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2013年12月 9日 (月)

特定秘密保護法、強行採決~嵐は去ったのか

 126日の深夜、特定秘密保護法は、参院本会議で強行採決され、成立した。その時も、その前後も、私自身、国会周辺で、抗議をしていたわけではないけれど、無力感にさいなまれた。この法案ンお論議が始まったころから大げさでなく「これから、日本はどうなるのだろう」と思った。いま、私は何をすべきなのだろう。ともかく、特定秘密保護法案へのマス・メディアの対応を記録しようと思った。すでに、111日の当ブログでも、レポートしている。

「特定秘密保護法案閣議決定、そのとき、新聞は」

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2013/11/post-6bc1.html

「特定秘密保護法案閣議決定、そのとき、NHKは」

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2013/11/post-9c02.html

 その後も、中間報告するつもりでいたところ、参議院強行採決に至ったのである。やや大部なものになってしまったが、以下のPDFでご覧いただきたい。社説など個別の新聞社のホームページやその他で読めるし、わが家で購読している新聞(全国紙、業界紙合わせて5紙)は、その時目を通しても、たまる一方で、時系列にしても、同日の新聞で、どう報じたか横断的に読むにも難儀した。一層のこと、難儀ながら、比較一覧作成を試みたわけである。今回は、衆議院、参議院強行採決の翌朝の新聞を中心にして、できるかぎり、前後を追った。NHKのニュースは、少なくとも「ニュース7」は努力して視聴しているので、比較一覧に加えた。なお、日本弁護士連合会は、法律の問題なので、専門家集団の動向として、その会長声明も、論点整理のため参考にしたいと思った。また、前回は、地方紙の代表として、『琉球新報』を追跡したが、今回は成らず、省略したのが心残りである。

さらに、いまだ閲覧できない新聞もあり、未調査部分は、今後補足していきたい。

http://dmituko.cocolog-nifty.com/tokuteihimituhogohosyasetuitiran.pdf

こうして見るとはっきりしたことがいくつか浮上するのだが、いまは、3点だけにとどめ、速報としたい。

一つは、特定秘密保護法については、「知る権利」を奪うおそれがあるとして、全国紙、地方紙が、一部の新聞を除いて、明確に廃案、慎重審議のキャンペーンを展開したことだった。社説のみならず、かなりの紙面を割いて、さまざまな視点から、さまざまな連載物を組んで、また、広く市民や識者の意見を紙面に反映した。とくに東京新聞が顕著であった。日常的には、かなり経済界、政府寄りの報道が顕著な「読売」「日経」においても、他紙に比べると社説の回数や紙面の取り方は少ないが、「論議を尽くせ」の姿勢を示した。

一つは、成立直後の127日の紙面はご覧の通りだが、私はさらに128日の紙面に着目した。成立前からの課題を検証し、今後の問題提起をしていることで、その姿勢は、さらに持続する構えを見せていることだった。通常、法律成立後は、さらりと振り返っただけで、一件落着の風がある。たとえば、消費税増税、オリンピック東京開催、TPP交渉参加などの問題点などの検証は鳴りをひそめてしまう。「甘い」と思われるかもしれないが、ともかく、今後のメディア監視を続けたいと思う。

 もう一つは、どう考えても異常だったのが、NHKの報道姿勢だった。ご覧のように、まず、新聞に較べて、取り上げる回数が少ない、報道時間が短い、その報道内容に偏向があることだった。自らも報道機関でありながら、「知る権利」への関心が薄く、避けているかのような姿勢である。内容の偏向というのは、つぎの三点からも明らかである。一つは、中立公正と言いながら、同法案の問題点を、論点を明確に示さず、政府提案の後追い、つまり政府広報に徹していることだった。つぎにその論点についても、国会の質疑、与野党の攻防という限りで言及するにすぎない。国会の質疑に関しても、政府答弁のみを放映するという手法をとり、国会内の政党の動向とか、首相や閣僚、幹事長記者会見に時間を費やしている。成立直前の「ニュース7」のニュース項目を見れば明らかであろう。きちんとした論点整理や解説は、解説委員室やゲストによる「時論公論」や「視点論点」で展開しているとも見えるのだが、その放映の時間帯は、いずれも深夜なのだから、明らかに意図的な編成と言わなければならない。「時論公論」とて、その解説は、解説委員が特定されていて、あまりにも客観的な、他人ごとの解説ぶりで、自らの報道人としての見解はどうなのかが問われるのではないだろうか。この法律の審議過程では、NHKの経営委員人事における、安倍首相の「お友達」選定が露骨に浮上した。

 受信料を徴集されながら、政府広報しか視聴できないという時代に来てしまったのか。日本の近代史の検証番組は盛んに放送するけれど、今はどうするのか、の視点が抜け落ちている。中国・韓国・北朝鮮のマイナス情報は丁寧に時間をかけ、危機感をあおり、 ときには災害・事件・スポーツを妙に詳細に全国に流し、科学・生活・文化の調査ネタ、いわばひまネタをさりげなく「ニュース7」に挿入する手法には、うんざりしているのだ。あとは、民間放送での人気のお笑い芸人の後追いするような番組に、公共放送としての自負はどこに?と思われることもしばしばなのである。

 

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