なつかしい人々~去年は見つからなかった阿部静枝の色紙
昨秋、芝の友愛労働歴史館で、「同盟から50年、その今日的意義を探る」の企画展のなかで、「同盟ゆかりの人々・阿部静枝~その人と生涯」コーナーが設けられたことは、当ブログの以下の記事でもお伝えした。そのとき、企画を担当されたMさんからは、「もし、色紙などをお持ちなら展示用に貸してほしい」との依頼があった。色紙ではお役に立てなかったが、わずかながら、他の資料を提供することができた。ところが、ないと思っていた阿部静枝先生の色紙が私の昔の書作品や道具を納めた箱から出てきたのである。私の短歌の手ほどきは阿部静枝先生から受けたというのに、なんという生徒だったのだろう。
阿部静枝の若き日の肖像画に出会う~初めての友愛労働歴史館へ(2014年7月4日) http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/07/post-927a.html
再び友愛労働歴史館へ~阿部静枝コーナーの展示が始まった(2014年9月11日) http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/09/post-501c.html
色紙には「生わかめ乾きつつこぼす砂光る小名浜の砂がわが庭土に 静枝」とある。雅印もないし、いつどこで頂戴したかも定かではないが、たしかに先生の筆ではある。1974年亡くなる5カ月前に刊行された『阿部静枝歌集』(短歌研究社)の「『地中』以後」中の164頁にある一首だった。初出はいまだ分からないが、『地中』が1968年5月なので、それ以降の作品となる。
あらためて「色紙」を眺めていると、とてもやさしい気持ちになれる一首に思えた。生わかめが運んできた、あの小名浜の砂が、庭土にこぼれて光っている・・・。スケールの大きい作品にも思えてくるのだった。私が持っているよりはと、友愛労働歴史館に収めていただこうと思っている。
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