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2012年2月 8日 (水)

「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」はなぜ不認証になったのか(2)

  昨年126日の本ブログ記事の<続き>になる。(1)は、下のURLでお確かめいただければと思う。昨年3月末に、ユーカリが丘周辺のかなりの広域で地域の種々の団体を構成員とする「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」が設立されて、5月「佐倉市市民協働の推進に関する条例」に基づくところの認証申請をおこなった。ところが、佐倉市は「不認証」とし、先の条例に基づく「地域まちづくり協議会」ではなく、まったく任意団体となったことが明らかになった。ある議員が市議会で「不認証」決定について疑問を呈し、その8月議会での質疑と私自身から担当課への問い合わせで分かったことをレポートした。 

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2011/12/post-673d.html

 

なぜそれほどこだわるのか 

 さらにその後、私は、情報公開制度により、いくつかの文書を入手の上、精査してみることにした。 

私は、なぜそれほどこだわるのだろうか。大きくいえば、二つの理由がある。 

前回の記事でも少し触れたが、私には、「まちづくり協議会」自体を「市民協働」の根拠地のように位置づけ、地域の力や意欲の活用を標榜し、「まちづくり」から生じるさまざまな面倒を地域で調整したり、行政の邪魔にならないような「ガス抜き」をさせたりするための、行政主導の施策ではないか、という不信感がある。 

それにもう一つ、以下のような「地域まちづくり協議会」認証申請と行政とのやり取りを知って、ますます感じることは、そこでは、肝心の地域住民、各自治会会員の意向や意思が問われることなく進められていることだった。少なくとも、私の住んでいる町内の自治会は、自治会会員に、自治会として参加するかどうかを問うた形跡がない。下記の⑦⑧にも、対象地域の自治会は自動的に協議会に参加しているかのような報告しかない。おそらく自治会協議会に参加している自治会長たちとせいぜい役員たちが承知していたことで、どこの自治会も似たりよったりではないか。

*自治会協議会に参加している一自治会(井野東2区)だけが、地域まちづくり協議会への不参加を表明し、名簿には未加盟となっている。

 

設立以降の経過は 

今、私の手元にある以下の資料から、これまでの経過をたどってみよう。 

①「地域まちづくり協議会認証申請書」 表題の申請書に別紙1~10が付せられている(ユーカリが丘地域まちづくり協議会名 2011519日付及び受理) 

②「地域まちづくり協議会認証歌碑決定通知表」(市長名 2011615日) 

③「まちづくり協議会申請不認証に関する質問書」(ユーカリが丘地域まちづくり協議会会長名 722日受理) 

④「まちづくり協議会申請不認証に関する質問書について(回答)」(市長名 2011729日) 

⑤「平成23年度第3回市民協働推進委員会会議録」(2011831日開催) 

⑥「平成23年度8月定例市議会会議録」(2011927日橋岡議員の質疑と答弁部分) 

⑦「ユーカリまちづくり」1~3号(ユーカリが丘地域まちづくり協議会広報委員会編 2011516日、7月1日、1213日) 

⑧「自治会協議会だより」1~3号(ユーカリが丘地区自治会協議会編刊  2011720日、117日、2012115日) 

*これらの文書の内、①②③④⑤は、私は情報公開制度により入手したが、現在は、情報開示済み文書として市政資料室で閲覧できる。⑤の非公開部分を除いては、市のホームページで、⑥は市議会のホームページから会議録検索により閲覧できる。⑦⑧について、自治会の回覧で閲覧した。

 

ユーカリが丘地区における「地域まちづくり協議会」設立に向けての準備は、平成18年度、2006年からユーカリが丘地区自治会協議会で始まっている。当初は、佐倉市担当課からの説明を何度も受けている。上記①の申請書類の別紙8には、「市民協働の推進に関する条例施行規則第8条第1号」に規定する事項(活動地域内の自治会等の3分の2以上が構成員となっていること)を証する書類として、設立準備の経過をユーカリが丘地区自治会協議会等で協議された折の議事録などが添付されていた。それによれば、この間も、佐倉市との協議は何度もなされ、その焦点は、「地域まちづくり協議会」の趣旨と規模についてであったことがわかる。端的には、②の書類の理由の別紙では、市が考える規模は、おおむね小学校校区を基準としているけれど、もし複数学区を活動範囲とする場合でも「人口5000~10000人、世帯数は約4600世帯」としているので、申請では「23658人、8066世帯」であって、大きく基準を超えている、というのが理由である。 

