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2023年4月30日 (日)

はじめての巣鴨地蔵、初めての染井霊園、そして六義園

 連休前の4月28日、東京へ出かけた。池袋に生まれ、池袋で育ったはずなのに、巣鴨のとげぬき地蔵も知らず、駒込の六義園に入ったこともなかった。染井霊園というのも聞いてはいたが、初めてなのだ。 関西出身の夫の方が、巣鴨も霊園もすでに訪ねていた。

 巣鴨の駅から白山通りを少し進めば、巣鴨地蔵通り商店街のアーケードが見える。なるほどここがと、しばらく進むと右手にとげぬき地蔵尊に着く。一通りお参りをして、最近快方に向かったという友人にと、お守りをいただき、まだまだ続く商店街だったが、そこで引き返した。パン屋の「タカセ」は、池袋東口の「タカセ」の支店らしいが、萬盛堂薬局は池袋西口の店とは関係がないらしい。「雷神堂」でせんべいとおいも屋さんではいも羊羹を買い、染井霊園に向かった。

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  霊園のHPからコピーした案内図と著名人の墓の番地一覧を片手に進むと、福田英子の墓地は一直線の道の端にあり、すぐ見つかった。高村光太郎の墓地は、案内の看板と⇒があったのですぐに分かった。その後、西そめいの通りに入り、夫とは別々の墓地に参ることになり、私は、五島美代子の墓地がなかなか見つからず、行ったり来たりした。警備の見回りらしい人とすれ違ったので尋ねると、すぐ後ろから「五つの島のゴトウだったらここにありますよ」との声、見落としていたのである。夫の姿は、どこへやら、シャツがちらちら見えたので、「見つかったの」と叫べば「まだ」という。そこへ、重装備のカメラを持ったグループの人たちがやって来て、「さがしているのは誰?」と声をかけられ、夫が目当ての「宮武外骨さん」といえば、すぐそこですよと、墓前まで案内してくださった。そこには「中村」という新しい墓標もあったので、気づかなかったと。さらに、隣接する慈眼寺の芥川と谷崎の墓参である。夫はすでに、数年前に訪ねている。

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左の碑には「尽誠待天命 
福田英」と刻まれているが、比較的最近に建てられたものではないか。この言葉と、婦人解放に身を捧げたと言ってもよい福田英子にはにつかわしくないと思えたのだが。隣の墓誌には、英子が筆頭で、没年が昭和二年五月二日(1927年)とあり、1865年11月生まれなので、61歳で亡くなっている。続いて子どもたちの名前がきざまれているようだ。5月2日という英子の命日も近いではないか。

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地図には、外人墓地の一画のように記されていたが、墓標は、一基だけが残されて、写真のような巨樹が二本生い茂っていた。

  ところで、私にとっての高村光太郎といえば、数年前に、いまから思えば終刊間近い『季論21』からの依頼で、高村光太郎について書いた縁もあるし(拙著「暗愚小傳」は「自省」となりうるのか―中村稔『髙村光太郎の戦後』を手掛かりとして」『季論21』 46号 2019年10月)、戦前の光太郎の翼賛ぶりへの批判は、何度かしてきた縁もあるので、一度は、ご挨拶?とも思っていた。また五島美代子に関していえば、夫の五島茂とともに、昭和初期のプロレタリア短歌の担い手だったが、茂の英国留学に伴い、戦後の『母の歌集』を経て、美智子皇太子妃の短歌の師への道をたどったことを知り、資料も若干集めている縁もあることから、ぜひと思っていた墓参であった。

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 案内の標識がなければ、高村光雲、光太郎、智恵子の墓とはわかりにくかった。墓前に供えられたレモンが一つ、短い影を落としていた。

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五島茂・美代子の長女ひとみは、母美代子とともに東大に通っていた時期もあったが、1950年、23歳での自死を遂げる。両親の慟哭はいかばかりであったか。美代子79歳、茂103歳、次女いづみが2017年80歳で亡くなっていることを物語る墓誌であった。

  

   次は、12時30分に予約をしている、女子栄養大学のキャンパス内にあるというレストランに向かうのだが、薄いセーターも脱いでも汗ばむほどだった。東京スイミングセンター、本郷高校、大きなマンションを目当てに、知らない街を夫の後をついてゆくのは、少々きつかった。ようやくたどり着いた女子栄養大学、守衛さんに名前を告げることになっていたらしい。4号館の五階という。夫がネット検索で偶然見つけたレストランで、学生食堂とは違うというので、興味津々であった。一階の大きな教室では、料理の実習中らしかった。五階では、矢印に沿って廊下を進むと、「松柏軒」の看板、さらに奥へ進む。「注文の多い料理店」を思い出すほどだったが、大きな部屋に通された。大きなテーブルが二つ、仕切りもなく半分は、畳の大広間になっている。お客は、どうも私たちだけで、シェフの男性が給仕もし、むずかしい料理の説明もしてくださり、ランチのフルコースを堪能することができた。どこか隠れや的な静かな空間であった。

