定区域の市街化調整区域をはずし市街化区域とする「区域区分変更」の2件がメインなのである。
山万の開発はなぜ区画整理組合方式にシフトしたか
2000年の冬、家の近くのユーカリが丘北公園に隣接する高台に広がる雑木林の中で、突然ブルドーザーの音がうなりだし、伐採と掘削が始まった。かつては馬の牧場だったといい、注意して歩くと低い土手に囲まれているのが分かり、雑木林や赤みちは、周辺住民の散歩道であり、子供たちには格好の遊び場であった。あちこちに問い合わせてようやく、井野東土地区画整理事業の一環としての埋蔵文化財の試掘工事だとわかった。ミニコミ誌を発行していた地域の主婦たち数人で、一帯の開発業者である「山万」に出かけたところ、1998年10月に井野東土地区画整理組合準備会が、1999年に井野南土地区画整理組合準備会がすでに発足していたことを知らされた。それまでは、この井野東・井野南と称される60㌶以上の区域は、山万の第3期開発予定区域として喧伝されていた場所だった。山万の常務は「わが社だけの開発というより地域の皆様とともに開発を進めたい」ので組合方式に踏み切ったと胸を張った。完成間もないと手渡されたPR冊子「ユーカリが丘夢の百科」の地図には相変わらず「第3期開発予定区域」として色塗りされていたままで、その後、業界紙でも第3期開発を展開する発言もあったから、どっちに転んでもいいような二重体制を取っていた節がある。当時は、はじけたバブルの後遺症の真っ只中にあり、現在もそれを引きずってはいるが、不動産の下落と不況には著しいものがあった。開発区域の5割以上は山万による買収が進んでいたはずだが、組合方式によるリスクの分散や行政との連携色を強めたかったのだろう。2002年7月、山万を業務代行として井野東土地区画整理組合は認可、スタートしたのである。
説明会になぜ県の担当者は参加しないのか
そんなことを思い出していると、前に並ぶ行政担当者の紹介が始まった。市のまちづくり計画課と都市整備課から課長以下数名づつの参加である。あれっ?区域区分変更と用途地域変更という千葉県決定権限事項の説明がメインにもかかわらず、県からは一人も参加していないことになる。県の担当者は市民・県民の声に直接耳を傾ける数少ないチャンスだというのに・・・、その姿勢は相変わらず閉鎖的だ。
<都市計画の基本理念>に逆行する開発
まずは、「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針案新旧対照表」という配布資料を見ながらの説明で、今回の「方針案」と2004年3月の「方針」とが左右に並べてある。変更個所は上記の2件以外、ほんのわずかにすぎない。ただ、今回は第1頁「都市計画の目標」の冒頭「都市づくりの基本理念」に「千葉県の基本理念」が半頁加筆されている。少子・高齢化、価値観・ライフスタイルの多様化に伴う生活環境の整備―バリアフリー、ユニバーサルデザイン、徒歩生活圏、安心快適、インフラ整備など美辞麗句で綴られた作文である。おまけに、歴史や文化の地域特殊性を生かし、景観や環境に配慮した魅力ある市街地形成を目指すと、とまで書き連ねながら、今回の見直しのメインはまさにこの理念のすべてに逆行しているといっても過言ではない。40年前に策定された都市計画道路、里山・雑木林などの環境破壊、長割遺跡や井野城址の破壊、人口減少期における大量の宅地造成と高度地区化、どれをとってみても、この開発の必要性が立ち上がらないではないか。
私が住んでいるのは井野東開発に隣接する地区だが、最も近い工区では、境内地周辺の鎮守の森の伐採、6m以上の盛り土・傾斜10度に近い跨線橋の出現、雨による盛り土の崩壊を目の当たりにした。さらにその造成地には13階にも及ぶ高齢者用マンション建設計画の話も浮上した。
組合を「隠れみの」にする業務代行「山万」、後押しする行政
今回の説明会には、井野東土地区画整理組合の業務代行「山万」、井野南土地区画整理組合準備会を仕切る「山万」関係者が数人詰め掛けていた。井野南地区の地権者の参加も多く、数人からの質問によれば、少なくとも参加した住民には組合事業への同意の意思表示が問われなかったのに、今日、市から聞いた同意率80%には疑問があるし、これまで準備会からの説明、説明会は一切受けていないというのだ。中には、一度仮同意をしたが、取り下げたという地権者もいた。また、井野南開発地区に隣接する自治会の代表も来ていて、周辺住民への説明も一切ないという。行政は、そんな状況はすぐに把握出来るだろうに、はじめて聞いた風に、地元への説明をするように組合を指導するなどと答える、いつものパターンである。
