視聴者のみなさまと語る会~NHK経営委員とともに~in千葉
この12月初旬に、NHK千葉放送局の千葉放送会館が完成したという。そのお披露目のためか、12月17日(土)、千葉市役所前の新しい放送会館で「経営委員と語る会」が開催された。事前申込制で、100人ほどの申し込みがあったが、参加者60人弱か。司会進行が末田正男アナ、数年前、東京で開催の時も彼だった。参加者からの質問のさばき加減?が買われているのかな。
経営委員からは、数土委員長、井原常任委員、大滝委員、作家の幸田真音委員の4人、執行部からは専務理事、理事、千葉放送局長の3人だった。いつも思うのだが、肝心の参加者との実質的な質疑の時間が短く、主催者側の挨拶や説明に時間をかけることだ。資料を見ればわかることは、省いてほしいと思うのだが。意図的とも思われるように、質問は、一人1回とか、短くとか。これが「語る会」なのかな、役所の説明会と一緒じゃないかと思う。たった2時間しかないのに主催者側7人のご挨拶と説明で、最初の40分近くが費やされる。その挨拶が、千葉県に息子家族が住んでいるとか、千葉県に何年住んでいるとか、住んだことがあるとか、千葉県との「ご縁」をリップサービスのごとく話すのには参った。千葉はやはり田舎なのかな?と。
質問は、今回も、経営全般と放送関係に大きく分けてという手順だったが、視聴者にしては、一体としてのNHKで、どこまでが「経営」でどこからが「放送」なのか、分からない。経営委員長は、最初の説明で、小森委員長時代に約束した視聴者への10%還元が7%の受信料値下げの形で実現できたと胸を張る。末田アナは、まず受信料関係の質問はと限定するが、案の定、質問は、受信料を少々下げても、番組が劣化するのでは何もならない、これって誰?というような出演者が多い紅白、火曜日のドラマ、芸人がぞろぞろ出てくるケータイ大喜利など具体的な番組名が、複数の質問者から指摘され、若者に媚びるような番組の傾向を指摘する質問者もいた。これに対して、経営委員長は、経営委員は番組批判できないと。幸田委員からは、私は今年還暦となったが、きょうの参加者はさらに年長の方が多い、視聴者の高齢化はますます激化する、将来受信料を払ってくれる若い人たちの接触率や視聴率を上げることは、NHKの経営にとって大事なことなので、若者への傾斜は致し方ないという、少々見当はずれなコメントがなされた。
私は、具体的には、震災報道について、報道番組のタレント、有識者、専門家の起用の仕方について、調査報道の重要性などについて、なども質問したかったのだが、まず、視聴者対応について質問した。以下その要旨。
視聴者の意見・要望は、身近には「ふれあいセンター」で受付ける。年間450万件 以上、番組などへの要望・意見は20%なのだが、その内容が番組スタッフに通じているのか否か、ともかく事務的な一方通行なのである。「お客様の声」として、週ごとに、あるいは2・3か月単位で、年ごとに報告は出るが、「番組への反響」という数で括られ、要望や批判は埋没するような分析なのだ。また、執行部内部の「考査委員会」の報告は、経営委員会、理事会に提出されるが、両者の会議録をみても、議論などなく「製作者の意図」丸写しのような自画自賛のオンパレードを了承するのみである。さらに、視聴者の視点による第三者的機関として「NHK評価委員会」が設置されている。最近の報告によれば、統計的な手法を駆使、グラフや図表は手が込んでいるが、その判断材料は、NHK内部の人間が作成し、あるいは調査は他の調査機関に丸投げで、上がってくるその調査報告の分析からは、経営と放送の信頼性は維持されていると結論付けている。申し訳のように「今後の課題」として、批判的意見を抽象的にかわしているかのようである。
そこで要望するのは、なかなか通じないふれあいセンターの電話、70%を占める問い合わせの類と番組への意見・要望の受付窓口を分離してください。もう一つ、今日ここにいらっしゃる経営委員や理事の方々は、一度、ふれあいセンターに届くリアルタイムの番組への視聴者の声、生の声に耳を傾けたことがありますか。録音でも結構ですからお聞きになってみてください。
私の質問への答えらしきものは、経営委員長からは「視聴者の声は、会議などでの報告?を聞いているし、個人的にも、いろいろな意見を聞いているし・・・」の程度のものだった。窓口の分離については、理事の一人から「受けた電話を振り分けるのは難しい、境界が難しい・・・」ということだったが、一義的には視聴者の判断に任せてもいいのではないか、と思う。
他の参加者の方からの質問では、人件費が世間一般と比べて高すぎる、剰余金が多すぎるのではないか、というものがあり、前者については複数の人から指摘されたが、3年間で280人減の計画を語るのみで具体的な説明はなかった。剰余金については、今でも少ないくらいで、これからも、不測の事態に対応すうるため、あるいは受信料値上げには国会の承認が必要で度々はできないので、応急的な対応のために増額したい!ということであった。視聴者への還元、受信料値下げを得意げに披露していた同じ経営委員長の口から、こんなコメントを聞くとは、少々情けなかった。
番組については、震災報道の初動の遅れ、原発に関しての政府発表報道、国会中継の中断、早朝番組の可能性などさまざまであった。私の2回目の質問は、やはり当ててはもらえなかった。経営委員や執行部の「とても有意義だった」みたいな総括は不要で、質疑の時間を確保してほしかった。
会場内は撮影禁止ということで~
| 固定リンク
コメント