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デザートのムースには、撮る前に、思わずフォークを入れてしまったのだが。

 次は、六義園なのだが、正門まで、駒込駅を通り越して商店街を歩くことになる。なかなかの人通りで、バラエティに富んだお店も多く、きっと住みやすい町に違いないと。

  六義園も都立公園なので、後楽園と同様、高齢者は150円の入園料であった。歩いて汗ばんだ身には、新緑の木陰の道は心地よく、ツツジの丘の花はまだ残っていた。ところどころの木陰のベンチで休みながら、徳川綱吉の時代、柳沢保吉が造営したという大きな池をめぐる回遊式の庭園を楽しむことができた。学校での日本史では、綱吉、柳沢のコンビはよからぬ印象の方が強かったのだが。

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帰宅後の歩数は、13000を超えていた。明日が、いや明後日が、どうなることやら、心配にもなる。 池袋に30年余住んでいながら、まだまだ知らない東京ではある。海外旅行はムリにしても、達者ではない足腰をなだめながら、今少し、小さな旅を続けたい。

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2023年4月25日 (火)

支持政党はないけれど、選びたい人を探してでも

選挙公報が遅いのは

 支持政党がない、選びたい人もいない、というときは、棄権か、白票を出したいときもある。今回は、通院のついでに、県議選も、市長・市議選も不在投票で済ませたのだが、ともに、選挙公報が届く前だった。23日の市長・市議選の公報が届いたのは4月20日だった。選挙のたびに思うのだが、公報をしっかり読んで選びたいのに、どうして遅れてしまうのか。地元の候補者の選挙カーが、何度も町内に回って来るのだが、政治姿勢や政策を伝えるのはムリで、いや、政策なるものを持たない候補者もいそうで、大方は名前の連呼で終わる。昼間は勤めに出ている現役世代は、それさえも知らずに投票することになる。何を基準に選んでいるのだろうか。

 私は、身近な議員の日常活動や事前運動のチラシなどを見るようにしている。かつては、関心のあるテーマでの質疑があるときは、議会の傍聴に出かけていたこともある。いまはその気力も失せてしまったし、いくつかの交通機関を利用しての市議会への道は遠い。

<無所属>の見極め

 県議選の千葉9区は定員3人、立候補4人で、自民、立憲、市民ネットワークの3人が当選した(自民以外は女性)。 市議選は、定員28人、立候補33人。前回の立候補は42人だったので、ある候補者は、「今回は“泡沫”がいないので、きびしい」と漏らしていた。無所属17人、自民4人、公明4人、市民ネットワーク3人、共産2人、新社会1人、国民民主1人、参政1人が立候補、無所属の5人が落選したが、他は全員当選している。当選した無所属の12人のうち、10人という保守系の最大会派さくら会は、今回の当選者が5人と半減した。2人の現職が落選、引退、元職2人が加われば7人か。自民系が2人、1人会派2人という内訳になる。保守系を寄せれば、さくら会系8人、自民系6人、公明4人合計17人、それに、参政1人が、どう動くのか。

 市民ネット3人、共産2人、新社会1人の計6人、そして、ひとり会派の2人は保守派に取り込まれることなく、頑張ってほしい。ひとつ残念なのは、つねに上位当選していた市民オンブズマンのFさんが立候補せず、後継者もいなかったことだ。

既成政党の停滞と地域政党の動向

 それでも、今回の地方統一選挙で、県議の3人の内2人が女性だったこと、市議全体28人中10人が女性であることに変わりはないのだが、当選者の上位5人がすべて女性であったこと、前回が1人であったことと比べれば、何かが少し変わるきっかけになればと期待したい。

 なお、前回と比べると、市民ネットは3人で9012票、2200票増やし、公明4人で8699票、1335票減らし、共産2人で3327票、前回は3人立てていたが、1319票減らしたことになる。市民ネットは、佐倉市特有ながら、この躍進ぶりは、かつてのように4人立候補してもよい勢いであるが、オンブズマンFさんの票が回ったのかもしれない。

 公明が減らしているのは、全国的な傾向でもあったらしい。現職の公明党議員が、支持者の高齢化を嘆いていたのを聞いたことがある。周辺を見ても、共産党の支持者の高齢化は著しいものがあり、党員のセクハラ、パワハラ、除名問題なども複合的な要因になっているのではないか。

