佐倉市の審議会などの形骸化とその問題点~市民参加を実現するために
2011年6月4日、市民有志による、佐倉市議との懇談会なる集まりがあった。主催事務局は新しい市議会議員の全会派の代表と無所属を含めた一人会派の市議にお誘いの手紙を送ったそうだ。当日の参加市議は4会派6人、お一人の市議が急用で不参加となったのが残念だった。
市民側の参加者も、市政・市議会の改革にかかわる活動を続けているいくつかの団体のメンバーが多かった。会派の支持者も参加していたと思うが、多種多様な市民が集まったという感じだった。市民有志の要望もあって、あらかじめ用意した話題は次の3つだった。
①市の防災対策について
②議会改革の市民参加について
③審議会の在り方や市民参加について
①は、東日本大災害への佐倉市の対応があまりにもお粗末だったことを知った市民の声を反映し、②は、昨年12月議会で成立した「議会基本条例」をいかに中身のあるものにしていくかという思いは熱く、議会でも進められているという条例第7条の市民への広報について活発な意見交換がなされた。①については、原発事故への不安を反映して、佐倉市の印旛郡9市町村合同での県への放射能対策強化の要望(6月2日付)、佐倉市独自の測定要望などについても話し合われた。③については、市民有志の中にも、自分なりの関心分野でいささかでも市政にかかわりたいという思いで、さまざまな審議会や懇談会などの委員公募の際、応募し、はねられたという苦い経験を持つ人が何人かいた。そういう私もその一人だったが、自分が一期(2年間)だけかかわった審議会があるので、その実態と現行制度の問題点を探ってみた。
以下は、6月4日の集まりで報告したレジメをもとに書きとどめたものである。
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佐倉市の審議会などの形骸化と問題点
~市民参加を実現するために~
1.佐倉市の審議会などの現状
(1)どんな審議会がいくつあるのか
佐倉市にはいったいどんな審議会がいくつあるのか、素朴な疑問から調べていくと、市役所のホームページの「佐倉市の審議会等の一覧」という見出しに出くわした(総務部総務課行政管理班のサイト)。この一覧によれば、以下のとおりである。
①付属機関(現在38機関)a型
地方自治法133条の4第3項の規定により法律又は条例により設置されたもので、例えば、以下のような、基本的な市行政にかかる事項を主題とする審議会で、なかば永続的な審議会である。( )内は事務局を置く担当課名を示す。
企画政策部:総合計画審議会(企画政策課)
総務部:情報公開・個人情報保護審議会(総務課)
市民部:市民協働推進委員会(自治人権推進課)
男女平等参画審議会(自治人権推進課)
都市部:都市計画審議会(都市計画課)
福祉部:子育て支援推進委員会(子育て支援課)
介護認定審査会(介護保険課)など
②付属機関に類するもの(現在27機関)b型
規則または要綱などにもとづき設置されたもので、テーマ限定、期間限定の会議で、その名称も懇談会、委員会、懇話会、検討委員会などさまざまである。
企画政策部:自治基本条例策定市民懇談会(企画政策課)
福祉部:地域福祉計画推進委員会(社会福祉課)
都市部:都市マスタープラン策定懇話会(都市計画課)
教育委員会:史跡井野長割遺跡整備検討委員会(文化課)
①の設置の根拠条例を「一覧」の備考欄にリンクしてもらえば簡単なのに、いちいち「条例・規則検索」により検索し直さないといけないことになっている。②の根拠になっている要綱については、ホームページ上の公開・非公開は事務局担当課の裁量なので、ネット不登載の場合は市政資料室へ出かけないと閲覧できないという不便さである。公開の場合でも、その要綱にたどり着くまでは、相当の根気を要することが分かった。これも「一覧」の備考欄にリンク先を記載すれば済むことである。登載が進まないのは、市民が「要綱」など確認により不都合があるのを危惧してか、実態が要綱にすら沿ってないことを明らかになるためか、などと勘ぐりたくなるではないか。
今回の調査の過程で、「一覧」を管理している総務部行政管理班の担当者には
ただちに、「一覧」の備考欄に条例・要綱などの設置根拠へのリンク記載を要望しておいた。早急な実現を望みたい。
(2)審議会などの設置・運営について
つぎに、このような現在65もある「付属機関ないしそれに類する」審議会を束ねて管理する法規はないのか、という疑問。これは、上記、行政管理班担当者の誘導により「佐倉市付属機関等の設置・運営に関する要綱」(総務部総務課→組織・事務に関すること→各種のお知らせ)にたどり着いた。その要綱に拠れば、以下のような縛りはあった。
①設置の条件:他の行政手段でできないか、その必要性、類似・重複がないか、目的・所掌・委員数・期間など明記しているか、委員は15人以内で必要最小限度か
②懇話会等付属機関に類するもの:検討事項を具体的に、期限を設けているか
③委員の選任については以下の配慮をしているか
・各界各層、幅広い年齢層にわたる
・女性委員の登用については「男女平等参画推進条例・同基本計画」の数値目標35%以上になるよう努める
