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2014年5月16日 (金)

15日の夜、なぜ、報道関係者は安倍首相との会食を拒まないのか

  昨515日夕方6時から、安倍首相は、記者会見し、集団自衛権行使を容認する解釈の変更に向けて一歩踏み出した。私的な諮問機関である「安全保障の法的基盤再構築に関する懇談会」の報告書が出たのが220分、約3時間半後の会見、有識者とやらとの出来レースが見え見えだった。

 

当日の「ニュース7」は

15日のNHK「ニュース7」では、延長して32分の枠内で26分がこの会見関係で費やされた。安倍首相の発言部分が長い上、賛成・反対の識者コメント(長谷部恭男、西修)、街の声が、賛否のバランスよく?拾い上げられ、与党自民(高村)・公明(山口代表)と野党6党の声が放映された。そしてNHKの報道の特色は、首相の発言と懇談会の方向性の違いが「際立った」として強調したことだったが、その意図は何であったのか。報告書では「多国籍軍への参加は憲法上の制約はなし」としている点は、首相は「採用できない」とするが、集団的自衛権が一定の要件で行使でき、その行使は政府の総合的な判断を委ねられている点を評価?しているのだった。これって、不動産屋との駆け引きのようではないか。最初少し高めに設定しておいて、あとで、これだけ安くしておきます、といったやり口である。それを「際立った方向性の違い」などと、訳知りに解説するのがNHKなのだ。

そして、このNHK報道の常套手段、「集団自衛権論議の焦点は」とのアナウンサーの問いに「与党内の協議」と言ってはばからないのである。この論調は、けさの「おはよう日本」でも同じで、昨日とは違う政治部記者をして、首相は「わかりやすく、丁寧に説明した」と明言していたし、これからの焦点は与党協議や、公明党の理解をいかに取り付けるかが焦点であると繰り返した。意見が対立していて、国民的論議が必要な問題については、多様な情報を提供するのが、公共放送NHKの役目ではないのか。

 

首相はさっそく報道関係者との会食

こともあろうに、この首相の記者会見のあった翌朝けさの新聞「(昨日の)首相の動静」などによれば、首相は、15日の夜、西新橋の「しまだ鮨」で86分から時事通信の田崎史郎、毎日新聞の山田孝男隆男特別編集委員、朝日新聞の曽我豪編集委員、NHKの島田敏男解説委員らと会食したとある。まさに、この夜に信じられないような成り行きである。読売は?産経は?どうだったのか。個別だったのか、この際、不要と思ったのか。招く首相も首相だが、応じる方の報道関係者の見識を疑う。かねてより報道機関の要人たちの会食は、報道の中立性を保つためには決して望ましくない、私も言い続けて来たし、報道機関として倫理上の問われるべきではなかったのか。とくに2013年冬、安倍首相就任間もないころの3カ月余りの間に、読売・産経・朝日・毎日・日経・共同通信、フジテレビやテレビ朝日の社長たちとの個別の会食が報じられた。今回は、編集にかかわる要人たちが、一堂に招かれたことになる。「一つお手柔らかに」という「ご挨拶」だったのだろうか。「ご会食」「懇談」「ご説明」などが怪しいのだ。報道機関に席を置く彼らはとっくにそんなことは承知しながら、あの夜、食事を共にしたという事実は重い。報道の中立性がほんとうに担保できるのか。

NHKの政府広報ぶりについては、このブログでも何度か触れ、前段でも述べた。私の知る限りだが、少なくとも、けさ516日の朝日の社説「戦争に必要最小限度はない」、立松朗政治部長「最後の歯止めを外すのか」、毎日の社説「根拠なき憲法の破壊だ」、末次省三政治部長「これでは筋が通らぬ」、東京の社説「行使ありきの危うさ」山田哲夫論説主幹「大戦の悔恨を忘れるな」などをはじめ特集記事においても、安倍首相・懇談会報告書には厳しいものであった。だが、これからどう変わっていくのかは分からない。じわじわと、なにげに、政権への監視を緩め、すり寄るとも限らないのだ、NHKのように。そんな場面は戦後史においても何度か見せつけられている。

517日付記)

 

その後、 J-CAST5161158分配信)によれば、会食には、小田尚読売新聞東京本社論説委員長、粕谷賢之日本テレビ網報道局長の2名も同席して、10時頃まで続いたという。

 

(その後、ネット検索により、以下の記事を見つけました。一度お確かめください)

 

憲法メデイアフォーラム 現場http://www.kenpou-media.jp/modules/bulletin2/index.php?storytopic=14
 
(2013-07-10更新)

 

東京発 読者の疑念招く新聞社トップと首相の会食

 

「新聞労連・東京新聞労組ニュース『推進』No.44」(6月26日付)から

 

Baogon中国上海~こうなってるよ
 
http://honcho.vivian.jp/villa/aboutblog
 
2014/05/10 :

 

安倍首相が軒並み会食 新聞・テレビ・通信社幹部と。メディア懐柔全力の怖さ

 

The PAGE http://thepage.jp/detail/20150317-00000012-wordleaf?utm_expid=90592221-37.fVZ9WgkFQES3eBF2lg39IQ.0&utm_referrer=http%3A%2F%2Fthepage.jp%2Fsearch%3Fq%3D%25E9%25A6%2596%25E7%259B%25B8%25E3%2580%2580%2B%25E3%2583%25A1%25E3%2583%2587%25E3%2582%25A3%25E3%2582%25A2%25E3%2580%2580%25E4%25BC%259A%25E9%25A3%259F
 
2015.03.17 18:12

 

懐柔策か 取材機会か 首相とメディアの会食にはどんな問題があるのか?

 

しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-11/2013041101_01_1.html
2013
411()
   これでいいのか大手メディア 首相と会食 とまらない 社長に続き政治部長・論説委員長らも

 

しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-18/2014121803_01_1.html
 
2014121809:30

 

「読売」「朝日」「毎日」「日経」・NHK・日テレ・時事/開票2日後 編集委員ら首相と会食

 

しんぶん赤旗
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-30/2014123001_01_1.html
 
2014
1230

 

安倍政権のメディア戦略 幹部とは会食 現場には恫喝

 

政権べったりの社を選別 突出する「読売」、フジテレビ

 

 

 

 

 

 

 

 

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