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2009年12月 7日 (月)

赤い羽根共同募金の行方~使い道を知らずに納めていませんか、情報操作のテクニック(1)

(この記事へのたくさんのアクセス、ありがとうございます。前の記事に1か所、%表示に当方のミスがありましたので訂正し、題名も一部変えました。12月7日)

 

1.募金という名の「集金」、自治会費上乗せなど、とんでもないのだが・・・

 

 毎年101日、街頭で始まる共同募金は、風物詩のように報道されることが多い。私たちの町内でも募金袋が回り始めた。かつては、この町内でも班長が500円の領収書を持って会員宅を回って「集金」していた。現在でもそんな集め方をしているところが多いと聞く。以前、班長は自治会費の集金だけでも、留守の家が多くて難儀している上、他を含めて年に数回の募金の集金にはネをあげていた。会員からもご近所の班長が回って来るとなると断りにくく、半強制的だとすこぶる評判が悪かったから、募金袋の手渡しによる今の方式が定着しかけているのもうなずける。

 ところが、近年、全国的に募金実績が年々下降線をたどり、募金の元締めの中央共同募金会はじめ、日本赤十字社、社会福祉協議会などが危機感をつのらせているという。そこで、各自治体傘下の各団体支部・支会などから自治会への「協力要請」が盛んになったらしい。タレントを使ったポスターの掲示、パンフレットの全戸配布等に加え、わが町内でも、自治会役員会に社会福祉協議会の幹部が説明に来たり、班長会議に日本赤十字社のボランティアが宣伝に来たりしている。そんな“促進策”は、本来、自由意思による、任意な“募金”とは相容れないはずだ。


 にもかかわらず、こんなとき浮上するのが、各種募金の自治会費上乗せ案らしい。自治会の役員や班長も高齢化して、訪問集金は厄介だ、留守で何度も訪ねたくない、上乗せすれば募金の集まりもよく、ラクだ、というわけだ。しかし、これについては
20094月、滋賀県甲賀市希望が丘自治会の募金自治会費上乗せ決議無効とする高裁判決の最高裁決定が出て、一件落着している。にもかかわらずである。本ブログでも取り上げているが、6000円の自治会年会費に、赤い羽根共同募金、日本赤十字社の募金などを一括して2000円を上乗せしようとする自治会が訴えられたケースで、決議は思想・信条の自由を侵し、無効とする最高裁決定であった。「募金」の趣旨からいえば当然のことながら、募金活動を総括する団体は判例に言及することなく、「募金は任意」の一言で通り過ぎようとしている。突き詰めれば、自治会や職場などを通じての募金自体も見直すことになりかねない様相を恐れているのかもしれない。しかし、私たちも、ここでボランティアの在り方を根本から見直す時期に来たのではないかと思う。

2.共同募金会とは何をしているところか

 

①「中央共同募金会」では

そんなことを考えていたら、「共同募金 続く減少傾向 問われる促進策」の記事が目にとまった(『東京新聞』20091122日)。 都道府県単位の共同募金会の集約によれば、バブル景気の後退を反映して1995年の2648000万円をピークに2008年は2087000万円までに落ち込んでいる。募金方法は「ボランティアが各世帯を訪問して寄付を呼びかける」戸別募金が主流で、全体の74%を占めるという。しかし、その実態は、町内会、自治会役員や班長による戸別集金ではないのか。募金会では、募金額の減少の原因は、自治会加入率、市町村合併による募金の目安額、不況による企業からの寄付の低下にあると分析している。裏を返せば、全国の自治会に対して、自治会費への上乗せや自治会での半強制的な集金という方法を黙認、丸投げをしてきた証ではないのか。また、都市部を中心に地域の結び付きが弱まる中、地域福祉推進を目的とした募金をどう活性化するのかが課題という。募金方法の問題も大きいが、私は、募金の入り口よりは、その出口、つまり、どのように使われているか、目的や使途を明らかにすることが大事ではないかと思う。

 

 先の新聞記事と中央共同募金会への問い合わせによれば、2008年各都道府県から積みあがった地域福祉活動配分(≂社会福祉協議会)が、配分総額1844000万円の約62%を占める。他に、団体・グループ配分24%、福祉施設配分14%であった。全国の募金総額約208億と配分総額184億の差額24億が都道府県の運動経費ということになるという。その内の11000万円が分担金として中央共同募金会に収められている。

 

中央共同募金会の一般会計収支計算書によれば、経常支出137400万の内、人件費は1765万、正規職員11名、派遣2名といい、事務費・事業費あわせて27400万円という数字がある。霞が関ビルの家賃も半端ではないだろうな、と思う。

 

中央共同募金会のホームページの「統計情報」所収のある表の数字が余りにも異常だったので、問い合わせたところ、間違った統計表を掲載していたらしく、断りの文面もなく、その日の夜には、差し替えられていた。確認しようとしたところ、担当者は翌日休暇をとっていて、他の職員は事情を知らなかった。一人でそっと差し替えていたらしいのだ。この緊張感のなさは何なのだろう。なお、ここでは、赤い羽根データベース「はねっと」というサイトを開設、数年間の詳細な地域の統計が分かるようになっているが、これにはのちほど触れたい。

②「千葉県共同募金会」では

 

