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2022年12月25日 (日)

2022年12月、怒りのの年末(3)有識者とはだれか、なぜ隠す

 毎日の新聞やテレビを見ていて、怒りのタネは尽きないのだが、ふだんから、どうして?と腑に落ちないことがある。政府の方針策定、閣議決定する前には、政府の諮問委員会、首相の私的諮問委員会、数々の審議会が長期的に設置されたり、臨時的に新設されたりする。

「GX実行会議」って
 近々では、12月22日「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」での結論が政府の基本方針として決定した。7月に立ち上げられ、5回の会議で決まったと言い、そもそも、「GX」と略されているが、「X」というのはなに?
 「クロス」を意味し、ビジネス用語で使われているらしいが、そんな用語でけむに巻かないで、日本語で示せ、と言いたい。それはともかく、実行会議の結論は、福島第一原発事故以降、原発の新設・建て替えは想定しないとする政策を大きく転換する内容であった。その骨子は、①脱炭素推進のため再生可能エネルギーとともに原子力を最大限に利用する、②次世代型の革新的な原子炉の開発・建設を進める、③原発の運転期間を「原則40年、最長60年」という法律のもと、審査による停止期間を除外し、60年以上の運転を可能にする、④企業の脱炭素投資を推進するため、10年間20兆円規模の特別国債「GX経済移行債」を発行する、というものだった。
  2011年3月の原発事故の悲惨さと深刻さ、避難生活を余儀なくされている人たち、生業を失った人たちの切り捨て、避難解除になったからといって、暮らしができる環境にないのに戻れといった愚策が続く。再処理に回すはずの使用済み核燃料も各原発で貯まる一方だし、最終処分場選定もとん挫、後始末ができないまま、建て替え・新設を進めるというのは暴挙に他ならない。
  それもそのはず、「実行会議」のメンバーは、各界代表というつぎのようなメンバーであり、ほとんどが企業のトップであり、エネルギーや原発についての「有識者」ではない。環境問題にかかわっている竹内委員は東京電力出身だし、生協出身の河野委員、研究者と思われる伊藤委員・白石委員は、いずれも様々な政府審議会のメンバーとして重用されている、”安心・安全な“人たちなのであった。

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 政府の諮問機関は「有識者会議」と称され、有識者の代表が首相や担当大臣に重々しく、しかもにこやかに、報告書や答申案が手渡される光景はよく報じられる。審議会のの様子が頭出しで、メンバーの顔が映し出されるが、その名前が表示されることはない。政府は、まず、“有識者”たちの議論や結論を“十分踏まえる”形を整える。しかし、内実は、有識者を選ぶのは、政府なのだから、よほどの手違いがない限り、政府の意向に添った「結論」にいたる。というのも、提出資料も論点整理も結論も官僚が作成、有識者は、ベルトコンベアに載せられているようなものなのではないか。異論があるときは、「両論併記」に落着き、議会での審議はもはや形骸化し、与党多数で決まる。「議会民主主義」など、どこかにすっ飛んでしまっている。

安倍元首相国葬を「検証」したのはだれか
 また、同じ12月22日に、政府は、安倍元首相の国葬に関し、有識者への意見聴取に基づく検証結果を発表した。この検証は、岸田首相が安倍元首相の死亡から一週間足らずで国葬の開催を表明し、内閣府設置法の所管事項「国の儀式」をその根拠に内閣が開催の決定をなしうるとした。その手続きや規模、国費によるものとしたことから、世論が二分されたことを受けての検証であった。

 9月27日の国葬後、約50人の法律・政治・歴史の研究者や報道関係者に打診の上、応じた21人の意見聴取が10月から12月に実施された。「静謐な環境で進めたい」という政府の意向で、メンバーの事前発表はなされなかった。会議を開いて議論するつもりもなく、政府が
①法的根拠 ②実施の意義 ③国会との関係 ④国民の理解 ⑤対象者の選定 ⑥経費や規模、
にわたる論点整理をして、その賛否の両論併記したものだった。その21人を明確に報じるメディアは、少ない。『東京新聞』は豊田洋一論説主幹が聴取に応じていることもあって、各論点の賛否意見要旨を名入りで記事にし、彼の「国民の理解が十分に得られないようなことを閣議決定してよかったかという問題が残る」の意見を紹介している。以下は、毎日新聞紙上によるImg532_20221225185901

<参考>
東京新聞:「これが検証?政府が安倍氏国葬を巡る「論点整理」を公表 有識者の見解並べただけ 今後の対応は示さず」2022年12月22日 21時43分https://www.tokyo-np.co.jp/article/221568

東京新聞:こちら特報部「世論を分断した「国葬」 衆院報告書はわずか3ページ 検証結果を検証してみると…」2022年12月21日 06時00分https://www.tokyo-np.co.jp/article/221184

毎日新聞:「安倍氏国葬評価二分」「国葬の基準 遠い結論」【12月23日朝刊】

 なお、この意見聴取の報告に先だって、12月10日に、安倍元総理大臣の「国葬」について検証してきた衆議院議院運営委員会に設置された与野党の協議会は、結果として世論の分断を招いたと指摘したうえで、今後、国葬を実施する場合には国会が的確な行政監視を行う機会を確保することが望ましいなどとした報告書をまとめ、細田衆院議長に手渡している。
 山口俊一委員長(自民)のもと、丹羽秀樹(同)、吉川元(立憲民主)、中司宏(日本維新の会)、岡本三成(公明)、浅野哲(国民民主)、塩川鉄也(共産)の議運メンバー6会派の6人で「率直な意見が出しあえるように」と、非公開で行われた。会派の推薦で選ばれた有識者計6人麗沢大の川上和久教授(政治心理学)、東京工業大の西田亮介准教授(社会学)、中央大の宮間純一教授(日本近代史)、九州大の南野森教授(憲法)、早稲田大の長谷部恭男教授(同)、関西学院大大学院の井上武史教授(同)のヒアリングを実施した。その報告というのが、たった3頁の「概要報告」を全文掲載した下記の『東京新聞』の記事によれば、
国民の間で国葬の共通認識が醸成されておらず、結果的に世論の分断を招いた。
②国民、国会への説明では実施に至るまでのプロセス
③法的根拠・実施の
理由
④対象者のルール化
⑤国会の関与の在り方、
についての様々な意見を列記している内容で、誰の発言かも分からない。国費による実施については、いっさい記載がない。

 以上、議会での検証協議会、政府による意見聴取においても、結論を先送りのまま、丁寧な説明など在り様がない。両者に共通しているのは「国葬」自体の是非の論議に触れていないことである。ぐずぐずのまま、閣議決定の国葬を正当化する役割をはたしたのではないか。皇族であっても、政治家であっても、「国葬」なるものは、身分・評価以前に、もともと不要であると私は考えている。

<参考>
東京新聞:こちら特報部「世論を分断した「国葬」 衆院報告書はわずか3ページ 検証結果を検証してみると…」2022年12月21日 06時00分https://www.tokyo-np.co.jp/article/221184

Photo_20221225185901
数日前に、短歌の友人から、作ってみましたと、可愛らしいリースをいただいた。

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