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2016年6月27日 (月)

「沖縄における天皇の短歌は何を語るのか」を報告しました

 偶然にも、沖縄に出かける日の前日、619日、上記の表題で、「思想史の会」にて報告する機会をいただいた。大学同期の政治思想史専攻の友人和田守さんたちにより丸山真男が亡くなった年に立ち上げられた研究会の由、今年で20年になり、この日は第70回目の研究会だという。和田さんの紹介なので、やや緊張するが、会員の大半は研究者で、企業のOBでその後大学に関係している方もいらっしゃるようだ。少々心細かったのだが、短歌という切り口で、天皇制を見てもらえればと思い、お引き受けすることにした。会場は、法政大学のボアソナードタワーの一室、参加者20人ほどであった。コメンテイターとして原武史さんが参加される由、聞いていたので、久しぶりにお目にかかれるのも楽しみだった。原さんとは、かつて立教大学の五十嵐暁郎さんたちの象徴天皇制研究会で、短期間ながらご一緒した時期があった。

 私の報告では、皇太子時代に5回、即位後5回、沖縄を訪問している、こうした天皇・皇后の沖縄への思い入れは、何に拠っているのか、そこで詠まれた短歌・琉歌(合わせると30首前後になろうか)、そして、沖縄に関する「おことば」を通して検証することにした。天皇(夫妻)はどういう時期に何を目的に沖縄を訪問し、そこで詠まれた短歌や「おことば」という形でのメッセージは、現実にはどういう役割を担ったのか、についても触れた。一方、保守派に限らず、いわゆるリベラル派と称される人々からも、天皇夫妻の短歌をはじめとする様々な発言や振る舞いに、敬意と称賛の声が上がっている事実とその危うさについても指摘した。

 さらに、天皇のこれらのメッセージに沖縄の歌人たちはどう応えたか、については、沖縄からの歌会始への応募・入選の状況と沖縄の歌人たちが天皇(夫妻)を詠んだ短歌を収集、その意味を探った。

 次に本土の歌人たちが、沖縄を、沖縄の歌人たちの短歌をどのように受け止めたかを、渡英子、小高賢、松村正直の批判から探ってみた。また、沖縄の歌人たちは、それらをどのように受容したのか、しなかったのか、屋良健一郎、名嘉真恵美子、玉城洋子らの発言から検証してみた。

原さんからは、貞明皇后の御歌集には何種類かあって、その作歌経過がわかるものがあり、いまの天皇・皇后の短歌も、公表される前の作歌過程があるに違いないので、そのあたりが解明される必要があるのではないか、とのコメントをいただいた。

 

なお、もう一人の報告者、飯沼良祐さんの「明仁天皇と昭和天皇」は、元東洋経済新報社のジャーナリストらしい視点からのお話だった。『昭和天皇実録』の読み方や昭和天皇とキリスト教との関係など興味深いものがあった。質疑にあっては、天皇家の行く末について盛り上がっていた。

この日、619日は、那覇市では米軍属による女性暴行殺害事件抗議のための県民集会が開かれていた。翌日、沖縄へ発つことになっていたので、市ヶ谷での二次会も、早々に失礼したのだった。

 

 詳細は、近く、発行予定の『社会文学』44号に寄稿しているので、機会があればご覧いただきたい。

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6月26日、「政治は変えられる!7/10参議院選挙 安倍政治は変えられる」、駅頭でビラをまきました。

私が、駅に着いたのは3時少し前、駅頭では、自民党選挙区の I 候補者が、演説中だった。人はまばら、私たちが、これからビラを撒こうという陸橋の通路にも数人立ち止まっている程度だった。もらったビラには小泉内閣時代の元少子化大臣認証式の、あの当時話題になったボテボテの青いロングドレスの写真があった。華やかりし、忘れがたい時代だったのか。その後、この人は何をしたかな。国際政治学者だったころの彼女の教え子たちが、「先生、いまの先生は、かつて大学で私たちに教えていたことと違ってはいませんか。安保法制のことを考え直してください」といった趣旨の質問状をもって面談を申し入れたが、応えてもらえなかったという記事を読んだことがある。それに、今回、も一人の自民候補者から千葉県在住実績がないと云々されているらしい。

 その彼女の運動員たちと並んで立っていたのが、なんと佐倉市長だった。昨年の市長選挙の時は「自民党入り」などおくびにも出さなかったのに。

 さて、私たち「さくら・志津憲法9条をまもりたい会」で、615日に配ったビラと同じ「政治は変えられる! 710日参議院選挙 安倍政治を変える大きなチャンスです」を、ユーカリが丘駅頭で配った。今日の配り手は6人で少しさびしい。配り始めてしばらくすると、年配の男性が二人相寄って、ビラをひっくり返しては眺めて話している。声をかけてみると、「どこが出しているビラ?だれの応援?」と聞かれる。だれか候補者の後援会の人でもあったのか。また、ビラを断るのに、「地元じゃないのよ」「ここの住民ではない」という人もちらほら、やはり特定の候補者のビラとでも思われたのだろうか。

