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2008年9月28日 (日)

「やっぱりおかしい、NHK7時のニュース」その後、どうなったか

 

926日午後、最寄りの駅近くで、NHKの関係職員と面談することになった。来訪はサービス局視聴者センター長A氏、同総括担当部長B氏、視聴者センター室長C氏の3人。事前に私から提出しておいた質問書への回答という形で、回答文書(差出人はA氏)が手渡され、主にA氏によって説明がなされた。コールセンターの窓口業務は、財団法人NHKサービスセンターが担当しているらしく、その責任者がC氏ということらしい。

 

 説明に先立って、意見を寄せた私に「大変ご不快なお気持ちにさせてしまいましたことを心からお詫び申し上げます」との謝罪があった。私の質問要旨に対する回答文書からの引用と要約で、以下のようにまとめた。「 」内は文書からの引用、( )内は文書の要約とした。

 

①何が不適切で、何を反省し、どうすべきだったか

 

「窓口担当者が、自民党総裁選のニュースに関するお問合わせ中で、ご指摘のような発言をしたことは、極めて不適切でありました。後述しておりますが、NHKの基本姿勢について丁寧にお答えし、ご理解いただくようにすべきでした。窓口担当者も、そのような発言をして対応してしまったことについて深く反省しています」

 

②対応者・監督責任者の措置、処分はなされたのか

 

「ご指摘の事実を確認後、視聴者への対応責任者としての業務を解き、直接視聴者に接する業務からはずしております。また、現在、この担当者及び監督責任ある者の処分について、懲戒規程に基づいて検討を行っています」

 

(日常的な研修や打ち合わせ等による研鑽を実施しているが、今回のような対応が視聴者の指摘により判明したことも合わせては謝罪したい。これまでの取り組みの不十分さを痛感し、教訓としたい)

 

③自民党総裁選報道についてのNHKの基本姿勢について

 

 「自民党総裁選挙は、与党第一党の党首を選ぶ重要な選挙であり、国民の関心も高く、丁寧にお伝えしてゆくテーマと考えています。NHKは同時に民主党代表選挙でも、小沢代表の記者会見を生中継するなど、各党の政策や主張も伝え、NHKの放送全体として公平性を確保することに努めています。報道機関として不偏不党の立場を守り、公平・公正な報道に努めていきます」

 

④視聴者の意見の集約、報告、反映のシステムについて

 

 (ホームページでの「週間報告」掲載、年刊の冊子「報告書」、今年の4月から始めたホームページ上での「視聴者対応報告」掲載、月に1回の「マンスリーボイス」の放送(総合テレビ第3日曜日午前11時~1120分内)、番組担当者と視聴者との直接の意見交換の場としての「ふれあいミーティング」の実施などを通じ、寄せられた意見は放送現場に伝えられ、番組作りや番組編成などに活かしている)

 

①②の回答に対して、私は、家族的、温情的な処分ではなく、あいまいな結果とならぬよう期待する、しかし、今回のような視聴者対応は、個人的な責任というよりは、日常的にも当然その萌芽はあり、それを放置していたNHKの体質が問題なのではないか。現に、処分者の子会社再就職など「面倒見の良さ」にも端的に表れているのではないか、と述べた。

 

これに対しては、「今回の窓口対応者の言動は想像を絶するもので、予測ができなかった」と繰り返したが、私は、どうしても信じられないでいる。

 

 ③の回答は、聞く前から予想がつく、実に手短な「模範解答」ではあった。国民の「関心」をタテに、夜の7時というプライムタイムの報道番組を普段の倍に拡大し、60分のうちの45分間を費やしたことには、納得できない。5人の候補者にあれだけの時間を割くのは、与党総裁の選挙というよりは、次の総選挙に向けての自民党の広報戦略に加担していることになることは明らかで、放送法に反している。あのニュース番組全体を通して45分間の放送内容・実態を目の当たりにした視聴者がどう捉えたか。また、国民の「関心」とはいうものの、「関心」の中身も問題だし、「関心」がありさえすれば時間をかけるのだったら、民放がよくやる興味本位の事件報道や視聴率稼ぎと一緒ではないか。視聴者がNHKの報道に期待するものとNHKが考える視聴者の「関心」に大きなずれがあり、視聴者の期待を見誤っているのではないか。

 

これに対しては、「不偏不党」の姿勢とバランスを取っていることを強調するとともに、他の番組では「おほめいただいている」内容の番組も多く、NHKの放送をトータルに見てもらいたい旨も繰り返していた。

 

私からは、トータルといっても、一方でいい番組をやっているから、他方で少々偏向してもバランスをとるという意味なのか。一つ一つの番組で、とくに報道やドキュメンタリーにおいては、十分慎重を期してほしい旨、付け加えた。

 

④について、私は、ホームページ上の情報には、アクセスできない視聴者も多いだろうし、視聴者には番組上で答える必要があるだろう。月一回の放送では、応えられるわけがなく、担当者に伝えられるシステムがあったとしても、それがどう活かされたのかが、視聴者には見えないので、さらに工夫をしてほしい旨、伝えた。

 

そして、最後に、私は、コールセンターの今回のような対応が、インターネット上で思わぬ反響があったことの意味を何回も伝えようとするが、3人とも、どうもそれには無反応で、ひたすら、私個人に迷惑をかけたという姿勢に終始していたような印象であった。

