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2009年4月 2日 (木)

やっぱり怪しい、NHK「天皇成婚50周年即位20周年記念コンサート」

天皇・皇后成婚50周年、即位20周年「記念コンサート」とは?

 NHKのホームページのイベント案内で「天皇・皇后両陛下ご成婚50周年ご即位20周年記念コンサート」(2009310日)というのを見つけた。428日、NHKホールで、N響を中心として、ソリスト・歌手・合唱団などが加わったクラシックコンサートを開催するという。入場無料で、観覧希望者は「記念コンサート実行委員会」事務局(産経新聞社内)に43日まで往復はがきで申し込め、というものだった。どうして「産経新聞社」なの?とちょっと妙な気がした。冒頭には、開催趣旨として次のように記されていた。

  「天皇・皇后両陛下は今年、ご成婚50周年、そしてご即位20周年をお迎えになられます。記念コンサート実行委員会ではこれを記念して、国内外で活躍する音楽家が集まり、クラシック音楽にご造詣の深い両陛下をお祝いするコンサートを開催します。」

 コンサート名には「祝」「祝賀」の文字は入っていないが、「祝賀記念コンサート」であることは明らかである。さらに、私はつぎの開催主体を見て驚いた。

主催:記念コンサート実行委員会(日本クラッシック音楽事業協会、産経新聞社、NHKNHK交響楽団)

後援:日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会

協力:日本オーケストラ連盟、日本演奏連盟

 公共放送のNHKが特定の新聞社1社と共催し、財界団体の後援によりイベントを開いてよいものだろうか、とまず疑問に思った。そして、『週刊金曜日』(2009327日)に「<天皇・皇后両陛下ご成婚50周年ご即位20周年記念コンサート>の怪 『産経』などと共催する奉祝<NHK>」(同誌取材班)は、関係者の証言や識者の意見として、次のような疑問を提起する。

①受信料による運営のNHKが民間会社と共催でイベントをやってよいか。

②受信料は使わない美術展などの共催の例はあるが、今回のコンサートは無料なので、NHKが一部負担する可能性は高い。

③放送予定が示されていない記念コンサートは、放送法による「放送及び付帯事業」にあたらない。

④祝賀イベントの主催で、天皇制や歴史について客観的に議論する姿勢が損なわれる。

 NHK「記念コンサート案内」から消えた一行

  『週刊金曜日』の指摘する①②④は、もっともだと思う。③についても、記事での指摘通り、当初なかった放送予定を後付けで放送する動きも無視できないだろう。

私は、つぎの点で、このコンサートの主催にNHKが参加することは、NHKの不遍不党、中立公正を大きく侵すものだと思っている。 私は、念のためと思って、産経新聞社のホームページの「イベント情報(日付不明)」と社団法人日本クラシック事業協会のホームページの「イベント案内(2009317日)」を見てみた。すると、この二つの共催団体の案内事項に記載されている「協賛:各社」の記述がNHKの「お知らせ」からはすっぽり4文字、一行が抜けていたのである。「協賛:各社」の意味も内容も不明ながら、NHKは、その一項目を故意に省略したものであろう。おそらく、多数の協賛会社がすでに決まっているか名乗りを待っている状況だと思う。コンサート当日、それがいろいろな形で観覧者に明示されるに違いない。財界団体後援のみならず特定のいくつかの会社が協賛するコンサートにNHKがかかわるのはおかしいという「後ろめたさ」が一行を抹殺したのだろうと思う。ますます怪しいではないか。

さらに、開催の趣旨として「クラシック音楽にご造詣の深い両陛下をお祝いする」という部分、なぜNHKが天皇・皇后の趣味に付き合わなければならないか、である。

 次に、受信料による負担がなかったとしても、NHKホールの賃料やN響への報酬は誰が負担するのかといった疑問も残る。

 NHK会長、経営委員長という二つのポストを福地、小丸という財界人が占めた時点で、NHKの公共放送としての在りようは、ますます怪しくなってしまったのではないか。

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