 今回の私のマイクでのトークでは、前回とは少し違って、以下の通りだ。

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 私たちは、さくら・志津憲法9条をまもりたい会です。2006年に、憲法9条をまもりたいの一心で活動をはじめて10年になります。今日は、710日の参議院選挙を控え、ビラを配らせていただいてます。私たちは、さくら・志津憲法9条をまもりたい会です。

 安倍首相は、いま、参議院選挙では、声を潜めていますが、決して争点にはしないのですが、もし与党で三分の二の議席が取れたら、一気に憲法を変えようという構えです。すでに自民党草案を出しているから、自民党が有権者の皆さんにご支持いただいたから、といって、憲法を変えてしまおうというのです。安保関連法は、前の選挙の公約では、最後の最後の一行で小さく「安保法制の整備」と書いてあるだけでした。それがどうでしょう。国会の手続きを無視して、議決もなく騒然とした中で通過したと言ってます。 特定秘密保護法の時もそうでした。 だますようなやり方は、許せません。

 安保体制、日米同盟を強化して日本を守れるのでしょうか。アメリカは、日本を守ってくれるのでしょうか。アメリカの基地が、抑止力になるどころか、近隣諸国を挑発し続け、基地の内外では凶悪犯罪が続出しています。

 私は、623日慰霊の日に、沖縄に参りました。沖縄の方々は、皆、怒っています。憤り続けています。アメリカの基地はいらない、海兵隊は出て行け、日米同盟は不要、の思いは一緒です。

 憲法を守り、勝手に解釈で変えさせないの一心で、憲法まもりたい一心で活動を続けてきました。今度の選挙は大事な選挙です。皆様の貴重な一票を、ぜひ生かして投票しましょう。

 ただいま、「さくら志津憲法9条をまもりたい会」のビラを配っています。ぜひお読みください。

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 ビラを受け取った、中年の女性は

「あら、どこの政党が配っているの?」とビラに目をやる。

「私たちは、憲法9条をまもりたいという、市民の会です。政党は問わない、政党ではない、一般市民の人の集まりです」

「知らなかったわ」

「活動を続けて、今年で10年になります。毎月第2日曜、コミセンで集まって、いろいろ活動していますよ」 と宣伝をしておいた。

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2016年6月18日 (土)

<憲法9条をまもりたい> 駅頭でビラを配布しました

 参議院選挙の公示も迫った6153時から1時間、「さくら・志津憲法9条をまもりたい会」のビラを配った。千葉では「県民の日」で小中高生は休業、ユーカリが丘駅頭は小中高生のグループが多かった。高校生らしいグループには、どうしても今回のビラは渡したいと思うが、相手は話に夢中でタイミングが合わない。総勢7人での配ったビラのオモテは「政治は変えられる!夏の参議院選挙は安倍政権を変える大きなチャンス」と題し、「2015819日に強行採決された<平和安全保障関連法>については廃止にむけての運動が継続されています」「集団的自衛権の行使は憲法上許されません」など、かなりソフトな訴えではある。ウラは、新しく世話人メンバーに加わったMさんの文章が登場する。

 私には、二つほどのハプニングがあった。渡そうとするビラを一瞥した年配の男性から「安保法制、廃止?誰が日本を守ってくれるのか」「中国や北朝鮮が日本に原爆落としてくるぞ」という。「安保法制は、誰かが日本を守ってくれるのではなくて、アメリカが世界のどこかで戦争を始めたら、自衛隊を派遣しなければならないという法律があるんですよ」「日本は、武力をもって中国や北朝鮮に対抗するのではなくて、知恵でもって外交で渡り合ったらいいのではないですか」と、これまたつたない説明をすると、「奴らはそんな相手ではない。日本が潰れてなくなってしまえばいいというのが、あんたらの考えじゃないか」と去っていった。

 中年の女性に「憲法をまもりたいというビラです。読んでいただけますか」と手渡すと、「今度の選挙は大事ですよね。あの安倍に皆さんのご信任をいただいたのですからと、好き放題だけはしてもらいたくないんです」と話し始め、「何とか今の与党には票を入れないでほしいの一念で、私もときどき東京の集会に出かけたりして、呼びかけたりするんです。気ままに好きなときに出かけています」と続ける。「それではどうですか、飛び入りで、マイクで呼びかけてください」とお願いすると、早速「皆さん、今度の参院選挙は大事な選挙です・・・」とマイクを握った。

