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2021年1月16日 (土)

東京五輪は無理でしょう、「歌会始」は延期されたけれど

 ほんとならば、昨日1月15日には、「歌会始」が開かれていたはずだったが、1月8日に、宮内庁から延期の発表があった。12月の中旬には、感染対策をして開催するつもりだった。会場の中央で読師と呼ばれる数人が短歌を独特の声調で読み上げる「披講」をフェースシールドとアクリル板で感染を防止し、参加者はマスク直用着用で実施するような発表だったが、今回は、「講書始」と一緒に、参加者の移動にかかる感染リスクを理由に延期に踏み切った。まさに不要不急のイベントで、当然といえば当然であった。

 なぜ中止しないのか、不思議なのは、今年の夏に迫った東京オリンピックである。組織委員会にも、政府にも、東京都にも、マス・メデイアにも、政党にも、中止や延期の発言や論調が見えない。誰も言い出さないのだ。

 一方、メディアは、世論調査を実施しては、国民の声を伝えるが、オリンピック関連記事を開催前提で明るく報じるが記事が頻出するのが現状といえる。

 ちなみに、最近の「世論調査」の結果を見てみると、以下の通りである。

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 新年に入り、新型コロナウイルス感染が日に日に拡大し、医療体制の崩壊が現実のものとなっているさなか、菅総総理の発言は、もはや破綻しているとしか思えない状況である。この十日ほどの発言内容は以下の通りだが、東京オリンピックをいったいどうやって決着をつけるつもりなのだろうか。内閣支持率がどん底となってから、その回復のために、突如の「延期」でも目論んでいるのだろうか。海外のメディアからはすでに開催を危ぶむ報道が届いているというのに。

菅総理の発言の推移
1月4日 年頭会見:夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたい。感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けするこの大会を実現するとの決意の下、準備を進めていく。

1月8日 緊急事態宣言発令時の会見:感染対策を万全にして1都3県と県安全安心な大会を実現したい。ワクチン接種が始まれば国民の雰囲気も変わるのではないか。

1月12日ビル・ゲイツとの電話会談:ゲイツの東京オリンピック・パラリンピック並びに東京栄養サミットへの期待に応えて「大変重要な問題なので、必ずやりきる」

1月13日の非常事態宣言7府県追加時の会見:まず東京オリンピック、パラリンピックを意識して判断が遅れたということはない。実はこれまでも水際からの感染拡大防止に、政府としては万全を講じてきた。

 来年度予算、オリンピック予算と新型ウイルス対策予算についても調べてみたい

追補

1月18日ANN世論調査の発表によれば、7月オリンピック開催賛成11%、中止48%、延期37%という結果が出ている。18日の『中国新聞』の社説が、中止に言及していた。

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2021年1月 5日 (火)

「朝日歌壇」の今昔

  繰り返しになる部分もあるかもしれないが、私が会員である『ポトナム』という雑誌の「歌壇時評」として書いたものである。

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 近頃、「新聞歌壇」の様相が気になって、手元にあった古い本を読み返してみた(『斎藤茂吉選・朝日歌壇 第一集』(朝日新聞社編刊 一九五四年)。四八年八月から五三年二月の入選作品集で、茂吉は、死の直前まで選者を務め、以後は結城哀草果に引継がれた。「カーマストラ戦ひの日に讀みしことも我がひそかなる悲しみとしつ」(清水房雄 一九四八年八月)、「進駐軍宿舎のあたり夜の空つねに明るくここより見ゆる(吉村睦人 一九五〇年五月)が目に留まった。清水は三八年に、吉村は四九年に「アララギ」入会、ともに土屋文明の選を受けているが、「アララギ」会員はもっといたかもしれない。「ポトナム」会員では、四七年入会の吉田邦治、五四年入会の林安一の作品を見出すことができる。

・ふる里の木野山驛は新しき薪に埋れ今し貨車来る
(岡山 吉田邦治)(一九五一年六月)

・寺を継ぐ僧は未だに歳若く村の教師の職を捨てざる
(長野 林安一)(一九五一年一〇月)

