「女性活躍・少子化担当大臣」って?!なぜ「男女共同参画」ではないのか
9月3日、安倍改造内閣は、女性5人の入閣、1人の党役員人事でスタートした。顔ぶれを見ると、女性ならば誰でもいいのか、割合さえ高ければ女性の地位が向上したことになるのか、情けない思いがする。6人の経歴やこれまでの言動を知る限りでも、期待ができないだけではなく、大いなる不安と暗雲が漂う。
有村治子女性活躍・少子化担当大臣は、国家公務員制度、消費者・食品安全、規制改革、行政改革の7分野を担当する。「男女共同参画」に反対する「日本会議」のメンバーだし、マクドナルドの全店舗にポスターを張って比例代表で当選した参議院議員だし、2012年、今年との中国からの偽装食肉輸入についてのマクドナルドの対応を見ていると、食の安全など守れるのか疑問が去らない。「女性活躍・少子化」といかにも実務的な受けそうなネーミングではあるが、だとすると、これまで、一体何をしてきたのか、あらたな担当大臣や新法を作っても、まさに、本気度がみえない、実効性がない。
高市総務大臣は言わずと知れた、首相応援団の急先鋒で、首相にしては、いまやってもらってはまずい?ことまで先走るタカ派である。毎年、みんなで靖国参拝をする議員の会の先頭を切って、参拝する映像や討論番組での松下政経塾でトレーニングしましたみたいな「笑顔」は見るに堪えない。
政党や派閥を渡り歩いたことでは、山谷えり子も同じで、もともと信頼してはいけない人物ではある。「サンケイリビング」の編集長だった時代を知らないが、「産経新聞」「正論」はじめ、カトリック信者でありながら「神社新報」「世界日報」(統一教会機関紙)などへの執筆が多く、ジェンダーフリー教育や性教育、男女共同参画にも反対の論陣を張る。
松島みどりは、名前はみどりだが、勝負服は赤とのことで、朝日新聞出身というが、体育会系でもあって、単純な人のようだ。2000年、自民党初の公募で、比例東京ブロックで衆議院議員当選し、政治家としてのスタートを切った。すぐに、当選前の帝京大学グループからの給与隠しで問題になったらしい。法務大臣として適任なのかどうか。
小渕優子通産大臣は、まだ荷が重すぎるのではないか。就任の弁で、2児の母親としても、原発再稼働に不安があるのは当然だから、国民にはテイネイに説明していきたいと語っていたが、説明して安全になるものではないのが原発であり、原発事故なのである。汚染水の処理も不可能に近く、放射性物質の中間貯蔵施設も「金目」の解決に持ち込もうとするのに必死の状況である。原発の安全性判断の責任を原子力規制委員会も政府も取る気がない中で、安倍首相のエネルギー政策暴走を女性という目くらましで緩和、柔軟化をはかろうとする思惑が見え隠れする。
何も女性ばかりが弱体なのではなく、たとえば、待機組の江渡防衛・安保体制担当大臣は、就任内定時の議員室で、実にうれしそうに、「いま必死に勉強中で、何度もこれを読んでいる」と記者に見せたのが「安倍政権と安保法制」と読めるペーパーバック様の本だった。こんなものを何度も読んでどうする!もう国会答弁のお粗末さは目に見えるようで、安倍首相と同様、テープレコーダーのように繰り返すのが想像できる。ちなみに、その本というのは、調べてみると、自民党の岐阜県連のHPにこんなお知らせがあった。
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書籍出版のお知らせ「安倍政権と安保法制」【H26.7.3発行】
このたび自由民主党では、「安倍政権と安保法制」を出版いたしました。
本書は、憲法と自衛隊に関する一般常識、安倍政権の安全保障体制の整備、
安保法制に関する閣議決定、35種のQ&Aなどで、
どなたにもご理解をいただける内容となっております。
ご興味をお持ちの方は是非ご一読ください。
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それは、自民党政務調査会調査役 田村重信著『安倍政権と安保法制』(内外出版)で、要するに、自民党員や支援者向けに書かれた本なのだろう。安保法制担当大臣のテキストがこれ一冊?それを臆面もなく記者に披露するとは!
ふりかえれば、消費税増税判断、特定秘密保護法の自公協議末の強行採決、NHKはじめマスコミへの介入の連鎖、ジリジリと後退を迫られているTPP交渉、集団自衛権行使容認を閣議決定でやってのけ、歯止めにならない公明党、原発再稼働や輸出に踏み切った安倍政権だって、随分危ない橋を渡って、攻めどころ満載だったのに、押し切られた野党もだらしない。さらに麻生大臣のナチス発言、石原大臣の福島での「金目」発言、下村大臣の国会答弁ミス、高市自民党政務調査会長の福島原発事故の死者はいない発言、石破幹事長のデモはテロ行為発言、首相の広島の土砂災害発生時の別荘でのゴルフ対応などなど・・・、これらを攻めきれなかった野党もだらしないが、よくも600日も続けさせてしまった国民、支持率も株価も小幅な動きに落ち着くのか・・・。そして新たに続く安倍政権なのである。
安倍改造内閣に見る閣僚担当のネーミング~キラキラネーム、ここまで波及~
すったもんだで新設された、石破地方創生・国家戦略担当大臣の席、「地方創生」「国家戦略」も言語明瞭、意味不明の部類ではないか。文部科学・教育再生担当大臣の「教育再生」も経済再生・一体改革担当大臣の「経済再生」「一体改革」も不明瞭で、他の省庁との重複状況も不明である。いずれも、人目を引こうとする、自己満足的な、中身の変わらない、一種のキラキラネームのような気がする。
宝塚やタレントの芸名でもあるまいし、と思うような、いわゆる新生児のキラキラネームが話題になってから久しい。最近では、大学名、大学学部名、学科名などにも波及しているらしい。かつて、「観光学部」「不動産学部」などは大学というより専修学校めくと思ったものである。国際、総合、文化、人間、環境などの文字がやたらと付された学部・学科が続々誕生した時代もあった。いまでは「異文化コミュニケーション学部」、「フロンティアサイエンス学部」、「芸術学部パフォーミング・アーツ学科」、「グローバル・メディア・スタディーズ学部」などカタカナが多くなり、一読、何を学べるのかが不明である。少子化の中で学生募集に躍起となっている私立大学の苦悩が見えるようだが、本末転倒のような気がする。国公立大学では、辛うじて、伝統的な名前の学部や学科がまだ健在のようであるが、研究所や研究機構の命名がまさにキラキラネームなのである。
たとえば、東京大学の「知の構造化センター」、「総括プロジェクト機構」って?また、「サステイナビリティ学連携研究機構」が「新領域創成学研究科環境学系サステイナビリティ学大学院プログラム」に移行したという説明もあったが、ますます分からなくなってしまう。理系か文系なのか、学際的でグローバルと言われてみても、こうしたところに、企業からの寄付や膨大な税金が研究費として投入されているのである。今回の理化学研究所のような事件は氷山の一角なのかも知れない。
しかし、国の組織がやたらに名前を変え、業務の担当を変え、ポスト名変えたり増やしたりしていると、予算ばかり増えて、仕事の効率も悪く、責任が曖昧になってゆく。これぞ、政治家や官僚の目くらましではないか。8月29日に出そろった来年度予算の概算要求は101兆円を超えているというではないか。
9月5日各省庁から集めた70人でスタートしたという「まち ひと しごと創生本部事務局」など、「事ここに極まれる」の感があり、その看板掛けの映像が流れていた。いずれどうなることやら・・・。
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