中央共同募金会の統計情報によれば、千葉県共同募金会の2008年度募金実績額は、78313万円であり、配分総額は、70109万円であった。千葉県共同募金会発行の「2009赤い羽根」というパンフレットの「ご報告~昨年度結果・今年度計画~」によれば、千葉県の募金総額78313万円の内訳は次表の通りだ。パンフレットの数字が合わないので調べていくと、募金内訳と配分実績内訳が入り混じった形で、パーセントが表示されていたのである。 募金額及び配分額の合計欄がなく、分母が不明なので割合など確かめようがない。こんな不完全で解りにくい表を載せていることに腹が立ってきた。担当者は電話口で電卓を叩いてでもいるのだろうか「おかしいですネ」という。肝心の配分結果は、下記の総額・内訳とも電話取材とホームページの「支出内訳」でわかった。

 

<Ⅰ表>千葉県共同募金会 における募金実績と配分額(2008年度)


募金の種類


募金実績額()


配分結果()(件数)


赤い羽根共同


502, 945, 370


443,019,550 (1982件)


市町村歳末たすけあい


242, 501,992


222,581,144 (55か所) (1053事業)


NHK歳末たすけあい


37, 683,793


35,488,562  (156) (18045) 


合計


783, 131,155


701,089,256  3191件)

 

 

 

 

 

 

赤い羽根共同募金の配分結果の金額と件数は、中央共同募金会ホームページ上の統計情報」に拠る


募金実績額と配分結果の差額
8200万円はどこへ使われているのかが、今のところわからないが、パンフレットによれば、千葉県共同募金会の 運動経費の総額は9451万円と計上されている。その内、3900万円が人件費で、正規職員5名の嘱託職員1名とのことだった。

 

 なお、<Ⅱ表>は、上記3種の募金の県内の配分先・数・配分額は、ホームページの「支出内訳」から作成した。

 

<Ⅱ表>千葉県共同募金会 における配分先・数・配分額(2008年度)()


募金の種類/配分先


社会福祉協議会


福祉施設


福祉団体等


赤い羽根共同  


314,853,000(56 )


68,580,000(40)


28,530,000(42)


市町村歳末たすけあい


222,581,144(55)


 

 

 


 

 

 


NHK歳末たすけあい


 

 

 


31,594,212(143)


3,894,350(13)

 

<Ⅱ表>における赤い羽根共同募金の配分額合計411,963,000円(138か所)と<Ⅰ表>配分結果443,019,550円との不一致については調査中。

 

 <Ⅱ表>からもわかるように、赤い羽根共同募金の配分結果総額44301万円を分母に県内の社会福祉協議会に配分された31485万円は62.5%にあたる。市町村歳末たすけあい募金も全額県内の社会福祉協議会を通じて配分されている。配分された佐倉市社会福祉協議会は、さらにどのように配分しているのかを知りたいと思った。(つづく)

 

 

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コメント

私の自治会(愛知県)でも記述のことが行われています。
4月に自治会費に上乗せですべての寄付が一括で徴収されるのです。
任意と言いながら、寄付額が決まっております。
実家(東京)の自治会ではそんなことはなかったので、現在のところに居を構えた時から不満に思っていました。
私は数年前から、寄付の部分は自治会の要求額を出していません。自分のきもちで額を決めて出しています。
今年は自分が集める側になった(班長)ので、集金の際にプリントを作って「寄付は任意であること」「額は自分で決められること」を強調しました。
結果は、我が家以外は例年通り、自治会の要求額を出していました。

2年前位には、当時の組長に寄付額が一律で決まっていることはおかしい旨、指摘したこともあります。
額が決まっているうえに、
大地主も、成人した子供がいて一家に収入源が複数という家も、高齢者一人世帯も同じ額なのは不公平であるとも申し上げました。
何も変わりませんでしたが・・・

自治会も市からの割り振りで、どこの地域で幾らの寄付を集めると予算が決まっているそうです。
任意の募金なのに予算があるのもおかしな話です。
市で必要な経費なら、税金からうまく運営すべきだと思います。
それに特定の団体を市が保護するのはおかしいですよね。
だから、今年、班長として自分が担当する家庭には集金の際にPLAN JAPANという途上国の子供を支援する国際的な団体のパンフレットも配っておきました。

上に書いたようなことを何度か朝日新聞「声」の欄に投書しましたが掲載してはいただけませんでした。残念です。

投稿: ミキ | 2013年10月 2日 (水) 13時24分

ありがとうございました。参考にします。
今のところ町内会は脱会したままなので、気楽に傍観しているところです。
共同募金会の方を何とかしてほしいものです。

投稿: 太陽 | 2012年11月 5日 (月) 22時44分

太陽さん、町内会の寄付について、いろいろ苦労されて来られたご様子お察します。以下のブログはご覧になりましたか。自治会を変革された成功例です。まだでしたら、参考になると思います。

地域活動<自治会 社協>
http://tiikikatudou.blogspot.jp/2012/04/23-400-4-23511-23-20-httpwww.html#comment-form

投稿: | 2012年11月 5日 (月) 20時25分

勝手ながら私のブログにリンクを貼らせていただきました。

投稿: 太陽 | 2012年11月 5日 (月) 15時54分

強制は違法ですから、おとなしく従ってはいけません。

投稿: ぴっこ | 2012年3月 2日 (金) 21時15分

東北地震災害や難病とか手術台とかで募金集金したお金は本当に募金されているのですか?

投稿: ヨシダケイコ | 2011年4月 3日 (日) 15時23分

大阪の公立学校でも任意団体への強制加入があるよ。会費も給与天引きするとこもあるそうな。

投稿: | 2011年1月11日 (火) 12時54分

私も最近千葉に越して来て、町内会の方から「全員に一律¥500でお願いしています」と言われてビックリしました。
募金なのに強制って・・・

投稿: | 2010年10月11日 (月) 10時41分

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