 「朝日歌壇」が五島美代子・宮柊二・近藤芳美の共選となるのは一九五五年、前川佐美雄が加わり四選者となったのは一九七〇年。『朝日歌壇共選二十年秀歌選』(朝日新聞東京本社学芸部編 朝日ソノラマ 一九七六年)の「序」では、共選のねらいは、広い読者層から、日々の生活の中から湧き上がる平明率直な歌を取り上げることだと記す。この「朝日歌壇」からは、次のような歌人も巣立つ。

・夜の団交勝利のごとく伝えられ帰る工員らに門開けてやる
(仙台 佐藤通雅/近藤選)(一九六一年)

・苦しかりし試験終わりぬ頭より湯をふんだんに今宵は浴ぶる
(東京 日賀志康彦(高野公彦)/宮・近藤選)(一九六四年)

・爪立てて「同志よ黙秘を」と刻み来し我が房の壁今宵誰が見む
(吹田 道浦母都子/五島・宮選)(一九七一年)

・祖母と呼び孫と呼ばれし事もなく見知らぬ祖国に果てしを知りし
(上野 李正子。宮・近藤選)(一九七三年)

  現在の「朝日歌壇」は、馬場あき子、佐佐木幸綱、高野公彦、永田和宏による共選が続き、たしかに「平明率直」な歌が多く採られている。遡れば、大堀昭平、島秋人という獄中歌人に、死刑囚坂口弘、米国での終身刑囚郷隼人、ホームレス公田耕一が続き、現在は十亀弘史らの入選作が注目されている。入選者の常連化、話題性の高い作者の入選作が目立つのは共通点といえる。この傾向に輪をかけたのが、常連入選者に幼児や小中高校生が登場したことである。彼らの成長を見守るかのような選歌が続き、その短歌を題材にした入選作も登場、松田梨子・わこ姉妹、山添聖子・葵・そうすけ一家などは、まさにアイドルと化し、しばし盛りあがるのである。「新聞歌壇」のサロン化といってもいいかもしれない。もう一つの変化は、短歌が時代を反映するというのは当然ながら、反応が早い「時局詠」「社会詠」が多くなったことである。東日本大震災の頃からか、原発事故・災害、安保体制への不安、新型コロナウイルスの恐怖、日本学術会議への圧力などのテーマの歌が続出するという現象である。上記二冊の時代を通して、「時局詠」的なものは決して多くはなかった。短歌入門者の通過点、修練の場という役割を担ってきた「新聞歌壇」、短歌と一般読者を結ぶチャンネルとして親しまれてきた「新聞歌壇」はどこへ行くのか。月二回の「時評」は、逆に、執筆者の師弟関係や仲間内でのオマージュ、「歌壇」にしか通じない、社会性のないテーマが多いのも気なるところだった。(「歌壇時評」『ポトナム』2021年1月号所収)

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左側の『朝日歌壇 共選二十年』は、横長の本で、初年1955年の頁を開くと、右側には一年の主な出来事が知るされている。冒頭に「テレビ、洗濯機、ミキサーなど家庭電化時代始まる。マンボスタイルが流行」とある。入選作の1頁目には、つぎの1首があった
・未来にもわれにも向いて走りつつ届かぬ星の光あるべし(東京)石本隆一 五島選

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2021年1月 2日 (土)

新春 2021年

新年のご挨拶申し上げます。
いつもお訪ねくださり、ありがとうございます。
不安が多い新春を迎えました。
一日も早く、当たり前の暮らしができるようにと願っています。
拙い歩みですが、第四歌集をまとめることができればと準備中です。
ともかく、今は命を守ることに自らも努め、
政府や自治体には、実のある対策を求めたいと思います。

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イチジクのえさ台にやってくるヒヨドリ、大きい方の愛媛の「紅まどんな」と「佐賀美人」を前に迷う、というより、メジロが来ないように監視しているのかもしれない。つぎは、ガラス戸越しでなく、撮りたいのだが

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