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2007年8月 4日 (土)

佐倉市「マンション紛争あっせん条例」ってこんなもの?

組合清算前、業務代行によるマンション着工あり?

井野東土地区画整理組合の開発事業は、とにもかくにも、いま、どの工区でも工事たけなわである。その第4工区は、このブログでも再三お伝えしているが、一回り123分の新交通システムの内側は、田んぼや里山、古くからの集落が広がるが、辺りの人々の鎮守の森であった里山の一つ「宮ノ台」のわずかな境内地を残して、宅地造成が完了した。しかし、隣接の住宅街の道路より高さ6m以上の盛り土による造成、産廃処理の不手際、盛り土の崩落などが重なり、近隣住民の怒りが爆発、井野東開発対策協議会が作られ、2年をかけて、20072月下旬には組合・業務代行山万と対策協との「覚書」が交わされた。その第4工区9㌶あまりは、組合の業務代行、地元の開発業者「山万」が清算に先立ち、山万の換地となる特約のもと、マンション建設が始まろうとしている。それだけでも、組合事業と名乗るものの業務代行の恣意がまかり通るものだと驚く。第4工区はもともと市街化調整区域だったのだが、第1種低層住居専用地域に変更されるかなり前から、変更を前提に、宅地造成工事が先行していた。都市計画法によれば用途地域の変更には、縦覧、意見提出、公聴会、都市計画審議会の審議などの手続きが前提となっているが、形骸化も著しく、セレモニー化し、変更案が変更されることはまずないのが、現状である。だから、行政も事業者(組合・業務代行)も前倒しの宅地造成など当然のこととみなしている。私たち住民の「もし変更案が白紙になったらどうするのか」という問いには、行政は、組合・業務代行のリスクで先行しているので、心配には及ばない?!という。要するに、事業者ペースでの進行であって、隣接・近隣住民の声を聞こうというスタンスはなく、住環境保全は二の次なのだ。

そして、さらに、地権者への換地と保留地が決定していない時点でのマンション建築が可能であることなど、私たち素人には分りにくい。保留地処分の価格決定の甘さから頓挫し、清算できないまま解散ができない組合、その過程にある赤字組合は千葉県下でも続出しているというのに。業務代行(業者)のペースでの開発の失敗のツケが零細の地権者に及ぶケースもある。地権者が清算金を拠出しなければならない場合や減歩率が極端に高くなる場合もある。そして、工事途中の荒地のまま放置される例も見聞きするではないか。

マンション建築計画の看板が立った!

私たちの住宅街に隣接する第4工区にいくつかの建築計画を持つ山万は、「覚書」(20072月)において、まず地上13階・地階合わせて14階建て、325戸のマンション建築計画を明らかにした。そして3月のある日突然、「マンション建築計画概要」のたて看板が設置された。一見「覚書」に添った内容の計画と思われたが、戸数、高さ、階数などが微妙に異なっていることがわかった。

佐倉市には、20023月に制定した「佐倉市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例」「同条例施行規則」がある。あるマンション業者と近隣住民とのトラブルがきっかけになって制定され、紛争解決と予防のための、行政が業者と近隣住民の間に入る、いわゆる「あっせん条例」である。条例では、近隣住民の見やすい場所に建築計画概要を示す「標識」を立てなければならないことになっている。私たちが目にした看板は、日付の欄が空欄になっているものだった(平成193月○日)。

 また、条例では、建築確認申請の20日以上前に、先の標識設置届け出提出後10日間後の期間に隣接住民の場合は説明済み報告書を提出しなければならないし、近隣住民には申し出による説明後の報告書を提出しなければならないことになっている。標識設置日は、これら手続きの起算日になっているにもかかわらず、空欄である上、事業者の隣接住民への説明義務、近隣住民への申し出による説明義務を周知する文言は、看板のどこにも表示されていない(ちなみに、前者は建築物敷地の隣接地の住民、後者は建築物の高さを敷地境界から2倍の距離の範囲内の住民を指す)。条例の標識設置の根拠条文の表示もない。これでは、多くの近隣住民、この標識設置の意味は分からないにちがいない。少なくとも私は、今回、件のマンション建築確認申請が65日になされているにもかかわらず、いまだに確認済み証が下りていないことに端を発して、行政に問い合わせなどして知ったことだった。

建築基準法改正で、確認検査手続きは遅れている

そして、今回のマンション建築確認申請手続きを調べてみると、「建築計画概要」の近隣住民への説明に瑕疵があった。確認申請の取り下げか、やり直しが事業者・行政の「法令順守」と思うのだが、まるで「そんな細かいことまでやってられない」「条例は努力目標だ」といわんばかりの態度なのである。些細な法令違反は補正で処理されるのが従来の慣行であった。

姉歯事件がきっかけで建築基準法が改正され、確認検査業務は厳格化するという。これまでは、確認申請後21日以内の交付であったのが、今後は35日以内と延長された。改正直後だから手間取って交付が遅れているのだろう、交付はその日にならないと分からない、と山万はいう。しかし、新法の適用は620日以降の申請からで、今回の申請は65日だから、旧法でのいわば駆け込みである、といえる。新法ではさらに、高さ20m以上の鉄筋コンクリート造などは専門家チェックが義務化され、審査機関は最大70日まで延長されている。今回の当地のマンションは申請日からしてあくまでも旧法扱いではあるのだが、8月4日現在、申請後60日以上経つが、未交付なのだ。申請内容の実質的な審査で長引いているのか、移行期間で混乱しているのか、私たちはどこまでも、事業者や行政、民間の確認検査機関への不信を拭い切れないでいる。             (20078月4日)                      

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