短歌ハーモニー、「千葉市女性センターまつり」に参加しました
先の週末11・12日は、千葉市女性センター恒例の「センターまつり」だった。私たちのサークル「短歌ハーモニー」も参加した。自作の書作品を展示するのは例年の通りとし、今回は、月例の歌会をまつりの当日に、公開形式で開催したら、ということになった。
展示の不安と楽しみ
第1希望の展示室が抽選でとれなかったので、センター2・3階への踊り場の壁面を利用できることになった。壁面のスペースは広いので、色紙以上大きさの作品を一人4点とした。踊り場という場所が幸いして、見てくださる人は、かえっていつもより多かったかもしれない。
まつり前日の飾り付けには作品を持込み、展示終了までには結構時間がかかった。自作を書作品にすることには、なんとなく心細がっていた方もいらしたのだが、元気のいい、個性あふれる作品が集まった。もちろん、本格的に書を学び、かなの細字が得意な方もいらっしゃるが、この機会に筆を持つという方が多い。若いとき10年ほど職場のサークルで書を習っていた私は、?十年のブランクを超えて、毎年この時期に筆を持つのは、半分不安ながら、楽しみにしている部分もある。
ここでは、各人2首づつ、掲載しておこう。
・ふきのとうの言の葉楽しふきのじい ふきのしゅうとめ うらうらと春
大堀静江
もう一晩泊っていけばと母の声聞こえた気がして闇にふりむく
・強風の神威岬のかざかみへ呼ぶ声切れて離りゆく夫
海保秀子
これの世を櫨の並木のもみじ葉は夕べひととき異界への道
・おはようの声かけすると涙する語れぬ母は聞えて居るか
加藤海ミヨ子
息子よりプレゼントにと福袋開けてびっくり若者グッヅ
・石榴の実ガラスの皿に弾けとび色はつややかルビーのごとく
中川とも子
岩肌をいたわるように秋水の流れに夕日あかあかと射す
・ガンバレの声援うけて昇り降り公園わきのわずかな段差(1歳1か月)
藤浦栄美子
ママのドレスを着れば忽ちシンデレラ代わる代わるにビビデバビデブー
・若き日のままの友達花冷えに『マルコムX』を手渡されおり
前田絹子
みどりごが歩み初むるをはやされて何処へ続く一歩かし知れず
・ときわ木と若葉の萌黄せめぎある世代交代桜散るころ
美多賀鼻千世
朝夕に秋の気配がしのびよる蛇口の水を両手に受けて
・晶子・らいてう・菊栄らの論争いまだ越ええず<女の仕事>
内野光子
伐り口は木の香放ち倒さるる樹木は静かに身を横たえぬ
まつりの初日、展示作品近くで作業をしていた会員に、内野の1首目に目をとめて、「こんな短歌もあるのね」と声をかけてくれた方が二人いらしたそうだ。私の第1歌集『冬の手紙』(1971年)に収録したものだった。「イクメン」などという言葉がもてはやされる昨今だが、働く女性の状況はどこまで変わったのだろうか、思うことしきりではあった。
飛び入り歓迎の歌会は
2002年から続けている歌会は、今回で95回になる。歌会には当然のことながら、会場確保、詠草や資料の取りまとめと印刷、会計などの裏方の仕事が伴い、会員のみなさんの連携プレーによる。当初からの会員のMさんは、第1回からの資料をクリアファイルにきちんと揃えていて、今回の歌会の折に、公開展示、頁を繰っていると感慨深いものがある。
今日の歌会は、日曜日のこともあって会員の欠席もあったが、飛び入りの参加者6人のうち3人の方が作品を持参してくださって、にぎやかな会となった。参加者の多くは、ふだんから短歌や作歌に関心があって、少し本格的に取り組みたいのだけれど、どんな方法があるのかを模索されているようだった。いま「自分史」を手掛けているけれどその中に短歌を詠みこみたい、書道に専念してきた30年だったが他のことにも取り組みたい、旅行などをして、その感動を形に留めておきたい・・・などと積極的であり、私たちも大いに刺激を受けたのであった。
ちなみに今月の出詠作品から1首づつ。
・落葉松のまつぼっくりの一人言今ごろ故郷は雪降り積む
・浜風の冷たくなりて波の間に浮く鴨の増す師走間近く
・秋雨に打たれて路地に重なれる色とりどりの濡れ落葉ふむ
・ひたすらに音符追いかけ弦を弾く音色とぎれて美しからず
・捕られまい右手左手持ちかえて必死で攻防最後のお菓子(妹1歳年6か月)
・学校の賞でいただくお針箱半世紀後に形をくずす
・このあたりの花屋は無くなり脈絡のつかぬ地下街に成り果せたり
飛び入り参加者の感想は、「とてもアットホームでよかった」とのことだったが、喜んでいいものか、微妙でもあり、複雑な気分だった。
歌会会場の拙著の一部の展示
歌会を終えて
展示作品の一部
| 固定リンク
最近のコメント