佐倉市の大学誘致はどうなるのか~順天堂大学のおかしな動き、その蔭に
佐倉市議会2月議会では、推進派の何人かの議員が「順天堂大学誘致」について市長に迫ったらしい。録画はまだアップされてないので、新聞記事の限りだが、蕨市長の答弁では、必ずしも明確でなはないが「計画実現のために、解決すべき問題を一つ一つ解消していく必要がある」「市民の納得できる内容になればすみやかに計画を立て議会に諮りたい」と述べた、と報じている(朝日新聞 2015年3月2日)。
かねてより、大学は、事業費の半分の約24億の公的負担を佐倉市に要請してきた。佐倉市は、大学に詳細な事業計画を求めていたが、期限の2月末日までに回答がないままだった。24億円と言えば半端ではない支出で、詳細な積算根拠があってこその要請でなければならないはずだ。順天堂大学の姿勢も「佐倉市に進出してやる」と言わんばかりの態度ではないのか。市長に誘致の決断と負担を迫る議員は、市の財源の税金を誰のものと思っているのだろう。大学と推進派の議員の後ろには、これまた、ユーカリが丘駅前の土地3000坪を無償貸与すると言っている不動産会社山万がいるのだ。
そんなキナ臭い、利権が絡むような背後の様子が垣間見えるような事態を知った。上記の市議会の質疑が始まる直前、3月1日の「順大誘致『市長に意思ない』佐倉のシンポで同大学部長」という新聞記事だった(朝日新聞)。2月28日、順天堂大学主催のシンポジウムでスポーツ健康科学部の部長の挨拶の中での発言というのだ。どんなシンポジウムだったのか、どこで開催されたのか、記事からは分からないので、支局に問い合わせると、ユーカリが丘のウィシュトンホテルで開催された「第11回順天堂大学スポーツ科学部国際シンポジウム」でのことだった。ネットで調べると「アダプテッド・スポーツ(障害者スポーツ)とつながる力~多様性に応じた実践と今後への期待」と題され、障害者スポーツイベントの事務局長やパラリンピックの元アスリートの講演と知的、身体、精神障害者スポーツの各団体の役職者たちによるシンポというプログラムだった。シンポのテーマとは全く関係がないところでの発言であることが分かると同時に、記事では、4月の市長選の立候補予定者も登壇して「歴史ある順天堂にぜひ佐倉に戻ってきてほしい」と挨拶したとある。会場の障害者スポーツ関係者は、さぞかし驚いたことだろう。関係のないシンポで、市長選立候補者が登壇してきたのだから。
この立候補予定者というのが、このシンポの前日2月27日に、立候補を公表したN元衆議院議員だった。維新の会から次世代の党に移った議員で、昨12月の総選挙で落選した。維新の会時代に、原発事故で飛散したセシウムは人体に影響がないから避難住民は即時帰還させるべきだと政府を質し、物議をかもした人物だった(衆議院予算委員会2013年3月13日)。こんな候補者を立てて、順天堂大学のキャンパスの一部を佐倉市へ誘致しようとする市議会保守会派も地元の不動産業者も、何を考えているのだろう。現市長が設置した「大学等誘致に関する懇談会」の報告書も、その内容は、前にも当ブログで指摘したように、ハッキリしない。800人規模の学生が往来する「誘致による経済効果」の議論を傍聴したかぎり、明確な根拠も見当たらず机上の空論のようなものだったし、結論としては、市がかつて東邦大学病院(20億)や聖霊病院(15億)を誘致したときの負担額より、市民への便益から考えて、それより低く抑えるべきだ、とするものだった。誘致を推進して、地元の不動産の付加価値を目論んでいるのかもしれないが、それによって住民へ還元されるものがあるのか。この不動産業者は、担いだ市議や政治家との関係が長続きしないことでも知られている。市長選も、巨額の公的補助をめぐる論議も注視していかねばならない。
これまでの当ブログの関連記事は、以下の通りです。併せてご覧いただければと思います。
・内野光子のブログ「ユーカリが丘駅前の大学誘致をめぐるおかしな動き、やっぱり、山万が ~第3回「大学等の誘致に関する懇話会」(2014年10月10日)傍聴から振り返る」(1)(2)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/10/post-7e2b.html
(2014年10月10日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/10/320141010-ebd5.html
(2014年10月14日)
・ユーカリが丘、順天堂大学キャンパス誘致、見送り?(2015年2月9日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/02/post-fea7.html
(参考)
・佐倉市ホームページ「大学誘致に伴う公的支援のあり方について」
(佐倉市大学等の誘致に関する懇話会 2015年1月9日、1月22日佐倉市HP公表)
http://www.city.sakura.lg.jp/cmsfiles/contents/0000011/11401/daigakuyuuti_all.pdf
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