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2011年4月14日 (木)

そして、4月12日も忘れがたい

長引く余震の不気味さ、テレビ画面の被災地の惨状と被災者の過酷さは、その様相は若干変わっても、深刻さは一か月たっても変わらない。加えて原発事故の被害の拡大がずしりと重い。

「レベル7」の背景

412日には、福島原発事故は、その放出放射性物質の量と範囲により国際事故評価尺度レベル7「深刻な事故」と発表された。原子力安全・保安院は、放出量のピークは31516日の2日間だったことも発表していた。それでは、これまでの政府や原子力安全・保安院からの発表は何であったのか。見るからに、伝聞情報、未確認情報ばかりの怪しげな会見で、無内容に等しい、断片的な情報ばかりであった。また、この時期に及んでの「レベル7」の発表は、原子力安全委員会と原子力安全・保安院双方の解析に時間がかかったからとのことだったが、日本の過小評価には海外からの厳しい目があったとする見方もある。それでもメディアは、チェルノブイリ事故に比較しての安全情報の大合唱である。

どういうわけか、NHKのテレビニュースでは、原子力安全・保安院のスポークスマンである西山審議官の名前を一切出さなかったのが不可解だった。民放では、肩書とフルネームは最初から出ていたような気がするのだが。そして、49日、原発事故対策に不備があったことを認める会見から、肩書と名前が出るようになった。西山審議官は、今回の地震後に着任した、原子力の専門家でもないということだし、その頼りなさはいかんともしがたい。

313日当初の根井審議官の会見は見損なっているのだが、仕方なく幹部からの指示で、お役を担当したとか、これまでの東京電力の数字は信頼がおけない、とか笑顔をも浮かべる会見だったらしく、一部顰蹙を買ったということで降ろされ、交代した末の西山審議官だったわけである。

(補記)原子力安全・保安院は、地震発生後、次のような会見を行っている。
・3月12日夕方:中村幸一郎審議官「1号機原子炉の心臓部が損なわれ、炉心溶融が進む可能性がある」
・13日1時30分(深夜):会見者氏名不明、会見の体をなさず、会見中の左右との打ちあわせ、上司らしきからの伝言やメモ、資料の頁繰り、沈黙など、回答不明。「施設内の水位計測器がスケールダウンした不安」だけは伝わるが、「他は、データの整理と考え方の整理をする時間を要する」
・3月13日5時30分(朝):根井審議官「幹部の指示、ある程度責任ある者の会見ということで、当分の間私が行う」「東電の数字に信頼性がない、海江田経産相・保安院・東電が一緒に確認していきたい」「海水の注水が継続していれば危険はない」以下参照。(4月19日記す)

復興構想会議とは

412日の夕方には、菅総理の一か月会見もあった。本当は前日の予定が、夕方の余震で延期したそうだ。復旧ではない夢の復興計画を語り、日本の英知を結集したとする「復興構想会議」立ち上げを報告するばかりで、現実的な施策がない。その上、原発事故は「一歩一歩安定に向かっている」と、前日用の原稿を読み上げているかと思うほどだ。そして唯一具体的なことといえば、被災地の産品を買ったり、利用したりしようという呼びかけだった。カイワレを食していた大臣時代の軽さを思い起こす。原発事故の補償は、一義的には東電の責任だが、政府も適切な措置を取りたい旨の発言をしたことだった。

「復興構想会議」のメンバーを見ると、相変わらずの面々で、どこかで名前を見たような、昔の名前で出てきたような人たちが多い。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/fukkou/pdf/kousei.pdf

被災県の知事は当然ながら、都市工学や防災学の専門家が各一人と少ないこと、エネルギー・原子力関係の人は皆無で、政治学・民俗学の研究者、建築家、脚本家、宗教家、メデイア関係者、哲学者、とその肩書きと名前を並べてみると、かなり文学的な、情緒的な人選であって、国民が信頼するに値する実践的なメンバーではない。「東北地方とゆかりのある方々」と前日の枝野会見では強調していたが、男のロマンや思いつきが語られ、それを19人の検討部会に投げるのだろう。というより官僚の提案を検討するのだろう。検討部会のメンバーとても座長が飯尾潤とのこと、民主党の応援団ではなかったか。6月をめどに提言をまとめるそうだが・・・。これもどこかで聞いたようなセリフ。私の住まう佐倉市でも、3月末、危機管理プロジェクトを立ち上げ、第1回の会議で3つの検討課題を決め、提言をまとめるそうだが、その日程も定かではない。自治体から政府まで、提言ばかりが踊りかねない。

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