除染はまだか~佐倉市を変えるには
佐倉市は除染工事を昨年の12月中旬から始め、今年に入って、その工事はかなり進んだと思われるが、結果の公表が一向に進まない状況を前の記事で報告した。 除染実施状況の報告が数例しかないので、その効果がわかりにくい。また、その表示の仕方が、施設ごとに通常測定値、事前測定値、事後測定値の3つの数値しか発表しない。その施設の場所も高さも特定できない。いずれも最高値を採用しているというが、すでに第14報(2012年2月24日)となる測定結果報告が詳細になる中での簡略な除染結果報告には説得力がない。
私たちのグループは、昨年12月29日に下記の除染工事済みの公園を測定していた。その結果は以下の通りだったが、市の除染実施状況として報告された測定値は、通常、事前、事後の順で、生谷公園が0.280⇒0.259⇒0.219、石神公園が0.280⇒0.296⇒0.201μ㏜/時、ということであった。
2011年12月29日午後 放射線量計測結果(単位:μ㏜/時)
(場所) 高さ1m 高さ5㎝
生谷公園 広場・中心 土 0.172 0.247 *12月17日除染済み
草地 0.200 0.187
石神公園 広場・土 0.147 0.162 *12月20日除染済み
草地 0.186 0.250
広場・芝生 0.215 0.244
<備考>土の部分は、表土の削り取りがなされていた模様だが、芝地、樹木の根方、植え込みなどは、芝の刈込などがなされた形跡が見えた。汚染土がどこの埋め立てられたかは不明
私たちが、上記2公園を測定したのは除染工事後10日前後経てからのことであったが、最高値を採ると、上記の赤字となり、その効果のほどは危うい。
また、最近、近くの友人が、市から測定器を借り出し、自宅の測定が済んだので、近くの木の宮公園を測るというので声をかけてくれた。ちょうど、その前日除染工事を終了したばかりの公園で、私はその除染工事の様子を見ていた。市からの除染工事結果報告が待たれるのだが、私たちの測定結果は以下の通りだった。
2012年2月22日午後木ノ宮公園放射線量計測結果(単位:μ㏜/時)
(場所) (高さ1m)(5㎝)
北東角(公園外)防火貯水槽草地 0.175 0.242
中央街灯下芝地 0.187 0.200
北東すべり台付近 汚染度埋立地 0.133 0.141
南 水飲み場付近植込み 0.160 0.207
西 芝地斜面窪地 0.175 0.276
南東角(公園外)側溝グレーチング 0.169 0.242
<備考>2012年2月21日除染済み
・広場部分は芝生刈込み後、新しい砂を撒き、一部樹木の根方などは表土の色が周りと異なり、新しい土をかぶせた模様、すべり台近くに埋め立ての痕跡あり。表土を削り取った形跡見えず
・市の直近の測定結果は、2011年10月28日の高さ1mが、0.148~0.214で平均0.183μ㏜/時であったから、やや低減していることは分かったが、市のデータには高さ5cmの測定結果はない。
以上のことから、常々疑問に思っていたことを、市役所の担当窓口に尋ねてみた。
①除染後の測定結果が0.223以上の場合はどうするのか:
中間の置き場が見つかったら、公的な場所を優先的に再度計測に行く
②基準値より高いことが確認されたら、どうするのか:
中間の置き場が見つかり次第、除染する
(中間の置き場がない以上、要するに放置ということか)
②国のガイドラインによれば、周辺より1ミリシーベルト以上高いところは、国に連絡することになっていて、市もただちに計測することになっているが、「周辺より1マイクロシーベルト高い」というは意味は:
「周辺と比べて1マイクロシーベルト以上の開きがある高い場所」という意味で、1マイクロシーベルト以上あったからといって周辺より高いとは言えない
③その「周辺」ってどこを指すのか:
はっきりしていない
④周辺が0.223だとすると1.223以上ということになり、周辺が0.999だとすると1.999以上ないと、市の再度の計測の対象ではない、ということか:
そういうことになる
⑤業者によって工事の仕方が異なるが、業者にどんなマニュアルを渡しているのか:
国の除染ガイドラインに従って、業者と担当者が現地で協議してその方法を決め る
⑥除染工事の実際を見ている限り、表土削り取りはむしろ少なく、芝の刈り込み・草の刈り込み後、その上から別の土・砂を散布している場合が多いが、そんな安易なことでいいのか:
そうした除染方法も、国のガイドラインで認められているので、そういうこともあり得る
⑦土や砂を撒いただけでは、風や雨で流れるのでは:
除染前より測定値が確実に低くならないと工事は終了しない
⑧除染済みの公園に、その旨の表示が現地にないのはどうしてか。安心して立ち入る目安になるのではないか、このままでは子どもの外遊びはますます萎縮するのではないか:
検討してみる
さらに、佐倉市、とくに臼井・志津地区は、東葛地方と同様のホットスポットと言わざるを得ない。柏、松戸、流山市などの放射能対策には、大いに見習うべきことがあるのではないか。たとえば、通学路や道路側溝などの測定・除染、私有地の測定除染の実施について市民との連携・協力に積極的である。その前提として、放射線量、放射能についての市民への説明会や意見交換会なども活発だが、佐倉市では一度も行っていない。また、松戸市は、除染実施計画案については市民からの意見を募集してからこの3月に策定することになっている。柏市においては、市長が参加した「民・公・学で挑む、オール柏の除染計画~安心へのロードマップ」なるシンポジウムを開催している。
佐倉市は、除染計画と基準値0.223μ㏜/時だけ早々決めたものの、その実施は限りなく遅い。放射能対策の窓口の一本化もまだ実現せず、保育園、学校、公園、道路側溝・・・、農産物、水、給食材、焼却灰・・・その担当は全くの縦割りで、その効率の悪さにはうんざりするほどだ。たとえば、公園周りの側溝を同時に除染すること、町内の側溝清掃による汚泥や剪定樹木の一斉回収、公園や市の施設を仮置き場に転用するなどの思い切った対策が望まれる。
原発事故対策、放射線・放射能対策は、除染のみに集約されるものではない。しかし、対策の重要課題の除染一つをとっても、国や県に、東電に要望書を出すだけが市長の仕事ではない。市民の知恵を結集することが重要なのではないか。
企業の撤退がもはや日常茶飯となったこの時代に、国からの天下り副市長で佐倉市だけが企業招致できるなんて、婚活事業なんて、先が読めない市長や議員たち、選んでしまった市民たち・・・。
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