地域まちづくり協議会、住民はどこに~「まち協」は本当に必要なのか
庭の東側の紫木蓮が咲き始めました
自治会の「まち協」参加は、突然に・・・
2011年末~12年の下記のブログ記事において、私の住まいのある佐倉市において、あまりにも広域にわたる「まちづくり協議会」は、市の方針にもかなわず不認証になった経緯を書いている。その折にも、規模に関係なく、「まちづくり協議会」自体についての必要性に疑問を呈してきた。ところがなんと、今年になって、わが自治会が、あらたな1学校規模の「まちづくり協議会」の参加を年度末に近い2月の班長会議で決めてしまったのである。
なぜ、ユーカリが丘地域まちづくり協議会は不認証になったのか
(1)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2011/12/post-673d.html
(2 )
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2012/02/post-a456.html
そこで、少々あわてたのだが、何人かの有志で、班長会議への突然の提案・議決によって、参加の有無を決めるのはおかしいと、自治会長に要望書を提出した。情報もないまま、班長だけで決めるという手続きにも不備があり、「まち協」自体の曖昧な目的がもっと議論されるべきだと思ったからである。
なぜか、佐倉市は「まち協」を進める
佐倉市は、いま、「地域まちづくり協議会」の設立を盛んに進めようとしている。佐倉市は、ホームページでも「地域まちづくり協議会とは、各小学校区を基準として、区域内で活動する自治会・町内会を基盤に、地域で活動する団体・組織が、それぞれの目的や活動を尊重し合い、緩やかに連携・協力することで、地域が対応できる課題などは、協働して、その解決を図っていただこうとする組織」と述べ、その意義を「地域のことは、地域の皆さんが自ら考え、解決に向けて行動していくという住民自治を基本に、これを支える地域コミュニティの充実・活性化が必要です。 『今、自分の地域が抱えている問題・課題は何か』ということを地域が一緒に考え、地域が協力しあって、これらの問題や課題に取り組むことで、互いが支え合うことの意義、必要性が再認識されます。市では、皆さんが暮らす地域に関心を持っていただき、話し合いながら地域住民が協力し合い、地域の諸課題に取り組むための『地域まちづくり協議会』の設置を支援いたします。」としている(以下参照)。 http://www.city.sakura.lg.jp/0000005010.html
そもそも、「まち協」は、2006年9月29日成立した「佐倉市市民協働の推進に関する条例」(2007年1月1日施行)を法的根拠によるが、その成立過程にも問題はあった(以下参照)。http://www.city.sakura.lg.jp/0000004988.html
佐倉市には、小学校が23校あり、「まち協」第1号は、2007年6月8日に設立した臼井小学校校区の「臼井ふるさとづくり協議会」であった。その後6地域で立ち上がり、現在7つの「まちづくり協議会」が存在する。その規模は、実績からみると500~4000世帯とかなりの隔たりがある。
立ち上げの前には、校区内の自治会、社協、防災組織、PTA、青少年育成住民会議、民生・児童委員などの代表者による準備会が持たれ、市役所の自治人権課職員が必ず「指導」にあたり、申請・承認まで面倒を見てくれる。 発足した「まち協」は、市から、初年度70万、次年度以降90万円の補助金が出る。
「まち協」で、何をしようとしているのか
それでは、そこで何がなされているのかといえば、市民協働情報誌「まちづくりしょ!」は4頁、年4回の情報誌で知ることができるし、各「まち協」のホームページでも、活動の様子が広報されている。「自治会を越えた市民協働事業」というが、その活動のポイントのはずであるが、どれも似たりよったりの行事写真と役員の顔写真、集合写真がカラーで掲載される程度である。しかも、いま私の住んでいる地域の自治会の活動とほとんど重なる。防犯見回り、防災訓練、清掃、餅つき大会など、そしてPTAや社協と共催している交通見守りだったり、敬老会だったりする。その上、「まち協」でもやるということ?似たようなイベントの両方に参加しなさいなさいということ?たださえ、自治会のイベントへの参加者や自治会の組織率が低迷している状況の中で、それはないだろうと思う。それに各自治会の役員の負担や会員の動員など、半端ではなくのしかかって来るのではないか。その上、私たちの地域には、すでに、20以上の自治会を束ねた自治会協議会というものがあって、広域の問題の対応にあたることになっているはずである。
いったい佐倉市は何のつもりで、助成金まで出して、こんなことを進めるのか。また、構成団体の代表者たちは、準備会まで重ねて、設立のあかつきに何をしようとしているのかが見えてこない。準備会のメンバーでもある知人二人に尋ねたことがある。
「ご苦労様だけど、<まち協>ってあまり存在意義がないのでは。自治会の屋上に屋を重ねる様なことは、自治活動をかえって散漫にして、各事業の責任がアイマイになりやしない?」Aさんは、「そんなことはない。みんなで寄って、たのしくやればいいんじゃないの」といい、Bさんは、「消防団を持たない地域の自分たちのような自治会は、ほかの自治会の消防団に来て貰わないと、消火活動の後片づけもやってもらえないですよ。自分たちで消防団を持たない以上不安でしょ。そんなときのために、近隣の自治会や消防団とも連携していかないと、・・・」と、「まち協」の必要性を“熱く”語るのであった。Aさんは、定年退職後の男性たちの居場所づくりと勘違いしているし、Bさんも、消防団員は特別公務員という身分であること、消防団員のなり手がないことや高齢化などは、全国各地でも問題になっていて、とくに都市部では深刻化してことは承知のとおりで、「まち協」で解決できる問題でないことを知らないわけではないだろう。
自治会を越えての近隣住民との連携事業というならば、問題は擁しつつも、ともかく自治会協議会があり、福祉に関しては地区社協があり、小中学校との関係では教育懇談会があり、情報交換や協働事業を進めているではないか。各自治会、各様にいろいろな工夫をして行くことで十分であるし、それこそが自治なのだろうと思う。佐倉市から助成金が出る段階で、その自治会の自律的な役割は後退し、世間にいう行政の「下請け的な機関」に甘んじ、それ以上に、自治体行政の本来の業務や責任を曖昧にしてしまう。「まち協」は、害あって一利なしの組織ではないのか。
現在でも、佐倉市は、各自治会の世帯数に応じて行政情報配布などの協力費として、自治会にお金を出している(かつては各自治会連絡長の個人口座への振込だった)。この実態すら、自治会の性格からは疑問があるわけで、それに加えて、「まち協」への補助金はさらに問題が大きいと思えるのである。
ところで、私たちの自治会の「まち協」加盟はどうなったか。会員8名から理由は若干異なるが「見送り」の要望書が出て、役員会からの提案、前月班長会議の決議を無効とする議決がなされ、参加は見送りとなった。その理由は、主として「手続き的な不備と議論不足」が強調されたのだが。
なお、当自治会で、ほぼ同時に、上記「まち協」加入問題と1か月遅れで、まさに年度末に、浮上したのが、「ユーカリタウンネットワーク」という団体への加入問題であった。稿を改めて記事としたい。
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