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2010年4月 8日 (木)

千葉県、不正経理の泥沼~「移動交番」なんかに騙されてはいけない

氷山の一角のような気がしてならない

 4月5日で、森田健作が千葉県知事に就任して1年になる。ほんとうに、腹が立つやら、情けないやら、千葉県民が選んでしまった知事なのだ。千葉テレビは、48日から、森田健作主演のテレビドラマ「おれは男だ」の再放送がはじまるというので、知事は大喜びらしい。(『毎日新聞(千葉版)』201042日)

 その森田知事が、昨2009年夏、発覚した県庁の不正経理について、堂本暁子前知事時代の不祥事とばかり、勇んでその解明に胸を張った。が、調査は遅々として進まず、それでも9月と12月に調査結果が公表された。森田知事就任以降も、複数部署で不正経理がなされていたことも発覚。分かっただけでも、2008年までの6年間で40億円になる。関係部署は、96%に及び、知事部局ではすべての部署から、全体で1824名の職員の処分者を出している(教育職は別)。一般行政職員は約8000人だから、ほぼ4分の1が処分されていることになる。教育職約40000人、警察職約12500人(「千葉県の給与・定員等について・平成19年度」)においても不正経理は報告され、県立学校からも462人が処分された。これでは、県民の税金で犯罪者集団を雇っているようなものではないか。

その不正経理の手口は多岐にわたる。会計検査院はつぎのように区分する。そのすべての方法が「実施」されていたという。

①預け金:取引業者に架空請求させ、その支払い代金を業者にプールさせる

②差替え:契約とは別の物品を納入させる)

③一括払い(業者に納入させ、納入物品とは異なる請求書を作らせ、後でまとめて支払う)

④先払い、翌年度納入、前年度納入など事実と異なる検収日付により支払う)

千葉県では、圧倒的に①の「預け」が多かったが、「不適正」については千葉県独自の分類もする。経理処理の日付が不適切な場合、伝票とは異なる消耗品を納めさせた場合、消耗品の支出伝票でパソコンやデジカメ等の備品を納入させ、現物確認できた場合(返還率は0~10%)、確認できなかった場合、将棋盤など公金の支出として不適当で、現物が確認できる場合、公金支出が不適当な消耗品、飲食物などで現物確認できない場合、私的流用が疑われる金券類や使途が不明な場合など、は、全額返還させる、としている。昨年末の報告では、推定約9億円を職員から県に返還させるとしているのだが、主幹級以上の職員による、その返還金について、ある部署で職員一人1万円のカンパを強要したという事実までも内部告発で明らかになった。

2月県議会予算委員会では、この不正経理の質疑においても、知事はほとんど答弁に立たず、総務部長に代弁させていたという。さらに、昨秋1022日議会に設置された不正経理調査特別委員会は13回開かれたが、さらに調査期間延長を、民主・公明と共産・市民ネット・社民・無所属の4会派で発議したが、自民の反対で否決された。自民党の言い分はといえば「特別委の所期の目的は果たせたので、今後は再発防止の未来志向で」「千葉県国民体育大会に力を入れるべき」「議会にも責任があるのだから議員報酬の削減を」などと調査の幕引きをはかった。

長期間、巨額の不正経理がなぜ見逃されてきたのだろう。1997年には、内部告発もあって、議会でも問題になったが、当時の沼田武知事は「誰からとも分からない通報だ」と調査を拒否し、2008年堂本前知事が指示した内部調査も進まなかった。県職幹部と多数会派自民党、業者との癒着は闇に葬られようとしていたのだと思う。毎日新聞政治部記者の署名記事では、その防止対策として仲間内の内部監査では限界があり、日常的な外部監査の必要性が強調されていた。

「移動交番」なんかに騙されてはいけない

 森田知事は、父親が警視庁の警察官であったとかで、警察行政への個人的な思い入れがあるそうだ。その一つの表れなのか、「移動交番車」の制度が3月から発足した。佐倉警察署にも1台配備され、4月は1日2時間の4か所に開設という。1か月で延べ8時間稼働したところで何ができるというのだろう。事件事故多発地帯、交番新設要望地域での届け出受理、パトロールなどを行い犯罪抑止や防犯強化を図るという。今年度は県内の15市に1台配備、佐倉市が、その15市に選ばれたのは犯罪多発区域だったからだろう。近頃、私の住む町内でも、空き巣や車上狙いが多発、振り込め詐欺もあとを絶たないらしい。だとしたら、もっと先にやるべきことがあるのではないか。知事のパフォーマンスに振り回されるだけではないか。まず、まるで焼け石に水のような移動交番より既設交番への警察官配備を徹底してほしい。交番の前を通っても、無人の場合がほとんどなのである。110番通報しようものなら、通報者の身分を徹底的に調べ上げるが、肝心の対応がにぶい。昨年末、佐倉警察署では、薬物捜査担当の警部補が覚せい剤取締法違反で逮捕された。最近では、中井国家公安委員長、警察庁幹部らのスキャンダルが次々と報道されている。そして、今回発覚した県警の不正経理の詳細も明らかにされていない。森田知事だって当選直後に発覚した自称「剣道2段」問題はともかく、「完全無所属」公選法違反問題では不起訴処分になったものの釈然としないし、政治資金問題はその後ウヤムヤになっているではないか。

このレポート作成には、以下の資料とMSN産経ニュース、asahi.comマイタウン千葉などのインターネット情報を利用した。

千葉県経理問題特別調査結果報告書概要(千葉県)200999

千葉県経理問題特別調査結果報告書[追加調査分]概要(千葉県)20091218

記者の目・病理根深い千葉県の不正経理(倉田陶子)『毎日新聞』201041

千葉県議会議員小松実のホームページ2010319日ほか

市民ネット・社民・無所属千葉県議会報告『ししゃむ通信』20103

“熱血”県政の評価・森田知事就任1年『東京新聞』(千葉中央版)201045

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