大型の組合による開発には、たいていゼネコンや開発業者が業務代行となる。それを行政も奨励してきた。1980年代に、一片の課長通達で確立された代物だ。高度成長期にはそれもよかったかもしれない。しかし、いまのような経済低迷期、少子高齢社会、環境破壊のツケが回ってきている社会にあっては、地権者、周辺住民の意向と環境や福祉、文化に及ぼす影響を丁寧に、慎重に調整し、環境保全に努めなければならないはずである。組合・業務代行の「言いなり」の行政は、環境問題や市民生活に将来重大な禍根を残すことになりかねないのである。
井野東の組合開発においても業務代行「山万」の「言いなり」がまかり通ってきた。全国的にも貴重な縄文後期長割遺跡の埋め戻し、都市計画道路の公共施設管理者負担金11億円の算定、開発面積が50㌶以下だと環境アセスメントを実施する必要がないことから、48.1㌶に抑えたこと、近々では、一事業者が3割以上の土地を持っている場合は助成できないという要綱を削除して山万が6割以上持っている井野東に5700万円の助成を行ったこと、などなど、明白な法令違反はないとしても脱法行為スレスレのところを行政は特定の企業の後押しをしているのである。
これからの開発にはきびしい目を
井野南の開発では、この流れを改めなければならない。まず、地権者の合意形成の過程を十分監視し、周辺環境への影響、資金計画、特に保留地処分価格の算定・市からの助成・県から下りる公管金の算定などをチェックして、その合法性や正当性を質していかなければと思う。
「移送サービス」って
年をとると、通院や買い物、銀行や役所の諸手続きなどで出かけたいとき、普通の交通機関を利用するのがおっくうになり、年々難しくなる。とくに、高齢のご夫婦だけの暮らしやお一人住まいだと毎回タクシーを頼むことも控えてしまうだろう。とくに病気や障害をお持ちの方は外出自体をあきらめたり、出かけても苦労されることが多い。趣味のサークルや講演会に出かけたいことだってある。その移動を支えるのが、役所や町の社会福祉協議会への申込みや登録によって実施される「移送サービス」である。もちろん、無料というわけにはいかず、ガソリン代やドライバー・介助者費用を含む利用料が設定されている場合がほとんどである。制度的には、道路運送法80条の特例として許可されるもので、介護保険では扱わない、ニーズが多すぎて扱えない、いわば「隙間事業」で、「福祉有償運送」と呼ばれる。自治体は「福祉有償運送運営協議会」を設置して、事業者の参入時にはチェックを行うことになっている。
佐倉の社会福祉協議会がはじめたこと
佐倉の社協は去年10月からこのサービスを始めた。「毎年500円の会費を払って加入する社会福祉協議会の会員」でないとこの「移送サービス」が受けられない、という触れ込みで「社協会員」加入の勧誘をはじめた。近くの自治会は「おタクは会員が少ないから敬老大会に呼べなくなるかもしれない・・・」とか、露骨に社協への協力を迫られたらしい。「移送サービス」を会員獲得のための宣伝材料としたフシがある。というより、社協の幹部の話を聞いて驚いたのだが、「移送サービス」を「会員獲得のための独自の事業」と位置づけているらしい。
しかし、ちょっと待てよ。佐倉社協作成の「移動サービス」のチラシを読むと、利用には「社協会員」であることのほかに、年間登録料2500円、もちろん利用料として基本料金500円+30円/1km、介助料2時間まで1000円、超えた分は30分ごとに400円が必要になる。さらに、登録するには、要介護・要支援認定、要身体障害者手帳、単独移動困難者のいずれかの要件を備えなければならない。利用するにはかなりハードルが高いことになる。だから、昨年度半年の利用件数は数十件だったというが、担当は口を濁していた。そして、社協のホームページを開いて「移動サービス」をクリックしても運転手の募集情報だけで、チラシの内容すら広報していない。やる気があるのか、疑わしくもある。佐倉市の福祉有償運送運営協議会は1回しか開かれておらず、利用資格の詳細にはタッチしていない。
「社協会員」を利用資格にするのって、少しおかしくない?
