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2013年7月15日 (月)

猛暑の夜だが、映画「白バラの祈り」を見る

 「白バラの祈り ソフィー・ショル、最後の日々」(ドイツ 2005年) 

 この映画については、私がかかわっている、地域のミニコミ誌『すてきなあなたへ』44号(2006120日)の「菅沼正子の映画招待席NO.16」ですでに紹介済みである。http://dmituko.cocolog-nifty.com/sutekinaanatano44.doc

しかし、その後なかなか見る機会がなかったが、今回、ひよんなことで、連れ合いの知人からDVDを借りることができたのである。詳しいことは上記の菅沼さんの映画評に譲るが、私が映画を観た感想を簡単に記しておきたい。 

1943年、ヒットラー政権に対して、非暴力で抵抗する組織、ミュンヘン大学の「白バラ」に、兄の医学生とともに参加していた女子学生ソフィー・ショルが、ビラまきで逮捕され、処刑されるまでの5日間を実話に基づいて描かれたドラマである。キリスト教の精神と倫理観に裏付けられた学生たちがやむに已まれず、学生や市民に抵抗を呼びかけるべくパンフレットを配る決意をする。街角やキャンパスにパンフレットを置いて回るというささやかな行動をもゲシュタポは許さず、執拗な取り調べが続き、5日後には、形式的な裁判によって即日死刑に処せられるという過酷な運命をたどるストーリーには息をのむ。ショル兄妹は、人目をはばかりながら、パンフを置いては走り去り、大学のホールの最上階からはパンフを下に向けてばらまくということにもなるのだが、まず、大学の用務員に捕えられてしまう。なぜ、そこまで危険な行動に出たのだろうか。 

尋問のやり取りは、1990年代、旧東ドイツから発見されたという資料に基づき、忠実に再現される。尋問官の誘導や恫喝にもめげず、敢然と答える女子学生、その中で明らかになってゆく生い立ち、愛と友情、信念・・・。もはや狂信者となった裁判官、沈黙の弁護人の中で、宣告される死刑。尋問官のわずかな配慮か、処刑直前に両親との面会、牧師との対話でかわされる、信頼と恐怖がない交ぜになった、感受性に満ちた女子学生のことばの数々であった。 

東西ドイツの時代にも、よく読まれたという女子学生の姉、I・ショルによる『白バラは散らず』(内垣啓一訳 未来社 1964年)は未見だが、C・ペトリによる『白バラ抵抗運動の記録』(関楠生訳 未来社 1971年)は、目を通すことができた。その資料編によれば、「白バラ」の学生たちが配布したパンフレットの末尾には、必ず「できる限り多くの複写を、広く配布を」の文字がある。学生たちに政治的な展望があったのかなど、抵抗運動の在り方の問題点を指摘するのは容易だが、市民と学生、そして反体制を掲げる組織、例えば野党との連帯が、いつの時代にあっても、どこの国でも、重要であることを考えさせられた。

 

 

 

 

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