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2013年11月 1日 (金)

特定秘密保護法案閣議決定、そのとき新聞は

自ブログの1030日記事のため、汚染水問題の年表づくりにのめり込んでいる間に、なんと1025日には「特定秘密保護法案」が閣議決定され、今の臨時国会で成立させようとしている。特定秘密として指定される対象は、防衛、外交、テロ防止、スパイを想定した特定有害活動というのだが、「特定有害活動」って何?ということになる。ほんとに安倍政権のやりたい放題は、恐ろしい。国をあげて情報管理をしよう、政府や官僚にとって都合の悪い情報は隠蔽しようという狙いであろう。曖昧な条文は、拡大解釈をして市民の基本的人権まで奪おうとする法律ではないか。「何が秘密かヒミツ!」という恣意性や期間の限定やチェック機能が働かないまま、国家の暴走を許すことになる。      その一方で、政府与党は、選挙公約の破り放題、 IOCのプレゼンでは安倍首相の嘘のつき放題、 アメリカの盗聴し放題などについては、ひたすら頬かむりの様相である。メルケル首相のケイタイ盗聴というからには、日本の要人も当然盗聴されていただろうに、そのことについて、野党もメディアも追及しようとしない。調べようともしない。その上での秘密保護法案である。

 

 あえて、「~放題」と言ってみたのは、忘れもしない、安倍首相の女性政策の一環として、育児休暇を三年に延ばして、働いているお母さんに「3年間赤ちゃんの抱っこし放題」と語ったことに由来する(2013419日、ジャパン ナショナル プレスクラブ)。あの発言にも、驚いたが、働く女性や働きたい女性の実態を知らない、子どもを産みたいと思っている女性の気持ちを逆なでしたのではなかったか。働く女性が、3人の子を生んで9年間の休暇を取るだろうか。ここでは、それはさておき。

 

消費税増税、TPP交渉報道などには及び腰で、反原発集会やオスプレイ配備の続報はスルーしてしまう。新聞やテレビが熱心なのは、災害報道の中の復興美談であり、中国や北朝鮮・韓国と日本の間の危機感をあおるような事件であり、スポーツ、芸能ニュースで、ことさら、丹念に、繰り返し報道する。そんな中で、全国紙、地方紙が、1025日前後にいっせいに社説などで、「廃案」「反対」「見直し」「慎重審議」などの論陣を張っている。近頃珍しいことだ。メディアにとっては、自らの報道の自由や取材の自由に危機を感じてのことだが、国民にとっての知る権利は、すべての人権の基本ともいえるからではないか。

 

いまは、社説に限るが、主な論調を確認しておきたい。なお、日本弁護士連合会の会長声明は、法律的な論点が明示されているので、参考のため掲載した。社説は各社微妙に異なるのだが、「廃案」を明確に打ち出しているのは『琉球新報』で、沖縄に関する情報は、外交上も、軍事上も、その地の利から重要視され、「外交秘密」「軍事秘密」の対象となり、沖縄住民が知らない間に、大きな犠牲を強いられてきたので、この法案には格別の思いがあるに違いないと思った。

 

日経、読売は、さもありなんと思うし、東京が、多くの紙面を割いて、さまざまな声を拾っていた。9万件以上のパブコメのうち反対77%、賛成13%だったにもかかわらず、政府は切り捨てたことにも触れていた。毎日、朝日は、立法府の役割、国会議員の活動自体が縛られることを強調していたが、議員には、自らのこととしても、真剣に審議してほしいものである。

 

「特定秘密保護法案」閣議決定前後の新聞社説等の比較(筆者作成) 

http://dmituko.cocolog-nifty.com/himituhogohosysetuhikaku.pdf

 

  なお、以下の文献には、諸外国の国家秘密法制についての詳しい調査が報告されているので、ぜひ参考にしてほしい。とても分かりやすかった。

今岡直子「諸外国における国家秘密の指定と解除―特定秘密保護法案をめぐって」『調査と情報』(国立国会図書館調査及び立法考査局)NO80620131031日) 

http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8331133_po_0806.pdf?contentNo=1

 

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