市の決定に納得できなかったためか、協議会会長名による質問書③を提出、協議会は規模だけで判断されるべきでなく、その地域の特色もあり、一小学校区域を超える、生活圏中心の取り組み課題が多いことを強調している。市の回答書④では、協議会は、地域住民の身近なコミュニティとして理解が得られる圏域を条件とし、民主的な運営を確保し、区域・構成団体・役員選任・事業・予算なども含め十分周知・理解されることを前提としている世帯数は基本的な要件であると、ここでも繰り返し述べている。 

また、会議録⑤によれば、2011831日の市民協働推進委員会においても、事務局からの「不認証」決定の経過説明と委員らによる意見交換がなされている。これを読むとさらに、問題点が浮き彫りになってくる。事務局は、規模に関して、申請の協議会の地域内には現在も開発が進行中でさらに2000世帯近くが見込まれ、規模の肥大化は避けられない、人数が多いとトップダウンになりやすい、ともしている。現に、設立総会後、成立したばかりの自治会が参加した例もある(ビオ・ウィング)。委員の意見もまちまちで率直である。ただ、会議録では発言者が特定できない記録の仕方なのが残念ではある。市の委員会や審議会の情報公開はなぜ進まないのだろう。 

・条例・規則が想定している顔が見える範囲であることが重要である 

・自治会による温度差があるので、小規模での意見交換や助け合いが大事なのではなか 

・この地区は、山万の影響力が強いので、トータルとして考えた方がいいのではないか 

・山万が強く関与していることは確かで、山万からすれば、一つにすれば面倒くさくないという考え方があったのではないか 

・ユーカリの場合は山万が主導しているというより、役員が懸命に山万を巻き込んでいるという印象、その特殊性を配慮してもいいのではないか

 

 再び「まちづくり協議会」は必要なのか 

さらに事務局は、この会議で、まちづくり協議会については、まちづくりにおけるソフト事業を想定するもので、ハード面でのまちづくりはもっぱら行政がやるべきものだという基本的な考え方を強調する。であるならば、私は、冒頭にも述べているように、「まちづくり協議会」の必要性自体に疑問を呈したい。ハード面はもっぱら行政と断定するところにも大きな間違いがある。大型の予算を伴う都市政策こそ、民意が活かされなくてはいけないのではないか。また、「まちづくり」における「ソフト」事業という規定も曖昧ながら、ソフト面における発想や構想、実践においては、地域住民の価値観の多様性、活動の柔軟性、人材の活性化などが最も優先されるべきことではないか。そこに生まれる多種多様な活動母体が動きやすいような支援をするのが行政であって、最初から役割を固定して、束ねることはないはずである。そういう意味で、「まちづくり協議会」が地域住民の自由な発想や要望の調整役や行政への御用聞きになってしまわないかの疑問が残る。

 

一歩譲っても、役員名簿をみると・・・ 

  一歩譲って、現制度下における「まちづくり協議会」を認めるのなら、少なくとも、広域化、効率化が優先するのではなく、民主的な運営を目指すものであってほしい。今回の大規模まちづくり協議会では、構成メンバーに、各自治会は入らず、自治会協議会となっていることが最大の欠陥である。25を超える自治会の地域を対象としていることに、問題があったわけである。それに、役員の肩書を見ると自治会協議会におけて固定的な「特別理事」が幅をきかす。毎年、流動的な各自治会会長の指南役というか、仕切り役の、要するに「ムラのボス」的存在の人たちである。さらに、商店会、地区社協、地元ディベロッパーの幹部社員、各学校のPTA会長・・・。いつでもどこでも、地域ではおなじみの人たちである。議員の一人でも担ぎ出そうという気配さえ感じる。 

  現在、任意団体の「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」は、今後も、「活動実績」なるものをもって、法規を変えてしまうか、特例によってか、「認証せよ」との攻勢を強めるかもしれない。佐倉市はどう出るのだろうか。 

  ちなみに、「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」の事務所は、山万グループの建物内に置かれ、会議などもここで開かれている。

 

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