来年度の歌会始選者発表、やはり
きょう、7月1日の朝刊で、例年の通り来年度の歌会始の選者が発表になった。岡野弘彦(89歳)、岡井隆(79歳)、篠弘(74歳)、三枝昂之(63歳)、永田和宏(60歳)の5人で、安永蕗子に代わって三枝がなり、平均年齢を下げた形であるが、また、女性選者空白の時代に入ったといえようか。その人選は、やはりというか、近頃「総力を挙げて」岡野弘彦に肩入れをしていた感があった三枝が選者入りを果たした、との思いが私には強い。
誰が選者になろうと、もう歌壇では誰もがものを言わなくなった。歌人たちの多くが、選者になることを大して重要視していないのか、選者になった歌人を無視しているのか、といえば、決してそんな状況とは思えない。
私は、歌壇の会に参加することはめったにないのだが、最近、ある小さな会で「岡井隆が歌会始の選者になったときは、『未来』を辞めた人や批判する人が多かったのに、永田や篠がなったときは、どうして誰も何もいわないのか。岡井の弟子として悔しい」という趣旨の発言をする人がいて、少しびっくりしたことがあった。そして、このたびの三枝である。歌壇の反応は、これまで以上に鈍いことになるだろう。三枝の評論集『昭和短歌の精神史』はなにしろ六つの賞を受賞し、六冠を制したという言い方も飛び交っていたくらいで、歌集や評論集の刊行も華々しかった。しかし、その結果が歌会始の選者になったというのでは、あまりにもさびしいではないか。いや、選者になることの布石であったとすれば、実に見事というほかない。
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コメント
私は内野様とは政治的主張が違い、憲法は改正すべきだし、歌会始を非常に良いものだと思っている者ですが、それは置いといて。
安永蕗子氏が選者を辞めてくれてほっとしました。
この人は、2000年の歌会始(1月中旬)で選者をしていたにもかかわらず、それから間もない1/25発売の角川の「短歌」誌上の「公募短歌館」において、入選歌と同じ歌を堂々と「佳作」に選んでいました。投稿者が「どうせ歌会始で入選するはずがないから」と思って二重投稿してしまったものでしょう。
恐れ多くも宮中から選者を依頼されて選者を引き受けたのならば、自分たちがつい先日選んだたった10首の入選歌くらい覚えていてしかるべきです。なのにそれを忘れて、同じ歌をほぼ同時期に他の投稿歌壇で選ぶとは何事でしょうか。真面目に選者をやっていなかったのでしょう。
投稿: ゆりこ | 2007年9月17日 (月) 23時56分