 また市長選では、現職の西田三十五が当選したが、市民ネットと共産などが支援した弁護士の清田のり子とは185票の僅差であった。清田の善戦は、今後の市政に反映されるにちがいない。

 再選された西田市長は、市議・県議時代、「五か条御誓文」や「教育勅語」の復活などを主張していたと記憶する。現職を破って市長になったときは、どうなることかとびっくりしたが、その主張は「封印する」と市議たちには漏らしていたそうだ。コロナ対策交付金の手続きミスで、5・3億円を返還する羽目になり、介護保険の交付金でもミスをしている。図書館との複合施設「夢咲くら館」の建設にあたっても、予算をはるかに上まわった上に、このブログでも指摘ように、市民の声に耳を傾けない強引な手法で進めたこと、統一教会との濃密な関係など、この4年間の負の足跡はぬぐい切れず、不安が大きい。

 なお、選挙公報を読んでいて、これはまずいんじゃないの、という一件があった。どういうわけか、共産党の二人が横並びの枠で、名前と経歴だけが違うという以下のような誌面だったのである。ともかく他の候補者は、同じ政党であっても、少しづつ自分の政策、訴えらしきものを語っているのだが、判で押したように、とはこういうことなのだろう。同じ党なのだから、共通の政策を打ち出すのはいいが、やはり候補者なりの訴え方や個性のようなものが伺える紙面の方が親しみやすいのでは。

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右側に候補者名と党名、下段には小さな字での経歴が記されていた。

<参考>
2023年43日佐倉市議員選挙結果
https://www.city.sakura.lg.jp/material/files/group/1/20230423kaihyokekka0005_shigi_t.pdf

2019年421日佐倉市議員選挙結果
https://www.pref.chiba.lg.jp/senkan/chiba-senkyo/documents/010421sakura-gi_2.pdf

 

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2023年4月21日 (金)

はや、新緑の小石川後楽園に出かけました

 桜の季節に、ぜひと話していたのだが、天候が定まらなかったりで、スケジュールが合わなかったり、機会を逸してしまった後楽園行き。きょうは、夏日との予報だったが、リュックにお茶のボトルも入れて、家を出た。ドームやジェットコースターはいつも横目で見ていたが、庭園に入るのは二人ともはじめてだった。

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入園料は、シニアは半額で150円、申し訳ないような・・・。

 

 石塀に沿って、東門に向かって歩いているつもりが、着いたのは、西門、入ってすぐの涵徳亭のレストランで、姪が働いているのだが、今日は出勤日だろうか。ランチには、まだ早いので、どんなメニューか見ておこうかと、のれんをくぐる。「いらっしゃいませ、履物はそのままで・・・」と迎えられたのだが、姪が出勤かどうか確かめたくて、「あのォー」と姪の名前をいうと「ええー」と、なんと本人だったのである。制服に、大きなマスク、眼鏡もかけていたので、一瞬わからなかったのは、おたがいさまで、大笑いとなった。
 姪は、数年前まで、シェフのお連れ合いと、長い間、三宿でイタリア料理の店を開いていた。ちょうどコロナ禍に見舞われる直前に閉店して、池袋の実家に転居、その後、しばらくして、この涵徳亭で働きだしたというわけで、仕事に関しては、かなり年季が入っている。

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庭園は、中国や日本の名勝や風物を取り入れた造りになっている。

 

 おおきな池を半回りほどして、涵徳亭に戻り、てんぷらそばの定食とお抹茶のランチをすませ、起伏のある、散策路をまわった。水戸の徳川家が手掛けた回遊式の庭園で、二代藩主光圀が完成させたという。桜の季節は、たいへんな人出だったそうだ。きょうも、家族連れや外国人のグループなどでにぎわっており、ところどころで、写生に余念のない人たちにも出会った。今度は東門を出て、ドームのゲイト脇に沿って、後楽園駅に戻った。

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日陰の並ぶ人は何?ドームのゲイトの回遊路は、何やら顔写真のついたウチワ持ってはしゃいでいる若い女性たちにもであった。帰宅後、ドームの日程を調べてみた。今晩の6時から「
SixTONES ストーンズ 慣声の法則 in DOME」のコンサートということらしかったが、わけが分からず、説明によると、2015年にデビューしたジャニーズ事務所の男性アイドルグループだった。ジャニーズ事務所といえば、いまもっぱら報じられている、忌まわしい記事の方が・・・。


