「順天堂大学誘致」はどうなったか、佐倉市議会の質疑から見えるもの
2月9日、3月8日の当ブログでは佐倉市の「順天堂大学誘致」に関する、地元の不動産業者「山万」と順天堂大学のおかしな動きについて調べてみた。その後、佐倉市2月議会の中継録画が下記にアップされた。新聞記事は市長の答弁の要約であったが、中継録画を見て、誘致推進派議員たちの、市民そっちのけの、税金を市長のポケットマネーのように24億円を「持ち出せ」、「金を出せ」と迫る言い分にはあらためて驚いた。
以下のサイト「録画配信」の用語検索で「大学誘致」のキーワードを入力すると、過去の議会にさかのぼって質問をした議員と市との質疑の全容が分かるので、進行の見当を付けて、その部分の画像と音声が視聴できる。
http://www.sakura-city.stream.jfit.co.jp/
録画によれば、2月議会で、質問の大部分をこの「順天堂大学誘致」問題にあてた、さくら会古参のK議員は、後半は、まったく中身のない執拗さで市長に質問していた。私は、現市長の市政に対する考え方について、さまざまな疑問や注文を持つ一市民ではあるが、いまのところ、この順天堂大学誘致の件については、フラフラしながらも、まあ、まっとうな答弁だったと思っている。
K議員は、2012年11月、市議会の多数で大学誘致に関する意見書を可決し、以後、2013年11月に山万からの用地無償提供、大学からのスポーツ科学部キャンパスの移転に伴う建設費の半額24億円支援要請があった以上、大学とも早く話し合って決断すべきだったとする。
市長は、大学の当初の佐倉市進出計画は、他の学部新設だったり運動部用の寮建設だったりで方針が定まらなかったが、上記の計画が提示されたのが2013年11月、昨年の「懇話会」設置で、第三者の意見提出を得た。さらに大学側の建設計画と費用の積算根拠の提示を求めてきたが、いまだにその提示がない以上、この計画は進められないとする。
先の当ブログでも報告しているように、市議会の大学誘致意見書可決は、あくまでも一般論で、具体的な計画があってのことではなかったこと、公的支援要請の積算根拠が不明な以上、市民への説明責任が果たせていないことは確かである。さらに、都市計画変更の手続きは、いまだスタートしていない。山万が業務代行となって進められる土地区画整理事業組合を立ち上げるための準備会がようやく申請されたばかりで、地権者、周辺住民の合意形成はこれからだろう。どんなビルが建ち、周辺の環境に与える影響が分からず、学生の移動や活動内容、職員の動向も知らずして、財政支出を決断せよというのは無理な話ではないか。
ユーカリが丘一帯を区画整理事業という形で開発を進めてきた山万は、つねに土地区画整理組合の業務代行として、都市計画の変更や宅地造成工事を仕切ってきた。千葉県や佐倉市を巻き込んで、ときには公的資金を引き出し、周辺住民に意向を無視して進めてきたのが実態である。私は周辺住民の一人としてそうした状況を目の当たりにしてきた。その一部は、ブログ記事として報告してきた。土地区画整理による開発が住民に、佐倉市にどれだけの成果をもたらしているか、いないかも実感しているだけに、この問題は、重大な関心事であり、その成り行きを注視したい。
なお、先のK議員は、質問に事欠いて、この間、当ブログでも紹介した新聞報道について「新聞を利用して世論誘導をしたのは誰だ」というのだ。それでは、3月1日の朝日新聞の妙な記事をどう読むのか。それを言うのなら、いまのテレビや新聞、はてはネット情報に至るまで、みな世論誘導、世論操作の具になりかかっている部分がある。だからこそ、情報の海におぼれないためにも、私たち市民は、市議会、審議会、市は何をしているのかを、できれば直に、根気よくウォッチしなければならない。
当ブログの、「土地区画整理事業」に関する記事は、以下の他、カテゴリー「土地区画整理事業」「都市計画」の記事を合わせてご覧いただきたい。
・ユーカリが丘駅前の大学誘致をめぐるおかしな動き、やっぱり、山万が ~第3回「大学等の誘致に関する懇話会」(2014年10月10日)傍聴から振り返る」(1)(2)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/10/post-7e2b.html
(2014年10月10日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/10/320141010-ebd5.html
(2014年10月14日)
・ユーカリが丘、順天堂大学キャンパス誘致、見送り?(2015年2月9日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/02/post-fea7.html
・佐倉市の大学誘致はどうなるのか~順天堂大学おかしな動き、その蔭に
(2015年3月8日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/03/post-5d0f.html
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・「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」はなぜ不認証になったのか(2) 2012.02.08
・「ユーカリが丘地域まちづくり協議会」はなぜ不認証になったのか(1) 2011.12.06
・佐倉市の縦覧制度と情報公開制度の実態~土地区画整理事業について、先ごろ、こんなことがありました・・・ 2011.03.02
・「奇跡の街、ユーカリが丘」、開発の基本に立ち戻ってほしい~「カンブリア宮殿」を見て 2010.09.15
・佐倉市都市マスタープランの見直しへ、市民の意見を反映するというけれど 2010.07.13
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・町の名前、こんな風に決まるんだ~「ユーカリが丘」って、どこまで?! 2009.07.06
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・「考える街。ユーカリが丘」って、ディベロッパーは何を考えているの(2) 2008.06.04
・「考える街。ユーカリが丘」って、ディベロッパーは何を考えているの? 2008.03.31
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・マイリスト「すてきなあなたへ」に49号を登載しました 2006.12.23
・佐倉市都市計画審議会、やっぱりおかしい~~行政・議長の露骨な賛成誘導と議長の条例違反明らか 2006.11.19
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・佐倉市井野東・井野南開発はどうなるのか 2006.08.24
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・区画整理組合による開発の企業主導と行政の後押し―「佐倉市都市計画見直し」説明会に参加して― 2006.04.25
・すてきなあなたへ
No44,45号をアップしました。
2006.03.23
・助成金は土地区画整理事業の延命装置か―佐倉市、井野東土地区画整理組合の場合― 2006.03.15
・道路用地費11億円はどのように決まったのか(3)―異議あり!井野東土地区画整理事業への公管金 2006.03.13
・道路用地費11億円はどのように決まったのか(2)―井野東土地区画整理事業における不動産鑑定の怪―2006.3.10
・道路用地費11億円はどのように決まったのか(1)―井野東土地区画整理事業公管金の謎― 2006.03.07
・土地区画整理事業における住民参加(2)―行政と業務代行のはさまで― 2006.02.28
・土地区画整理事業における住民参加(1)―行政と業務代行のはざまで― 2006.02.26
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