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2015年7月14日 (火)

7月12日、シンポ「沖縄戦後70年:基地問題とジャーナリズム」に参加しました  

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山内ゼミの学生の応援がたのもしい受付

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夏らしい集会の受付、左端の山内先生も忙しそうです

「沖縄戦後70年:基地問題とジャーナリズム」

日時:
7月12日(日) 13時~16時30分

会場 明治大学(御茶ノ水)駿河台キャンパス

    グローバルフロント棟 グローバルホール(1階)

●研究報告 山内健治(明治大学政経学部教授)
    “基地接収・返還に揺れた共同体――読谷村の事例から”

●パネル討論 “辺野古から考える日本のジャーナリズム”  

金平茂紀(TBSキャスター)

影山あさ子(映画「圧殺の海」監督)
 
宮城栄作(沖縄タイムス東京支社報道部長)

司会 醍醐 聰(東京大学名誉教授)
 
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右から、宮城、影山、金平、醍醐の各氏

新しいグローバルホールは、階段状のホールで、折り畳みの机も備えられている、居心地の良い会場だった。ほぼ満席の約180人の参加、ユープラン、IWJなど4つのカメラが入ったという。
 文化人類学、東アジアの民俗学に詳しい山内先生の報告は、あっという間の30分だった。数十年間にわたる沖縄でのフィールドワークのうちの読谷村の事例を話されたが、村の集落「シマ」が戦争で破壊され、再建のさなか、米軍の接収によりさらにズタズタに分断される様子が数字や映像で明確に語られていた。仮設住宅から基地内の公認耕作地に通う人々、「祈り」の場を次々失ってゆく人々が移設しても必死に守ろうとする姿が痛切であった。
 パネル討論の詳しい内容については、下記のユープランの配信映像で見ていただきたい。ここでは私がとくに印象に残った発言を恣意的ながらとりあえず発言者ごとにまとめておきたいと思う。壇上では、期せずして宮城さんから若い順に並んだ格好だった。
    

             *****
・20150712 UPLAN【研究報告】山内健治“基地接収・返還に揺れた共同体――読谷村の
事例から        https://www.youtube.com/watch?v=UKs5Ux6C7Vc

 

・20150712 UPLAN【パネル討論】金平茂紀 影山あさ子 宮城栄作 “辺野古から考える
日本のジャーナリズム” https://www.youtube.com/watch?v=ApXZzfPOfBA 

 

             ***** 

◇宮城さん:
・沖縄と本土との関係を「温度差」「溝」そして「対立」「平行線」とのことばで語られたくはない。今回の沖縄の二紙を「つぶせ」の発言は、毎度のことという印象があるほど繰り返されてきた。昨年の石垣市長選直前の石垣への自衛隊配備計画報道への露骨な規制から遡ると限りない。今回も発言者の品位や資質の問題ではない。メディアとしては直ちに反応してゆきたい。
・本土では、戦後、憲法やメディアが天から降ってきたものかもしれないが、沖縄では、憲法も自分たちのメディアも自らの力で獲得してきたという感覚があり、メディアは、住民にきたえられてきたので、住民サイドに立つ必然性がそこにある。全国紙は、基地問題が法的手続きの問題であり、負担軽減の問題としてとらえているところが問題なのだ。
・ことばとしても、本土では、辺野古への基地移設、移設反対派ととらえるが、沖縄では新基地建設、建設に抵抗する市民 としてとらえている違いは大きい。