本来、「社協会員」になるかどうかは、住民の個人ないし世帯の任意であるはずだ。福祉事業の利用対象者を「社協会員」か否かで区別していることに疑問があったので調べてみた。結論からいえば、千葉県下の33市のなかで、社協で「移送サービス」を行っているのは木更津、習志野、柏、我孫子、袖ヶ浦と佐倉の6市ほどだが、利用資格に「社協会員」を掲げているのは佐倉の社協だけなのだ。登録料や利用料が必要なのはある程度認めよう。袖ヶ浦市などはそのいずれも無料で、しかも今年度からは従来通院に限っていたものを市内ならば他の目的などでも利用できるようにサービスを拡大したという。全国的に網羅したというわけではないが、ホームページを持つ社協に限って調査は続行中であるが、いまだ、「社協会員」を利用要件に掲げている社協を見出せないでいる。佐倉社協がいかに突出しているかがわかるだろう。
佐倉の社協は財政的にそんなに逼迫しているのか
平成15年度実績で、佐倉市での社協加入率は65%(年会費500円)で、この数字は、浦安市13%(200円)、市川市34%(300円)、成田市38%(500円)、松戸市46%(300円)と比べたら高い方だが、県下の市全体の平均的な加入率といえる。佐倉の社協は財政的に非常に困っている状況にでもあるのだろうか。
平成16年収支決算によれば、収入総額2億3752万円のうち会費寄付金収入が2600万円約11%、市からの補助金1億0648万円約45%のほとんどが正規職員14人分の人件費であり、単純計算すると平均年収740万円である。県や市からの委託金収入4234万円18%、共同募金配分金2319万円約10%弱ということになる。一方、支出総額2億2447万円のうち人件費が1億2573万円56%を占め、上記正規職員のほか嘱託、非常勤職員などの給与である。事務費3.4%、事業費支出6334万円約28%。その他の支出の中には、財務支出として福祉基金積立や職員退職共済預け金約1000万円や嘱託職員退職金積立も入っている。毎年、「社協さくら」5月号で発表になる予算の収支にはわかりにくいし、決算は広報やホームページでも発表されていない。お金の使い道を明確に広報する姿勢に欠けるのではないか。
「福祉基金」は何のため?
もう一つ驚いたのは、「福祉基金」が平成16年3月末日現在、すでに2億3942万円あり、国債や預貯金でプールしている。平成18年3月末日には2億4016万円と着実に増え続ける「福祉基金」とは何か。市からの補助金や会費を財源とする社会福祉法人が収入総額の同額以上の基金を貯め込んでいることになる。
社協によれば、大災害に備えるというが、本来ならば、日常の事業費につぎ込む財源となるべきものである。それでいて、「移送サービス」の利用資格要件に「社協会員」を掲げ、もともと任意加入であるべき1世帯500円の会費徴収を自治会に丸投げをしている実態がある。一民間社会福祉法人の社協は身の丈に合った事業をしてくれればいい。人件費に苦慮するNOP法人の福祉事業が多い中で、毎年1億円前後の人件費を市が補助すること自体、疑問がありはしないか。
これからの移送サービスの充実のために
「移送サービス」事業にあっては、全国各地ですでにNPO法人はじめ民間企業の参入も活発である。そのサービスも多様化し、利用料にも工夫が見られる。あたかも社会福祉協議会の独占事業かのような対応を黙認する行政の責任も重い。これからの高齢社会において、ますますニーズが高くなる「移送サービス」が、利用者の実態に添いながら、少しでも豊かな老後を過ごす手立てとなるよう、私たちもしっかりと見守っていかねばならないと思う。社協の「移送サービス」は私たち利用者から見れば選択肢の一つに過ぎなくなる日も近いだろう。
マイリストの「短歌の森」に、現在『ポトナム』に連載中の「歌人の妻たち、どう歌われたか」(高安国世、太田水穂)をアップしました。このシリーズは12月まで続きます。
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