肝心なときに、使えなかった防災井戸
私の住まいは、佐倉市のユーカリが丘地区の大部分を校区とする中学校が近い。防災訓練の時は防災井戸の確認は行うが、そういえばその水を飲んだことはなかった。数年前、自治会役員だったとき、市役所がプールの水を浄化する実験に立ち会ったことがある。飲めるからと言われても、濁ったプールを前にゴクリとはいかなかったこともあった。
3月23日東京の水道水が放射性物質の数値が乳児向けの指標値を超え、乳児の摂取制限が報じられたのを受けて、佐倉市は3月24日「福島原発被災に伴う水道水中の放射性物質について」がホームページや防災放送で流れたのは24日16時以降だった。その内容は、3月23日の検査結果では指標値以下であるが、念のため乳児の飲用は控えるようにというもので、市内の防災井戸設置の小学校・中学校名10校と市役所水道部前の給水車が示されていた。近くの中学校の名前がないのに気付いた友人は、市役所に問い合わせたという。件の防災井戸は、壊れていて使用できない、修理を頼んでいるが、いつになるかわからないということだった。なんということだろう、昨年12月の点検では作動したということだった。近辺の乳児のいる家庭では、すでにほとんどの店先から水のペットボトルが消えていたのだから、随分と焦ったことだろう。
翌25日の朝、千葉県内の近辺の市でも、水道水の乳児飲用控えが報じられ、不安が募る中、近くの中学校の防災井戸が使えないとあっては、不便する人も多いに違いない。市役所の交通防災課に電話して、中学校の井戸の修理ができないならば、井戸水の給水車をただちに配置すべきではないか。マンションも戸建ても多いユーカリが丘、人口の多いエリアが給水の空白になっているのだから、対策を講じるよう迫れば、市役所は給水車を2台しか持っていないから・・・、さらに、もう数値は下がっていますから・・・とも職員はいう。控えるようにと広報しながら、それはないだろうと思うのだが、人口17万人で2台?、全域断水になったらどうなるのか、こんな程度の危機管理だったのある。隣町から借りるなり、一台を2か所でシェアするなり、早く空白を埋めて下さいと依頼した。それも交通防災課、水道部と電話を回され、回された先では、それは交通防災課に聞いてくれとまた電話を戻そうとされた時には怒った。千葉県内で旭、香取、浦安についで4番めに大きい被災市だというのだから、災害対策本部などを作って、情報の一元化、対策の統括を図るべきだろう。防災井戸は交通防災課、給水車は水道部という縦割りを、この災害時に“守り切る”役所仕事に腹立つのだった。
翌朝、友人から、防災緊急メールで中学校の防災井戸が開いたよとの転送メール、市役所のホームページをみれば、今朝の8時から中学校の井戸の給水が可能になった。いつなおるか分からないと言っていただけに、ともかくほっとした。街の店にはすでに水のペットボトルも並んでいたし、スタンドに並ぶ車も見かけなくなった。 中学校の井戸を覗きに行くと、蛇口が二つ、職員はおらず、張り紙が一枚、8時から夕方の5時までということだ。若いお母さんが一人とお年寄り夫婦が並んでいた。私も、仕舞い込んでいた防災グッズの蛇口のついたバケツ持参で、一杯いただいて帰ったのだった。
しかし、依然として水への不安は続き、広がっている。当地の水道水も日替わりで数値は変わっている。情報のタイムラグもある。乳児のいる家庭を優先的に近場での防災井戸水を活用されたらいかがだろう。佐倉市水道部の話では、消毒の塩素の効果は常温で3日間ほどあるそうだ。
(追補)
その後の佐倉市の災害情報によれば、防災井戸は、修理等が完了して、現在14か所稼働していることが分かった。しかし、2010年現在、災害対策の一環として、18か所の防災井戸が設置されているので、依然として4か所が利用できていないことも分かった。(2011年4月14日記)
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