自治会の自立性と自治体・開発業者~男性たちの「地域デビュー」って、居場所探し?
私の住む地域での各種団体によるユーカリタウンネットワークが、この5月に特定非営利活動法人として認証されたそうだ。この団体の成り立ちと、それへの疑問は、このブログでも何回か取り上げた。そこには、この町の開発業者「山万」が大きくかかわり、地域の自治会を取り込むために、自治会の連合体の地区自治会協議会の業務を横取りするようなことまでして何とかNPO法人認証までこぎつけた感がある。
*ユーカリが丘地域まちづくり協議会は、なぜ不認証になったのか(1)http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2011/12/post-673d.html(2011年12月6日)
*ユーカリが丘地域まちづくり協議会は、なぜ不認証になったのか(2) http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2012/02/post-a456.html(2012年2月8日)
*「ユーカリタウンネットワーク」って、いったい何をしたいの?
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/04/post-8e24.html(2014年4月10日)
私が、なぜこうもこだわるのかと言えば、自治会活動に数年かかわった経験から、住民自治会の行政や開発業者からの自立性が大事だということを自覚したことと、住民の多くが深く考えないまま、「市民協働」とか、市民・行政・ディベロッパーの「三位一体」とかの言葉に踊らされている実態が見えてきたからである。
それに、ごく最近、電車の中でかわされている会話を耳にして、その感を一層強くした。最寄りのユーカリが丘駅で京成に乗ったところ、同じ駅から乗ってきた初老の男性二人が隣席に座った。その会話を聞くともなく聞いていると、お互いの近況報告のなかで、その内のひとりが、「こんどユーカリタウンネットというのが、出来ましてね。その会議も結構あるんだが、会議に出ていると、アタマも使うから、ボケ防止になるかなとも思って・・・」と言い出した。 正直と言えば正直だが、そんな意識の人が多いのは確かだと思う。ユーカリタウンネットワークの発起人、後の理事たちの名簿を見ていると、半数以上を占める、ディイベロッパー関連企業、商店会関係の人間たち、それぞれ思惑があるのだろう。他には、自治会協議会の、むかし「顧問」とか称されていた自治会会長OB、社協役員OB、PTA会長、老人会、子供会、ボランティア団体などの役職の名が連なる。そして、彼らをして、自治会を取り込み、自動的に構成メンバーにしたい構想なのである。
自治会には、もともと地区ごとに自治会協議会があって、そこには、佐倉市からも補助金が出ている。さらに佐倉市は、「地域まちづくり協議会」の立ち上げを積極的に進めて、ここにも年間90万円の補助金を出そうというわけである。この「地域まちづくり協議会」についても、私は何回か、このブログの記事にしている。詳しくは、それをご覧いただきたいが、これが、自治会や地区社協の屋上に屋を重ねるような、曖昧な趣旨の上に、自治会を取り込もうとしているのだ。これって、自治会の力を結集するのではなく、むしろ弱体化、相対化をもくろみ、自治体の業務を補助金と一緒に丸投げしようとする魂胆なのではないか。いずれにしても、本来自治体がなすべき業務の責任を拡散、無化するに等しいのではないかとさえ思えてくるのだ。
前 にも書いたが、わが自治会にも、この「地域まちづくり協議会」の参加をめぐっての議論があった。その過程で、準備委員会の一人は、「お金も出るし、みんなで楽しくワイワイやればいいじゃないか」とさえ言い出したのである。
*「まちづくり協議会」、住民はどこに
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/04/post-6afc.html(2014年4月10日)
最近、「団塊世代の地域デビュー」とか「シニアの出番」とかのキャッチフレーズで、自治体や社協が躍起になって「シニアの皆様の経験と知識」を活かしてくださいみたいな動きが盛んである。そこで、リーダーとなって達成感を味わえるのはほんの一部の人たちであって、それが誇張され、喧伝されているのが現状であろう。7月27日(日)NHK「サキどり」でも、放映していた。要するに、行政の「応援団」育成と自分の居場所探しが合致したとしても、それによって、シニアを含めた市民の生活環境が良くなるとは思えず、むしろ阻害している部分もあるのではないか。シニア自身のほんとうの意味の自立や福祉につながるのだろうか、というのが私の疑問なのである。
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