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2011年7月 4日 (月)

中学校教科書の中の短歌と昭和天皇と(1)晶子から俵万智まで、女性歌人が優勢になったが

628日、検定済教科書展示会に行くことになった。佐倉市中央公民館での展示が6月いっぱいということで、友人のお誘いもあってやって来た。たまたま最近、私自身や娘、昭和一ケタの次兄の教科書まで、物置にあるのを発見、その時のことは本ブログにも書いた。http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2010/09/1945-da7f.html

今どきの教科書は、どうなっているのか。それにかつて「あたらしい歴史教科書をつくる会」による扶桑社版の教科書問題が、いまは、内輪もめを経て新たな火種になっている。今回は時間もないので、自分の関心事である、中学校の国語教科書に「近・現代短歌」がどう扱われているか、歴史・公民教科書に「昭和天皇」がどんなふうに登場するのか、だけでも知りたかった。それにしても、時間がない。節電で暗い展示コーナーは、そっけなく、「今使われている教科書」「これから使われる教科書」の仕切りがあるだけの机上に無造作に立てられ、並んでいた。コピーでもとれると、まだよかったのだが、尋ねたところ、「県や市に問い合わせてから」とラチがあかない。何のことはない、写真を撮っているのは、いろんなブログでも見ていたのだから、撮ればよかったのだが、気が付くのが遅かった。

感想を書くには、材料が少ない。いずれにしても、教科書研究センターや国際子ども図書館にでもいかなければならない。とりあえず、短時間で、自分が見たことだけをお知らせしておこうと思う。

1.教科書の中の短歌・晶子から俵万智まで~女性歌人は優勢なのだが

近代・現代短歌に、比較的頁をさいていると聞いたことのある「教育出版」の中学校国語「伝え合う言葉」1・2・3を大急ぎで見てみた。

「伝え合う言葉 中学国語」(教育出版)1・2・3

平成18年度版「1学年」に俵万智「私の好きな春の言葉」「3学年」に、穂村弘「それはトンボの頭だった」というエッセイが載っていた。近・現代の短歌のメインは「2学年」で、「近代の短歌」と題して、茂吉・母の歌、啄木・ふるさとの歌・、牧水・旅の歌、晶子・恋の歌のあわせて9首が載っている。

平成24年度版「1学年」変わらず。「2学年」も歌人も作品も変わらないのだが、トップが茂吉から啄木に替っていた。「3学年」に佐佐木幸綱の書下ろしの鑑賞「古典の歌、現代の歌」が入って、「現代の歌」として栗木京子、俵万智、竹山広、正田篠枝の作品が掲げられていた。竹山、正田の長崎、広島の原爆作品を扱っているのは、中学生へのメッセージとして重要だと思った。近年竹山は亡くなったが、俵ともども佐佐木氏率いる『心の花』の同人というのはいささか気のし過ぎか。

以下は、帰宅後、いずれも平成18年度版をネット上で調べてみたのだが、参考のためメモしておこうと思う。

「現代の国語」(三省堂)「2学年」:「短歌の世界」として、子規、赤彦、晶子、茂吉、白秋、牧水、啄木の近代歌人と寺山修司、栗木京子、近藤芳美、馬場あき子、李正子、俵万智の作品が登場する。

「中学校国語」(学校図書)「2学年」:「短歌十五首」として、子規、啄木、迢空、善麿、茂吉の近代歌人のほか、道浦母都子、河野裕子、永井陽子、平井弘、栗木、寺山、荻原裕幸、岡井隆、佐佐木幸綱の現代歌人と草地宇山という旧軍人(辺見じゅん『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』収録)の作品が収録されている。導入部分に佐藤正午による俵の「この味がいいね・・・」の鑑賞がある。

「国語」(光村)「2学年」玉城徹書下ろしの「短歌を味わう」においては北原白秋、正岡子規、石川啄木の1首ずつ挙げる鑑賞である。さらに「十二首」として、伊藤左千夫、赤彦、晶子、長塚節、茂吉、前田夕暮、牧水、佐藤佐太郎、宮柊二、塚本邦雄、栗木、俵の作品が掲載されている。

「新しい国語」(東京書籍)「2学年」道浦母都子の鑑賞文「言葉でパチリ」では、俵、大口玲子、永井陽子と中学2年生の作品を鑑賞し、短歌五首、晶子、茂吉、啄木、寺山修司、俵万智が掲載されている。

5社の国語教科書の近代・現代の短歌教材をざっと目を通したことになる。次の2首の採録が際立っていた。

・死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる(斎藤茂吉)                          (『赤光』) 教育出版・学校図書・光村・東京書籍 

・観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生(栗木京子)
(『水惑星』1984年)   三省堂、学校図書、光村 

茂吉は、私たちの教科書にもあったような気がする。受験教材にはあったろう。大人になって、身近な人の死を経験すると理解も深まる。中学生にわかるかなあ、とも思う。栗木京子の作品には私が好きな歌もあるのだけれど、この歌はどうしても抵抗がある。リズムもいい、リフレインや対比という手法も取り入れられている、内容も一見わかりやすい。しかし、こんな歌が独り歩きして、中学生の男女に刷り込まれていくと、ジェンダーの観点からみると、どうだろう、と思ってしまう。男子というより男性が喜びそうな歌ではないか。 

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