  私は、短い時間だったが、私たちの会が活動を始めて十年になったことから話はじめた。「安倍首相は、経済政策の失敗を世界経済の不調を理由に、消費税増税延期を掲げましたが、そもそも消費税は上げなくてもいいのです。延期を選挙の道具にして、人気を取ろうとしているにすぎません・・・」とそのあとは、法人税を1%でも上げれば4500億の財源確保ができるのに下げてます。それに、総合課税としたうえ、累進課税を手直しして富裕層からの所得税の税率を少し高くすれば財源の問題は解決するのです」というパターンと「参院選では声を潜めている憲法改正問題ですが、多数を取ったら、自公で三分の二を取ったら、公約で小さく小さく書いている問題を前面に押し出してくるのがいつもの手です。特定秘密保護法、安保法制関連法をごり押ししたのもその手だったのです・・・」と。どれほど通行の皆さんに届いているのか心細い限りだが、一時間の活動は終わった。 

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2016年6月 1日 (水)

フォーラム「電波はだれのものか」に出かけました

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すでに先週のことになるが、 東京でさえ、伊勢志摩サミットのため警備が厳しかった526日、私は、シンポジウム「電波はだれのものか」に参加した。主催は、雑誌『季論21』、会場は、後楽園ドームの斜め向かいの文京シビックセンター26階、横長のホールだった。開場前から行列もできて、連れ合いの知人や地元佐倉市の方も数人お見かけした。私からお誘いした方々の中で、連絡なしに参加されている方もいらした。

 シンポの表題にある「停波」とは、昨年1110日高市総務相が放送法に違反した放送事業者に、総務大臣が業務停止命令や無線局の運用停止命令を行うことができるとの規定を根拠に「番組準則は法規範性を有する」と表明したことを指す。その直後、ある視聴者団体が、報道番組の特定のキャスターを名指して「違法な報道を見逃さない」とした意見広告を何度か新聞にだしたこと、NHKの国策報道強化などを受けて、名指しされた岸井さんはじめ、青木さん、田原総一朗、金平茂紀、大谷昭宏、鳥越俊太郎、田勢康弘さんたち7人が、今年229日、メディアへの政治的介入に抗議声明を出したことは記憶に新しい。その7人のうちのお二人が、この日のパネリストとして登場したわけである。青木さんは「気に食わないものは封じる」安倍政権の一貫した政策を分析、批判する。岸井さんは、まさに「権力は暴走する」真只中での闘いを振り返った。

 視聴者コミュニティの醍醐共同代表からは、他のパネリストがジャーナリストなので、視聴者の立場からの問題提起をということで、報道の今日的状況として、安倍政権への支持率が上昇している現実を直視した上で、その支持を支えているのが第三者を標榜する「有識者」集団であり、政権浮揚を図る作為、失政を伝えない不作為による国策報道と調査報道の貧困が問題であると指摘、さらに報道を劣化させるものは政治介入と政治圧力による報道自体の自己検閲であると。

『琉球新報』の新垣さんは、最近東京支社勤務となった由、今回のアメリカ軍属による女性強姦殺人事件に触れて、米兵と米軍関係者による性犯罪の統計からみても、基地や海兵隊の存在自体がその温床になっていることを強調、あってはならないヘイトを、沖縄への差別を、政官民一体となってまかり通してしまう現状を語った。永田さんは、NHKOBだけあって、やはりNHKの現場への信頼は根強く、現実の視聴者の目線がなかなか理解しにくいようだった。

パネリストたちがバラエティに富んでいて、個性もあってなかなかおもしろかったのではないか。感想というか、私にはどうしてもと思う質問があったのだが、迷いつつ手を挙げそびれてしまった。新垣さんには、いま『琉球新報』『沖縄タイムス』は、全国紙と違って、権力のチェック、監視という役目を果たしていることに敬意を表するとともに、『琉球新報百年史』や『アメリカ占領時代沖縄言論統制史』(門奈直樹著)などを読んでいると、経営陣と報道の現場、記者たちとが対峙する場面が何度かあったようだ。現在はどうなのか、という質問だったのだ。また、永田さんには、視聴者からの激励の電話が10本も入れば、現場にとっては大きな励みになるというが、視聴者としては、現場の職員や経営者たちと直接、意見交換ができるシステムを構築してほしい、視聴者センターやメールでの意見や苦情はあくまでも一方通行で、週間・月間・年間でまとめられる「視聴者対応報告」は、そのまとめ方が非常に恣意的であって、視聴者の意向が反映されずにいることが続いていて、まったく改善されていない実態をご存じだろうかと。受信料で成り立つ公共放送なのだから、「視聴率」や「政府の声」を聴くのではなく、「視聴者の声」を真摯に受け止めるべく、先輩としても働きかけてほしいと。質問にも勇気が必要なことを知り、心残りではあった。 

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『季論21』フォーラム・電波はだれのものか

~「停波」発言と報道・メディア、言論・表現の自由を考える~

  2016526日(木) 午後215分~

  東京・文京シビックセンター スカイホール(26F

  パネリスト

  青木 理(ジャーナリスト)

  新垣 毅(「琉球新報」報道部長)

  永田浩三(メディア社会学、元NHKプロデューサー)

  岸井成格(毎日新聞特別編集委員)

  醍醐 聰(「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表)

  司会:新船海三郎(文芸評論家)

 

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