エミール・クラウス展とゲントの思い出(2)
ゲント美術館のあれこれ
2002年、ベルギー旅行のころはまだ、ブログも開いていなかったし、デジカメもなかった。手元には焼きつけた写真と簡単なメモが残るだけである。ただ、私が参加していた短歌の同人誌『風景』(103~104号 2003年3月・5月)には、旅行記らしきものを掲載してもらっている。それらを手掛かりに、ゲント美術館のあれこれを思い出している。
駅の案内所で手に入れた[Museums in Ghent]の最終頁の地図は以下の通り。
ゲント駅(ゲント・セント・ピーテルス、地図の左下)には、ブリュッセル南駅から列車で30分一寸で着く。人口25万の毛織物産業で栄えたギルドの街でもあった。レイエ川の支流が街をめぐり、狭い石畳の街をトラムが走る。駅前の公園を抜けてすぐのところにゲント美術館(MSK)はあった(地図では一番下のパレットの印)。その向かいがゲント市立現代美術館(SMAK)で、時間がなくて結局入館することはなかった。
ゲント美術館では、当時、マックス・エルンストのグラフィック展が開催されていた。エルンストは苦手と、簡単に済まそうとすると、係員が順路を示し、連れ戻さんばかりの熱心さであった。なるほど入館者は少ない。超現実の世界にしばらくひたったわけだが、以下の木の葉を樹木に見立てた作品が気に入り、絵葉書も購入、チケットと道すがら拾った木の葉を配した写真としてみた。
常設展では、案内書によく登場するH・ヴォス「十字架を背負ったキリスト」、J・アンソール「仮面を持った老婦人」は、注意してみた覚えはあるのだが、エミール・クラウスは知らず、通り過ぎてしまっていたのだろう。美術館案内書を今回読み直すと、ベルギーの象徴主義と印象主義の担い手としてクラウス、アンソール、クノップなどの名前が出ていた。今回のクラウス展に出品のゲント美術館所蔵は前記事の「そり遊びの子どもたち」と「晴れた日」くらいだろうか。
旅行のアルバムのポケットからは、次のようなシオリも出てきたので、あらためて写真におさめた。右側のシオリの原画は、大きな右手は下に伸ばしている様子が描かれて、”Recling farmer”(Constant Perneke)と題されていた。
常設展の作品で、いま手元に残っている絵葉書は、つぎの2枚で、上段が連れ合いが選んだ「お絵かき上手」(ヤン・フランス・フェルファス 1877年)、下段が私が選んだ風景画で作者は、Lodewijk de Vadder(1605~1655)とあった。
ゲントではトラムには乗らずに、すべて歩いたためか、今思うと、町の中心部しか動いていなかったようだし、美術館も他には入館しなかったのが悔やまれる。聖バーフ大聖堂、聖ニコラス教会、聖ヤコブ教会などをめぐり、バーフ広場のレストランでは、鐘楼からのカリヨンの音色を楽しみながら食事をした。さらに川沿いに北へ向かうと、リーヴァ川との合流地点には堅固な石の城塞、フランドル伯爵城が突如現れる。地下には博物館もあり、登るとゲントが一望できるとのことだったが・・・。下の左側は、聖バーフ大聖堂の道、右側は、聖堂内の正面の祭壇である。
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