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2023年2月 4日 (土)

マイナンバーカードへ募る不安とリスク

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2月4日、今日の朝刊各紙に一斉に掲載された全面広告。再度延長して今月末日が申請締め切りとなった。年度末の予算消化?どこまで続く無駄遣い。

  岸田政権になって、内閣支持率が落ちに落ちるのをチャンスとばかりに、これまであいまいにしてきた政策を一気に右へとかじを切ったというべきなのか、人気浮揚のつもりの政策がすべて裏目に出たというべきか。私たちの暮らしはどうなるのか。

 いま、私の世代で、もっとも不安なのは、医療と介護である。親の介護の心身の負担、経済的負担を乗り切ったとしても、今度は自らの医療と介護の問題に直面している。

 政府は、来年2024年秋には、マイナンバーカードと保険証を一体化して、紙の保険証の廃止を目指している。その前提として、今年度末3月までには、すべての医療機関にマイナ保険証対応のシステム導入を義務づけた。しかし、その達成には至らず半年の延長を余儀なくされている。

 私が、いま通院する、地域の中核病院では、たしかにマイナ保険証対応のステムは導入されているらしい。通っている眼科のクリニックでは、受付カウンターの端に置かれている機器の利用者を見たことがない。皮膚科の医院では、冊子のカルテで対応してくれて、先生は「去年も今頃でしたね、あの薬はどうでしたか」と、手書きの図を見せてくれる。病院の方は、月一の保険証確認の窓口に列はできるが、待つこともなく、次回の予約確認と会計用の番号を渡される。マイナ保険証対応の機器がどこにあるのかはしらない。

 導入した医療機関からは、システムエラーが多数報告されて、そのリスクに不安があるという(「マイナ保険証 医師ら不安」『朝日新聞』129日)。それ以上に、私が不安に思うのは、これまでも、このブログで何度も書いてきたが、情報一元化による情報流出のリスクである。多機能なカードなればなるほど、そのリスクは拡大する。カードを入手し、パスワードさえ分かれば、その情報に入り込むことができるからだ。政府は、保険証ばかりでなく、運転免許証を一体化し、公金振り込み口座も紐づけ、国家資格の更新などもできるようにし、今国会で、マイナンバー法の法改正をして、細かな用途規制の緩和をするという。

 現在ですら、さまざまな官民が持つ個人情報があちこちで漏えいされ、実害も生じているのではないか。すでに、カードを持っている人、5千円、2万円のマイナポイントにつられて、カードを作ってしまった人、よく不安にならないか、私には不思議にも思える。いくら丁寧に説明されても、リスクはリスクで、解消されるわけでもない。また、子供の場合の交付申請が15歳未満と1518歳までとで扱いが異なるというけれど、カードとパスワードの管理はどんなことになるのか。誰のメリットになるのか、国民は、だまされてはいけない、とつくづく思う。1月末日現在で、カード取得率は60%に達したというが、「国民皆カード」で管理される時代にしてはいけない。

 マイナポイントに限定しても、20209月に始まった第1弾では2979億円、226月から始まった第2弾では18134億円が計上された。マイナポイントをPRするあのテレビCM・新聞広告やキャッシュレス事業者に支払う事務費などもこれに含まれ、併せて2兆円を超えることになる(朝日デジタル2022122日)。

 また、日経クロステックの調査(202214日)によれば、この3年間のデジタル関係予算は、5.8兆円にもなる。
2020年度第3次補正予算と2021年度当初予算<15カ月予算>1.7兆円
202112月~20233月<16カ月予算>4.1兆円

 ところで、来年度の社会保障関係予算は、下記の上段の図表によれば、36兆円規模ながら、2022年度に比べて、6154億円の増、1.7%増に過ぎない。さらに、鳴り物入りのこども家庭庁予算は、下段の図表によれば、1233憶円増え、2.6%増えたに過ぎない。

「2023年度社会保障関係予算のポイント(202212月)」https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/13.pdf

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 「異次元」?「次元の異なる」?の少子化対策は、倍増の予算を充てるというが、どの予算が倍になるのかも分からない。その財源に至っては何の裏付けもなく、右往左往している。児童手当一つをとっても、下の図表に見るように、所得制限撤廃しても、対象を高校生まで、第2子、3子に拡大しても、マイナポイント関係予算2兆円で、十分賄えるのでないか。ほかの費目を流用したり、削減したり、さまざまな費目の寄せ集めの「基金・資金」を新設したりもするかもしれないが、結局は、増税や国債発行に拠らざるを得なくなるだろう。将来世代にツケを回さないどころか、逆走ではないか。世代間の負担格差の是正と言いながら、高齢者は、ますます生きづらい社会へと進む。この時代に、防衛費増強など、まさに異次元の人間が考えることではないか。

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NHKテレビ「時論公論・異次元の少子化対策 ~ 問われる家族観」(竹田忠、2023年2月2日)より  

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