« 竹山広短歌の核心とマス・メディアとの距離について(2) | トップページ | 「短歌ハーモニー」、千葉市女性センターまつりに参加しました »

2008年11月28日 (金)

シンポジウム「開かれたNHK経営委員会をめざして」に参加して

                                                                               

1122日(土)、「開かれたNHK経営委員会をめざす会」主催のシンポジウムに参加した(千駄が谷区民会館)。全面朱色のかなり目立つシンポジウムのチラシを受け取ったのはいつだったろう。当日までに2週間とはなかったかと思う。NHK問題に取り組む5つの市民団体が共同で、古森経営委員長の不再任と経営委員の公募・推薦制を推進する署名集めが進行しているさなか、新しく結成された「めざす会」は、さらに具体的に、マスコミ研究者の桂敬一さんとNHK問題に関する市民運動の推進役だった湯山哲守さんを推薦する署名を始めるという。身近な関係者には、「立て続けに、似たような署名を集めるのは難しい」と愚痴を言ったものだ。

地元の憲法9条の会関係の集りに署名用紙を持って行ったり、メル友に署名をお願いしたりした。NHK経営委員の話というのは、はじめての人にはかなり分りづらいのではと思う。受信料を下げさせたり、NHKに民間の経営手法を取り入れたりすることのどこが悪い、みたいなことになりがちなところを突破しなければならない。署名の集まり具合をみていて、関西の市民団体の方たちの勢いというか、熱意に後押しをされる形だった。

早々と古森経営委員長が再任を受けないという表明し、シンポジウム前日の1121日には、参議院で政府推薦の経営委員候補者4人中3人の不同意が決まった。NHK経営委員人事が国会の不同意になった、というのは制度始まって以来のことであった。露骨な民間経営者によるたらい回し人事、御用学者の登用が理解されたのだろう。これで、今後、政府側から白羽の矢を立てられた委員候補者たちも少しは躊躇するだろう。市民の声がストレートに国会議員を動かした、数少ない先例となったのではないか。

基調講演は、『NHK』(岩波新書)の著者でもある松田浩さんは「いまなぜ経営委員会か~公募・推薦制推進運動の意義を考える」において、経営委員会の本来の意義、変質と公共放送の危機に触れて、NHK執行部が示した次期経営計画に対して「2012年度から受信料10%値下げ」を強引に盛り込ませたことの重大性を指摘した。NHKの広報番組で、福地会長が受信料値下げという表現はせずに「視聴者に還元する」と表明していたが、なぜもっと明確に異議申し立てをしなかったのか、がもどかしかったのが思い出される。

そのあと、推薦候補者の桂さんと湯山さんの所信表明がなされた。これからNHKがかかえる危機を、桂さんと湯山さんならば視聴者、市民の目線で乗り切ってくれるのではないかと、その実績と見識に期待した。

パネルディスカッションでは、最近まで国立音楽大学で音楽史を教え、著名な作曲家ばかりでなく、無名な作曲家を発掘する仕事やジェンダーと音楽に強い関心を持つ小林緑さんの話が新鮮だった。昨年の6月まで経営委員を26年間務め、その中で、かなり踏み込んだ発言をされ、少数意見となることが多かったという。経営委員就任の経緯もまた興味深いことだった。

参加者は80名を超えたといい、兵庫や京都で取り組む方からの報告と提案があったが、なかでも日本各地で、NHK問題に関心のある市民の会を立ち上げるべきという提案や視聴者とNHK幹部やスタッフ、経営委員との意見交換の実績や実態が報告された。視聴者が「経営委員と語る会」の展開や、私自身がかかわった、9月の自民党総裁選挙報道に関し視聴者コールセンターとのやり取りをめぐるNHKの対応も、視聴者の「ガス抜き」の感があり、視聴者の意見を反映するという制度は形骸化し、実質的な機能をほとんど果たしていないのが実情だろう。経営委員人事の透明性とともに、上記のような事態をどう変えてゆくのかを含めて、視聴者からの積極的な意思表示や活動が重要なポイントとなるに違いないと、はや暮れた、原宿竹下通りの賑わいを横目に会場を後にした。

|

« 竹山広短歌の核心とマス・メディアとの距離について(2) | トップページ | 「短歌ハーモニー」、千葉市女性センターまつりに参加しました »

コメント

前から報道姿勢(特に政治)に疑問を感じていました

イラク開戦の時、航空母艦から艦載機が発進する映像を流しながらの女性レポーターの実況を見て"切れました"

飛んで行く先、爆弾を落とす先に人間がいることを考えないレポートでした

受信料の支払いを辞めました

暫くして理由の聴取に職員を名乗る方が自宅に来ました
理由を説明した所"イラク側からの情報が少なくて・・・・・・・・"とおしゃい帰られました


それ以来数ヶ月おきに"重要なお知らせ"が届きます

私は、テレビは80%はNHK を見ています(笑)

投稿: naoとうさん | 2008年12月 5日 (金) 11時07分

内野さんと鹿●SVとの電話対応を近くで聞いていた一人です。

その際の鹿●SVの対応履歴ですが確かこんな内容だったと思います。

鹿●対応:自民党の総裁選挙は、ほぼ同時に首相を選ぶ選挙でもある。少なくとも今回までは、したがって国民的関心も高い。
これが、ニュース7で特に時間枠を広げて放送した理由。ただし、不公正だとの意見も殺到している。その意見は現場に伝える、先方は納得はしないが音便に電話断。

あんな問題になったのに訂正されること無くデータベースに残ったまんまです。正直反省しているとは思えません。

風の噂ではNHKの関連会社に移動しただけだそうです。


投稿: | 2008年12月 5日 (金) 00時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 竹山広短歌の核心とマス・メディアとの距離について(2) | トップページ | 「短歌ハーモニー」、千葉市女性センターまつりに参加しました »