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2011年11月 7日 (月)

ようやく「ミツバチの羽音と地球の回転」を見る

草枕旅行く人を伊波比島幾代経るまで斎ひ来にけむ

 

福島原発事故以降、全国54基の原子炉と設置予定の場所が、地図で示されるようになった。「上関原発」の名は聞くがどこなのか、「祝島」の反対運動の話も聞くが、私は、正直、無知にも等しかった。

 映画は、山口県上関町祝島の三浦湾でのヒジキ漁から始まる。岩の間から海草を刈るように採っている青年がこの映画の中心人物のひとり「山戸孝クン」であることが後でわかる。やわらかくて、良質のヒジキはこの島の特産である。人口500人、平均年齢75歳の祝島から3.5キロの対岸、田ノ浦湾に、中国電力による上関原発の建設計画が持ち上がったのが1982年。以来、祝島の人々の暮らしそのものと漁業やビワ・ミカン生産などに与える影響の大きさに、島民は原発反対の活動を続けていた。中国電力、行政による島民への様々な嫌がらせや妨害が続き、島の人々も分断されてゆくなか、山戸親子を中心に島の人々は、原発に頼らなくとも暮らせる自立の道をさぐりつつ、声を上げた。毎週月曜日の原発反対のデモを続けられ、1000回にも及んでいる。中国電力は、反対住民との話し合いに応じないばかりか、工事区域を示すブイを配するためにやってきた作業船の上から、抗議行動をする船や島民に向かって「今後の102030年先の繁栄を考えております。発電所をつくることによって、確実な雇用の場が生まれます」「ほんとうは皆さんの中にも反対運動をやめてしまいたいと思っているかともいらっしゃるはずです」「このまま、ほんとうに農業とか第1次産業だけで、この島がよくなるとお考えですか。人口は年々お年寄りばかりの町になるっていうことはみなさんが一番よくお分かりでしょう」という定番のセリフを社員が叫ぶのだ。こうした攻勢へ応える島民の表情と言葉は重い。こう書いてみても、このドキュメンタリーに登場するする人々の知恵やしたたかさ、あたたかさやユーモアも伝わらないし、これまで守られてきた生態系の貴重さが伝えられないのがもどかしい。見ていただくしかない。

 また。この映画では、スウェーデンのエネルギー政策の転換~持続可能な地域自立型エネルギーを目指した地域の、その過程を丹念に追い、数々の提言をしているのも特色になっている。スウェーデン最北の町、オーバートーネオの風力発電、廃材チップ利活用による変革、ストックホルムの電気自動車と電力自由化の仕組み、ヨッテボリの太陽熱、波力活用など・・・。学ぶ点はたくさんありそうだ。第一、日本では、無駄な電気の消費を抑えるだけでも、原発の必要性には歯止めがかけられ、脱原発が目指せるようにも思った。今回の福島原発事故による「計画停電」なる鳴り物入りの大騒ぎは何であったのか、とも思う。

 祝島の原発反対の島民代表が、経済産業省に61万の署名を手渡すシーンもあるが、この署名は現在すでに100万筆を超えているという。

昨年来、神奈川県に住む娘から、この映画をぜひ見るように勧められていた。彼女自身が「今年1月の上映会で見たあと、311の原発事故に遭遇し、かなりのショックを受けた」といっていた意味がようやく分かった。この映画は20104月完成していて、順次上映されていたのである。映画が懸命に発信していた警告が、今回の上映中も鑑賞後の今も胸に突き刺さる。映画の題名が、やや<文学的>過ぎて、伝わりにくい一面があったのではなかったか。鎌仲ひとみ監督は「ミツバチの羽音はどんなに小さくても、地球の回転にすら影響を与えているかもしれない そう、小さな命のざわめき、いのちのエネルギーにこそ希望の種はまかれている」(「希望に至たる道」映画パンフレット)と語っている。

冒頭の短歌は『万葉集』巻十五の祝島をうたった8首のうちの1首である。地図を見てもわかるとおり、祝島は、伊予灘と周防灘に挟まれた室津半島の先の長島に続く突端の島であり、近畿や本州から九州にわたる最短距離の航路の寄港地だったという。船旅の安全を祈るうただ。島には「神舞(かんまい)」という伝統行事があり、九州の国東半島から神官を迎え、もてなし、神楽を奉納、見送るまで、5日間かけて行う。映画でも、とくに入船・出船の勇壮な場面が収められている。国東の人々と島の人々との古くからの交流や信頼関係を示す、4年に一度の行事、原発問題で、近年、2度も流れたというが、次回は20128月に行われるという。(2011113日)

「ミツバチの羽音と地球の回転」公式ホームページ

http://888earth.net/top.html

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