・再任は3期または8年のいずれも超えないこと、ただし専門的な知識がある場合や特別な事情がある場合の特例は認める
・兼任は3機関以内を限度とする、ただし、再任の場合と同様の特例を認める
・10分の3以上を公募する、10分の3未満の場合は、意見募集・公聴会などにより市民の意向反映を配慮する
④会議の運営・公開
・会議は公開(傍聴可)、会議録の作成・閲覧に供する
・「佐倉市審議会等の会議の公開に関す要綱」による
上記①②についても、付属機関2種、a型b型に重複するものはないか、とくにb型のなかで統合できるものはないか、たとえばa型の民生委員推薦会とb型の民生委員候補者推薦準備会の相違は何なのか。また、b型に多い各部署の計画策定にかかわる会議の経過・内容をみると、市民参加の形態をとりながらも、行政主導、行政提案の追認制度になっている場合が多いように見受けられる、など問題は多い。
さらに委員の選任については、いくつかの数値目標、公募委員の割合、女性委員の割合はどれほど実効性があるのか、再任・兼任の特例を設けることによって、委員の固定化、長期化は著しく、まったく形骸化していることは、後掲のいくつかの事例でも明らかである。行政による改善の努力も全く見られないのが現状である。
さらに、委員の公募については「佐倉市付属機関等の委員の公募に関する要綱」をもって次のような要件を付する。
①公募の方法
②応募の条件
・市内在住・在勤
・兼任3機関以内
・国・自治体の議員、佐倉市の常勤職員は不可
③選考方法:申込書(小論文含む)の書類選考、決定困難な場合は面接・抽選など可
④選考:担当部長または課長、人事担当部長または課長、付属機関等の庶務担当部または課などの長その他による選考委員会設置
問題は、選考方法と選考担当者である。ほとんどが小論文などの書類選考を行うが、その選考にあたるのはだれかと言えば、事務局担当の担当課とその担当部および人事担当関係者なのだから、まさに行政に都合のいい、行政にとって安心・安全な意見の持ち主しか選考されないことは明白である。まさに究極の御用学者・御用市民による委員が選ばれる仕組みと言えるだろう。
2.委員選任の実態~情報公開・個人情報保護審議会を例として
筆者がかかわった審議会の委員名簿を時系列で追跡してみると、別表のように
なる。
別表↓
http://dmituko.cocolog-nifty.com/singikaisiryo.pdf
この一覧を子細に眺めていると、委員だったころの行政の対応や他の委員たちのいい加減さを思い起こし、その後も何も変わっていない様相に気分が悪くなるほどである。説明することもないが、この一覧から見えてくるものは、一向に収まらない、委員の長期化、固定化、兼任状況の変わらなさである。また、会長・副会長のコンビが、私が1期だけ副会長を務めたのを除いて変更がない状況をどう説明するのだろうか。再任の特例が認められるほど専門的な知見をもって議論がされるわけでもない。むしろ常識的な市民の感覚や良識がもっと生かされるべきではないのか。
とくに驚いたのは、副会長を続けている委員が、選出母体を持つ行政選任の委員から、突如、「市民公募」に乗り換えて委員になっている事実だった。「御用市民」の何ものでもない。
さらに、情報公開を主題とする審議会でありながら、いまだに「会議録」に、出席委員のフルネーム、発言者の記名が一切ない。なぜ発言委員の名前を会議録に残さないのか。かつて、残すべきだとする私の提案は、多数決で否決された。自由な討議の妨げになるから反対だというのである。
3.どうしたら少しでも市民参加への道は開けるのか
平凡な結論ながら、とりあえず、以下のような努力を重ねてみることが必要なので
はないか。
①委員の長期化・固定化・兼任、渡りについて
専門性ならぬ行政への貢献度・忠誠度が優先する選任方法の改善へ
・市民公募の委員を少なくも35%以上、さらに50%以上にする。
・少なくとも再任・兼任を要綱の範囲にとどめ、特例を撤廃する
・委員就任に際して、年齢・選任母体、職業、町名、兼任状況などの情報を公開する
・構成メンバーに議員が入っている場合は排除し、市民公募に変える
②選考方法の変更
・市民公募の割合の確保と同時に、その選考は応募者の抽選とし、行政の介入・恣意性を排除する
③ 情報公開の徹底
・審議会等の根拠法例・規則・要綱の明示(リンクの徹底)、検索を簡易化する
・委員名簿の公表、氏名のみならず、年齢、職業、住所町名、選任母体、委員経歴、兼任状況などはネット上公開をする
・会議の公開の徹底、発言者記名つきの会議録、資料をネット上公開をする
・関心のある審議会はつとめて傍聴し、市民公募には応募する
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戴いた鉢植えを数年前に庭の隅っこに植えた。
毎年、開花を楽しみにしているが、
今年の咲きっぷりは見事でした。
6月3日
6月4日
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