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2011年12月 6日 (火)

「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」はなぜ不認証になったのか(1)

 「まちづくり協議会」って?
 佐倉市でも2006年「市民協働の推進に関する条例」(929日)が制定され、市内にいくつかの「地域まちづくり協議会」が発足し、市から助成金などを受けるほか、「市民参加型のまちづくり」が進められようとしている。市民の自発的な活動に意欲的な団体やサークルに一定の条件のもとに、市から・財政的・人的支援をすること、それ自体は否定しない。そうしたことは、何も新たな条例を作らずとも、従来から実施してきたし、実績も残している。私自身も、参加している地域ミニコミ誌発行サークルの創成期、市のサポート事業として、助成金を得て、ミニコミ誌発行ばかりでない地域活動を展開することもでき、励まされたこともある。活動したくても資金がない、という市民団体やサークルは多いと思う。
 
 いま、私が疑問に思うのは、この条例第4章に定められた「地域まちづくり協議会」の必要性なのだ。市のホームページでは、その意義を「地域まちづくり協議会は、各小学校区を基準として、区域内で活動する自治会・町内会を基盤に、地域で活動する団体・組織が、それぞれの目的や活動を尊重し合い、緩やかに連携・協力することで、地域が対応できる課題などは、協働して、その解決を図っていただこうとする組織です」と記している。聞こえはいいが、要するに「地域の問題をいろんな団体や組織が個別に行政に上げてくるのではなくて、地域で調整して解決したらいい。その手伝いなら、行政もいたしますよ」と読める。はたしてこれが本当の住民自治なのだろうか。地域の団体や組織を束ねて都合のいいのは行政ではないか、あるいは主導的な役割を果たす組織に利するのではないかと思うのだ。たしかに、市民が一人ではできないことを同じ目的や志を持つものが相寄って活動したり、行政に要望したりすることは大切である。しかし、その基本には、市民が誰でも属することができる自治会や町内会があり、その一つ一つが悪くもよくも自治体と対峙できる存在なのではないか。それを、他の学校PTA、社協、商店会、NPO,地元企業などを同列で束ねることによって、各組織の活動や要望が相対的に薄まってしまうのではないかという不安である。
 
 現に、自治会にかかわっていた頃の私の経験ながら、住民自治会の連合体である自治会協議会において、各自治会の多種多様な問題が提出される中、広域的な共通問題のみが「選択・集中」されていく傾向にあり、大事な地域の問題が常に置いてけぼりにされていく例を目の当たりにした。地域での諸問題については、優先度をつけた、メリハリのある持続的な取り組みが必要な場合もある。ところが十年一日のような要望を市長に要請したりしている。それというのも、地域の諸団体の会長などが固定的に顧問?特別理事?みたいな形で張り付き、リードしているからではないか。

 

「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」は設立したけれど 

ところで、市民協働の推進に関する条例制定後、私たちの地域でも、地域まちづくり協議会設立への準備が進められてきたらしい。自治会協議会では、数年間にわたり協議されてきたというが、その広報とて中断し、各自治会では、12行の報告で済まされて来て、その中身が住民にはまったく聞こえてこなかった。ところが、今年に入って、(予定)加盟団体で「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」設立についての説明が展開されていたらしい。
 
 ある団体の会議での説明資料を見て驚いたことはすでにこのブログでも書いた。「『ユーカリが丘地域まちづくり協議会』平成23年度事業計画案」の中の「基本的な考え方」に「7.ユーカリが丘を造成してきた山万株式会社の開発理念と住民の期待との整合性を図り、協調したまちづくりを行う」とあった。また、加盟団体(案)として「①自治会協議会」となっていたことだった。加盟団体に地元企業が入ることは予想できるが、特定企業との協調性をうたうというのはどういう神経なのだろうか。また、加盟団体が各自治会ではなくて「自治会協議会」というのは、どういうわけなのだろう。311の直後だったが、327日、設立総会が開催されている。私たち住民には、「ユーカリまちづくり」第1号(526日)の形で、概略が知らされるのだった。
 
 それによれば、加盟団体は「ユーカリが丘地区自治会協議会」(*27自治会、8031世帯)、地区社協、地区商店連合会、3つの小学校PTA・1つの中学校PTA、福祉施設、郵便局ほか合わせて26団体、そのうち山万グループの会社・施設の6団体を含み、役員は28名中自治会協議会7名、山万グループから5名であった。また、「まちづくり協議会とは」の欄には、次のように記されている。 

 「(そのため)地域まちづくり協議会は、(*)地域で活動する各種団体・組織が、(**)それぞれの目的や活動を尊重し合い、緩やかに連携・協力することで、地域が対応できる課題などは、協働して、その解決を図っていこうとする組織です」
 
 冒頭で上げた、市のホームページからの引き写しの定義かと思いきや、*の部分に「各小学校区を基準として、」が抜けており、(**)の部分に「活動する自治会・町内会を基盤に、」が抜けていることがわかる。なるほど、まさにここに問題があったのだ。

 

なぜ、市は認証しなかったのか 

 今年の8月議会における、H議員の質疑により以下のことが分かった。5月に提出された「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」の認証申請は、不認証という結果となった。その理由は、明確ではないが、市民部長の答弁によれば、「地域まちづくり協議会」の「地域」は「一つの小学校区」を基準としているので、認証申請の「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」は、その対象区域が大きすぎた、ということらしい。担当の自治人権課の防犯・市民活動推進班によれば、不認証になったのは、「対象区域が広すぎた」のが理由といい、「地域まちづくり協議会の意義は、やはり顔の見える範囲での活動がのぞましいから」とも言っていた。付属機関の市民協働推進委員会で認証の有無を協議し、その結果は市長に上げられるが、認証者はあくまでも市長であるとのこと。認証の特典は何かといえば、担当によれば、認証初年度は70万円、次年度以降毎年90万円の助成金の交付が受けられるという。今回の認証については8月末の委員会で協議されたというが、まだ、その議事録が出ていないので、何が論議されたかは不明だ。 

 市議会におけるH議員の質問では、「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」はこれまでも区域を同じくする「ユーカリが丘地区自治会協議会」の活動実績と市長懇談会を実施していることを強調し、今後も広域的な「まちづくり協議会」設立についての市の連携・支援を要請していた。 

そもそも、なぜ、広域の自治会協議会ができたのかは、8・9年前にさかのぼる。当時、ユーカリが丘自治会協議会は、ユーカリが丘・宮ノ台の11自治会からなる協議会だった。ところが、来年度から21自治会を包含する広域の自治会協議会にしたいという案件が突如浮上した。あまりにも唐突なので、当時、自治会長だった私は、地元に持ち帰り、じっくり協議したいと異を唱えると、「あんたが出てくるとややこしくなる?!」と、私たちの自治会が協議会から排除されかかった。その広域自治会協議会結成に“貢献した”ある自治会長が地元企業のバックアップも受けて市議に転身した。今回の「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」は、大震災直後、4月の市議選直前に設立された。「まちづくり協議会」設立・認証申請もどこかキナ臭さが残るのだ。(続く)

 

 

 

 

 

 

 

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