「考える街。ユーカリが丘」って、ディベロッパーは何を考えているの(2)
これって記事、広告?
「毎日新聞」の企画特集「役立つ住宅情報」は、首都圏を対象にしている広告記事で占められる。住宅メーカーやマンション業者の販売広告や情報記事が載る。紙面1頁分の構成としては一般記事と紛らわしいのが“特徴”といっていい。だから、唯一署名入りである住宅事情の時評的な「櫻井幸雄の住アドバイス」が特定業者を褒め上げる記事を書いても話し半分で読み流すことが多い。
2008年5月29日「櫻井幸雄の住アドバイス」の見出し「ユーカリが丘 まれに見る個性・先進性」が目を引いた。末尾の肩書きは「住宅ジャーナリスト」となっている。ユーカリが丘に20年も住んでいる者にとっては、ああ、「また山万がガンバッチャッテ」の思いが先に立つ。山万の開発手法やイメージ先行の広告を間近で見ている住民にはやや食傷気味のフレーズなのだ。
森と水に囲まれたァ~♪
このブログでも、何度か触れているのだが、私が住んでいる住宅街は、この業者が7割近く所有していて、業務代行を務める土地区画整理事業による開発区域に隣接している。宅地造成が完了した工区に、いま、14階のマンションが建設中で、日に日に積み上がるコンクリートの物体は、工事の騒音や振動とともに周辺の住民を不安に陥れている。私たちが住み始めた20数年前、マンションが建つあたり一帯は、戦国時代の井野城跡、鎮守の森に続く雑木林で、市街化調整区域だった。事業組合が認可されると、森は伐採、山は切り崩され、その切り土はくぼ地に盛られ、八社大神の境内の杜だけがお椀を伏せたように取り残され、造成された。その造成過程では、トラック800台分の産業廃棄物が持ち出されたという経緯も発覚した。30度に近い盛り土の傾斜地が2度にわたって崩れ落ち、幹線道路からのこの街区への導入路は傾斜10度に近い危ない橋だった。この盛り土の上に建設中のマンションは、ゴールデンウィークから「森と水、都市機能を備えた、環境共生・子育てを考えた」をキャッチフレーズに販売を開始した。周辺に残る森や水田は、30年以上前、ニュータウン開発当初、山万の買収に応じようしなかった農家の集落と田んぼだったのである。その農家の当主の一人は「われわれが守ってきた森と田んぼなのに、よく言うヨ」と苦笑するのだ。
スーパーがいつのまにコンビニに!
さらに、このマンションの西に位置する私たちの家並みの多くは、日照時間が大幅に短縮されるのは必至。また、マンション入居者には、近接商業施設が必需だが、その建設が、狭い斜面地に私たち住宅街側に寄せて計画され、屋上に駐車場を設置するという。私たちの生活道路や通学路は、500戸以上の新マンション入居者や商業施設・新設公園などを利用する車輌の抜け道となり危険にさらされる。また、数年前、別のマンションの完成時にオープンした近接スーパーがすぐに撤退、コンビニに変わってしまったのを目の当たりにしている。入居者のお年よりは、スーパーがなくなるなんてだまされた、コンビニなんか用がない、と。そんなこんなで、私たち既設住宅街の自治会は環境保全のために、さまざまな要望を行政や山万に提出するのだが、都市計画や開発関係法令を楯になかなか応じようとしないのが実態である。脱法にも近い、法令をギリギリ、クリアすれば事足りるのか、そんな場面を何度も見せつけられている。かつての顧客だった私たち旧住民をこんなにもないがしろにしていいものなのだろうか。このディベロッパーのやることなすことに信頼が置けなくなっているのだ。
評論家って?
先の新聞の広告記事の執筆者「住宅ジャーナリスト」は、業者の宣伝文句そのままに「ニュータウンを何十年もかけて1社で開発するのは、私が知る限り日本ではユーカリが丘だけ」、保育所から老人ホームまで、住宅販売からリノベーションまで、「生涯不安なく生活できる街をというのも先進性の表れ」と書く。マンション販売開始にあわせて、5月5日に、山万は「住宅評論家櫻井幸男先生と巡る<街の見学会>と<マンション見学会>、櫻井先生がこっそり教えるマンション購入のためのセミナー」を実施したことを後で知った。ああ、やっぱり。
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投稿: | 2009年8月14日 (金) 13時09分