・報道の公平・公正というが、軸足をどこの置くかにより変わってくる。弱者に寄り添う公正さに立った報道を実践してゆきたい。
◇影山さん:
・辺野古の基地建設については、2014年7月の着工から撮影を開始し、12月までを『圧殺の海』としてまとめた。影山さんのプロダクションでは、以降もカメラマンが常駐して撮影している。10年前の取材陣と比べると激減し、海上保安庁の、かつてのとにもかくにも“中立的”だった姿勢が一変したのは、第一次安倍内閣からだという。5分ほど流された、4月以降の最新の映像からも、海上保安庁による“警備”の暴力的なすさまじさに息をのむほどだ。人命救助のため、と屈強な海保の隊員が怒号を浴びせながらフロートの外にいるカヌーの市民を襲い、放り出した海で何度でも頭を沈めるという、まさに暴力団まがいのことを繰り返す。影山さん自身もカヌー上に乗り移ってきた隊員に羽交い絞めにされた経験を持つ。
・そのカヌー転覆事件のときは、NHKも撮影していて、沖縄の放送では流れたが、本土では流さなかった。NHKは、展望台から撮影しているが、NHKの撮影隊が来ると、工事の進展の節目で、必ず何かがあると言われているそうだ。何らかの情報を得ているのだろう。
・影山さん制作の海兵隊のブートインキャンプ(新兵訓練所)に密着したドキュメンタリ映画「One Shot One Kill (一撃一殺)」の一部が流され、その撮影経緯について話される。12週間の訓練で「人間が人間でなくなって、人を殺す道具になっていく」様子が克明に描かれている。上官の命令にすべて「yes sir!」と叫ばされ、個性と思考を放棄させられ、銃剣やライフル、素手でも人を殺す訓練が繰り返されるリアルな映像に打ちのめされた。たった5分ほどながら、その迫力は十分すぎた。アメリカから沖縄に送り込まれ、沖縄からイラクやアフガニスタン、ファルージャにも出撃した海兵隊とは何者と、国防省の許可を得てのノースカロライナ州での撮影であったという。
◇金平さん:
  当日の夜にはドイツへ発つという忙しいさなかでの参加だったという。
・摩文仁の丘の平和公園の一番奥の岬のてっぺんに「黎明の塔」というのがあり、私も昨年11月に行ってきたところだが、そこは最後の軍司令官牛島満中将が6月23日自決したと場所とされている。6月23日「慰霊の日」の早朝には、毎年、自衛隊員が参拝しているというので取材に出かけると、今年も、制服自衛官30人ほどの隊員が、右翼らしい人たちと県警に守られて、そそくさと参拝している光景を目にしたという。沖縄の人にとっての牛島中将は、沖縄戦を引き伸ばし、島民や兵士の犠牲を激増させたとして、その評価は高くない。
・今年の「慰霊の日」の式典は例年にない雰囲気の中で始まり、翁長知事の平和宣言への拍手は、何回も力強いものがあり、高校生の詩の朗読も素晴らしかった。安倍首相の挨拶の段になると、「帰れ」コールは、あちこちで起こり、例年いないことだった。さらに、席から「何しに来た」「戦争はイヤだ」「帰れ」・・・と叫び続けていた高齢男性は、警備陣に退去させられていた。TBSでは、さらにその男性(82才)を追い、その発言を捉えたニュース映像を会場でも流した。ところが、6月23日のNHK「ニュース7」では、安倍首相への野次があったことすら伝えなかった。私も、このニュースは見ていたが、金平さんも、ホテルに帰って見て、びっくりしたという。野次のあったことが「ニュース」であるはずなのに、なかったことのように報道していることが恐ろしいと。
・とくに、NHKの報道番組が、政府広報になるのは、「政治部」の記者たちが、実に「エラそうな」振る舞いになるのは、まさに「自発的隷属」に陥っていることに起因するのではないか。

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「報道特集」の一場面、後ろ向きの男性が退去を迫られている


・客観報道、中立性について思い起こすのは、昭和天皇死去直後、皇居前で一人の高齢女性がひれ伏して泣き崩れる様子が各局から流れたが、あるカメラマンは、その女性一人を取り囲んで、大勢のカメラマンがレンズを向けている光景を俯瞰したという。

・TBS報道特集のような調査報道番組は、日本にはほとんどなくなった。放映の時間帯に変遷はあるが、圧力をかけられたことはない。CBSの「60ミニッツ」を手本に頑張りたい。

・今回の安保法案については、当初のもくろみの憲法改正が難しくなって、解釈改憲をして集団的自衛権を容認した経緯と11本の法案をまとめて強行することが問題で、そこの説明が大事で、政局報道に堕していることが危険である。
・辺野古の漁業組合の漁船は、すべて防衛施設庁に1日5万+ガソリン代以上で借り上げられ、沖合に並ぶ。メデイア関係者が借りる手立てはほぼなくて、独自に調達しているという事実も看過できない。

山内先生、3人のパネリストと、総合司会、討論の司会はじめ多くのスタッフの皆さん、ほんとうにお疲れ様でした。 会場では、佐倉市から参加された5人ほどの方とはお会いすることができた。
宮城さん、影山さんは二次会にも参加されたので、身近にお話を聞くこともできた。いまの日本を変えるにはどうしたらいいだろうという話なると、影山さんは「少なくとも辺野古を守り通せば、安倍内閣は倒せる」、それには、ともかく一歩を踏み出さねばといい、「辺野古基金」に拠出したからと、そこにとどまってもらっては困るとも。 現場に密着している影山さんならではの発言に、思わすはっとさせられたのであった。

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