 

私がブログで発信したコールセンターの対応とその中身に対して、多く読者の方が自らのブログで紹介やコメントをしてくださったことはありがたかった。NHKが無視できないと判断した、大きな要因となったであろう。そして、アクセス件数が万を超える日もあって、驚くとともに、インターネットの世界を垣間見たような気がしている。細々ながら、思うところ、ときには楽しみながら発信していきたいと思う。

 

 

 

 

 

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コメント

政権与党のさじ加減によって予算を決められるからといって偏向報道を繰り返している公共放送・・・この構図は世界的に見ても異常ですし、稀だと思います。
また、前のエントリーで個人情報の流用について書かれていましたが、恐らくNHKでは個人情報の収集をしているか、個人情報の扱いが想像を絶するほど雑なのでしょう。日本はどうなるんだろう、と不安になりました。

投稿: | 2010年2月17日 (水) 01時00分

 はじめて、コメントします。
 NHKなんてそんなものです。殿様商売、内部的にはお役所と同じ、あまり期待していません。
 仕事をする組織の中では自分一人の感覚、頭脳は試されないのが現状でしょう。
 わたしの知人の子供さんにNHKへ入社したばかりの者がいますが、大学で純粋培養されてそのま行くのでしょう。わたしの場合、息子が地方公務員ですが、組織を離れても相手の考え、気持ちをわかる一人の社会人たれ、と言ってあります。

 なにはともあれ、本日、当ブログに来ていただいてありがとうございます。
 今後ともよろしく願います。
 では

投稿: うざね博士 | 2008年10月 2日 (木) 18時48分

コールセンターの担当者は確かに褒められたものではないと思います。
しかし、申し訳ありませんが私には
『夜の7時というプライムタイムの報道番組を普段の倍に拡大し、(自民党の総裁選に)60分のうちの
45分間を費やしたこと』
に対してクレームをつける内野さんの行動には共感できません。
実質国のトップが決まる選挙なのですから、報道しないよりした方がよいのではないでしょうか。
『次の総選挙に向けての自民党の広報戦略に加担していることになることは明らか』
とも仰ってますが、これが民主党の総裁選(もしやっていればの話ですが)でも、内野さんは
同じようにコールセンターに電話をなさりますか?

そうならば共感出来なくても納得は出来るのですが、記事を読んだ限りでは、自民党憎しのあまり、
それを報道するニュースにもいらいらしているように見えてしまいます。

少なくとも私には『そう見える』内容だと言う事をお知らせします。

投稿: 但馬 愛 | 2008年10月 1日 (水) 20時03分

私の方にNHKの内部の方から告発がありましたので紹介しました。
この件は更に広がると思います。
以下記事をご覧下さい。
NHKに自民党総裁選異常番組関係で再度メールを送りました。http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-48da.html

投稿: 大津留公彦 | 2008年9月30日 (火) 22時28分

あなたはNHKが嫌いなだけじゃないですか。
ただのクレーマーなだけですね。

投稿: | 2008年9月30日 (火) 07時21分

初めてコメントさせていただきます。

今回のやり取り興味深く拝見させていただきました。
NHKが、目先の火を消すことだけを考えている態度であり、今回の回答ですべてを終わらせようと考えていることがよくわかりました。

日本の放送、ジャーナリズムの危機であると常々感じているのですが、当事者がこのような態度であると今後の期待も薄いという感じで、悲しくなりました。

投稿: ふ~みん | 2008年9月29日 (月) 23時50分

今日もまた、7時のニュースを見て驚きました。

「麻生内閣 支持率は48%」というタイトルのニュースで、世論調査の結果が次のように紹介されていました。

http://www3.nhk.or.jp/news/t10014415271000.html
========Webサイトから引用================
さらに、次の衆議院選挙後の望ましい政権の形について質問したところ、「自民党が中心となる連立政権」が27%で最も多く、次いで、「自民党と民主党による大連立政権」が22%、「民主党が中心となる連立政権」が18%などとなりました。
=========================================
これを読むと「やっぱり自民党中心でなければ...」、「民主党ではちょっとね...」というのが民意のように受け取れますが、なんとこのニュース原稿には「民主党の単独政権」という選択肢が抜けています。VTRで録画していなかったのであいまいな記憶ですが、放送された映像のグラフには「民主党の単独政権」を望む声が10数%あったはずです。その数字によっては、国民は「民主党中心の政権」を望んでいる可能性があります。

今まで、NHKがここまで露骨に世論誘導するとは思っていませんでした。かなり、がっかりしています。

投稿: 楢崎 | 2008年9月29日 (月) 21時22分

ブログ「きまぐれな日々」へのコメントでこの問題を説明したところ、見事、というか何というか火が点きました。お疲れ様でした。
ところで、コメントが表示されなくなっているのは、何がしかの心境変化といったところでしょうか。今後ともよろしく。

投稿: はぐれ雲 | 2008年9月28日 (日) 20時49分

記事を弊ブログで紹介させて頂きました。
本件に関して来週弊ブログで重大な発表をする予定です。

投稿: 大津留公彦 | 2008年9月28日 (日) 16時05分

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