今年のクリスマス・プレゼントは・・・
娘が家を離れた後も、しばらくは、親子や夫婦でのプレゼントはほそぼそ続いたが、まったくやりとりがなくなって、何年になるだろう。それに、三越からにするか、生活クラブのギフトがいいかなど迷っていたお歳暮も、近年は失礼するようになってしまった。
そんな折、12月25日の朝、宅急便で古書を発送したというメールが届いた。なんと、先日紙芝居のシンポで初めてお目にかかった櫻本富雄さんからだった。「いま、書庫を整理しているから、詩歌関係の古書を送りますよ」とはおっしゃっていたのだが、まさかこんなに早く贈っていただけるなんて・・・。翌日届いた段ボール箱を開けるときのワクワク感はたとえようもなかった。戦時下の著作物を徹底的に収集して、表現者の戦争責任、表現責任を問い続けて来られたコレクションのほんの一部ということになる。とくに太平洋戦争下のアンソロジーは、当時、奥付に発行部数が示され図書も多い。
支那事変歌集 (斎藤茂吉・佐々木信綱選)読売新聞社編 三省堂 1938年12月
聖戦歌集 読売新聞社(清水弥太郎)編 1941年10月(初版1939年10月)
白衣勇士誠忠歌集・昭和萬葉集 由利貞三編 日本皇道歌会 1942年3月
聖戦短歌選 日本放送協会編刊(ラジオ新書)1942年9月(4000部)
大東亜戦争歌集・愛国編 柳田新太郎編 天理時報社 1943年2月(3000部)
大東亜戦争傷痍軍人歌集御楯 佐佐木信綱・伊藤嘉夫編 千歳書房 1943年7月(初版1943年3
月)(3000部)
大東亜戦争歌集 日本文学報国会(代表久米正雄)編 協栄出版社 1943年9月(5000部)
軍神頌 村崎凡人編 青磁社 1944年12月(3000部)
これらの一部は、図書館などで閲覧したり、一部コピーをとったりした記憶がある。しかし、手許にある・ないでは大違いである。150頁ほどの新書版の上記『聖戦短歌選』は、初めて見た。全国の傷病将兵、傷痍軍人らから短歌を募集、川田順、松村英一、吉植庄亮、土屋文明の選による短歌の講評が放送され、その採録である。愛国百人一首の評釈書が数冊、下記のような俳句関係書も入っていた。秋櫻子編の俳句集は、『馬酔木』の1942年2月~1943年2月から収録していて、宮田重雄の装丁が眼を引く。
聖戦俳句集 水原編秋櫻子 石原求龍堂 1943年8月(5000部)
俳句年鑑 日本文学報国会編 桃蹊書房 1944年2月(3000部)
俳句のすすめ 日本文学報国会編(文庫版) 三省堂1944年6月(10000部)
せっかく譲っていただいた貴重な古書、活かす手立てを考えねばならない。年末年始は、まず、これらを少しでも読み進めてみよう。
暗いニュースばかり続く年末のすてきなクリスマス・プレゼントに感謝し
つつ、一歩踏み出すことができればと思う。
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