もう、ここまで堕ちた!NHK~7月27日NHKスペシャル「調査報告STAP細胞~不正の深層」
最初の方は聞き逃してしまったのだが、研究不正をどう防ぐかというテーマは時宜にかなったものと思われた。しかし、大幅に理化学研究所のCBD(発生・再生科学総合研究センター)の取材協力を得たらしい構成で、センター長、研究員、共同研究者などが登場して、検証しているというコメントは発せられるが、核心に触れるものではない、どうでもいい内容に思えた。ネイチャー誌に投稿した論文原稿と直前の論文原稿との図表の違い、特許申請時期との関係の検証には説得力はあったと思う。小保方氏と笹井氏との論文作成上の様々なやり取りがあったことが想像される。ところが、そこで、番組に突如登場するのが、両氏が私的にかわしたメールの一部だった。最初はイメージ映像かとも思ったが、2通のメール、その断りもない。メールを読み上げる男女の声に演技が入っているので再現ドラマ?まさか?メール紹介の前に、たしか「調査のため理研へ提出した書類の中に・・・・」のようなコメントが聞こえたような気がする。どんな書類?誰もが入手できる書類?独自に入手した書類?いずれにしても、個人のメールのやり取り公開は、ドキュメンタリーと言えども禁じ手ではなったのか。しかも、論文作成上のやり取りの核心に触れる内容でもなく、両氏、いわば師弟間のやり取りではないか。強いて言えば、親しさを示す挨拶もあったが、それ以上でも、それ以下でもないのではないか。あまりにも情緒的な状況証拠ではなかったのか。これが公開されなければならない緊急性も、公共性も皆無であったろう。まさにイエローペーパーの関心に過ぎなかったのではないか。
私は、今回の論文の撤回に至るまでの経過のなかで、小保方氏に味方するわけではないし、笹井氏を擁護するつもりもない。しかし、彼女を取り巻く研究環境の不安定さや検証・査読の杜撰さ、個人のモラルの問題に矮小化されて幕引きがなされることを怖れている。今回の番組では、ターゲットを小保方・笹井両氏に絞って、責任を追及するような全体の流れに危惧を感じた。
笹井氏が論文作成技術に長けていたとか、企業や行政に対して予算獲得の政治力は抜きんでていた、という関係者のコメントも付されていたが、それを学界の第一人者とか、トップランナーとか褒めそやしてきたのは誰たちだったのだろう。
なお、この番組作成過程で、小保方氏への過剰取材で、心身傷害にまで至り、NHKが謝罪したという事件まで引き起こしている。今回の番組の中で、その事件への言及や謝罪もなかったし、他のニュース番組でも報道はなかったと認識しているが、念のためNHKにも確認したが、これに関する報道はしてないということだった。
さらに、理研CBD広報に問い合わせてみたが、メールの出所は不明であるとのことであった。あのメールを知りうる人は非常に限られていて、自分たちも不思議に思っているとのこと。 理研からのリークなのか、NHKの強引な取材の結果なのか、いずれにしても、報道されるべき内容ではなく、NHKによるプライバシーの侵害は明きらかであった。
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