 欲張って、メトロで一駅だからと東大前で下車、根津神社に向かった。東大の野球場の横をくだって、5分と看板にあったが、かなり歩かねばならなかった。根津神社のツツジは、テレビでも何度か報じられたが、かなりの人出で、小屋掛けの店も並び、騒がしかった。ツツジは、盛りを過ぎたとは言え、見事だった。と言っても300円の入園料が要る散策路は失礼して、並ぶ参拝客の列も横切って、神社を後にし、不忍通りへ。南北線の根津から大手町へと、階段と地下通路の長さにいささかげんなりしながら、帰途についた。久しぶりに1万1000歩を越えた一日だった。

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2023年4月16日 (日)

"軽老”の時代に生きる

 4月14日の朝日新聞を広げて、え?敬老の日?いや9月だったはず。最初に目に飛び込んだ全面広告が、「音で、認知症に挑め。」という、塩野義製薬と「ピクシーダストテクノロジーズ」とかいう会社とのコラボ広告らしいが、文面を読んでも認知症に音がどうかかわるのかわからなかった(5頁)。

 全面広告は、イエローハットのタイヤ、ホームミュージック全集、コンサート案内と続く。つぎに、現れたのが「デュオセーヌ」船橋高根台の所有権型シニア向け分譲マンション(20頁)、グラクソ・スミスクラインKKの「50歳以上の皆さん!」として帯状疱疹予防(22頁)、「80代でも「シャキッ」と歩けています」というサントリーロコモア(24頁)、「ラビドール御宿」介護付き有料老人ホーム(26頁)の全面広告だったのである。

 この日の朝日は36頁、そのうち全面広告に限っても8頁、その半分の4頁がシニア向けの広告だったといえる。新聞はもはやシニア世代が支えているのかもしれない。若者の新聞離れも著しく、スマホやテレビで用が足りてしまうのだろう。テレビをよく見るのは前世紀?生まれの者たちなのか。電車内で新聞を読んでいる人自体めったに見かけなくなった。全面広告以外でも、「薬に頼らず血圧を下げる」「健やかな暮らしに生薬の力」「朝までぽかぽか」「腎機能改善」などの文字が大きい。

 発行部数も激減、物価高騰の中、朝日は、来月から1カ月の購読料が4500円から4900円になる。値上げをするからには、広告収入もぜひ公開してほしいものである。* わが家も、かつて、日経や日本農業新聞、琉球新報などを購読している時期もあって、5~6紙が郵便受けにあふれんばかりの時代があった。いまは、4紙となり、3紙の夕刊をとめている。最近は、もう1紙減らそうかと話している。新聞販売店には申し訳ないが、引き落としではなく、集金をお願いし、家計費から支払い、金額を確認、意識するようにしている。

 上記のシニア向けの分譲マンションは、販売価格が2500~5000万、管理費だけでも4~6万、修繕積立金やその他もろもろ経費が上乗せされ、もちろん生活費は別となると、いったいどんなシニアが購入するのだろうかと思う。介護付き老人ホームの方は、入居金2590~5590万、管理費81400円、食費が65400円、光熱費、リネン代、おやつ代、介護にかかる消耗品・・・。いずれも、全面広告の割には極端に小さな文字でぎっしり書かれているのである。どちらの場合も、よほどの年金をもらっているか、貯えのある人たちにちがいない。夫婦二人で長生きしたら!?なおさらのことである。

 同じ日の新聞には、13日には「高齢者の医療保険料の負担増」にかかる健康保険法ほかの改正案が衆院を通過した、とのニュースがあった。これによれば、75歳以上の4割にあたる人が負担増になる。昨年の10月に続いての負担増である。さらに14日には、保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する法案改正が衆院本会議で審議に入った。同時に、マイナンバーカードの利用拡大、マイナンバーと預貯金口座の紐づけが盛り込まれるが、個人情報満載の一枚のカードを持ち歩くのは、高齢者にとってはかなりの負担とリスクがあるばかりでなく、現在でも、医療機関や高齢者施設の現場ではかなりの混乱を招いている。(「保険証廃止 根強い懸念」『朝日新聞』2023年4月14日)

 財源の確保がないまま、“異次元”の少子化対策といって、増税、国債、社会保険料からの捻出をもくろんでいる。得体のしれない”経済学者“成田某の発言ではないが、高齢者は、早く死ねと言わんばかりである。増税というならば、法人税増税、富裕税新設、所得税の累進性の徹底の実現と税金使い方―予算の見直し、防衛費の削減が先だろう。

  うやまってもらわなくてもいい、当たり前の暮らしができればいい。

*
《新聞社の経営関連調査》広告収入の構成比2割切る 総売上高は1兆6619億円(日本新聞協会)
https://www.pressnet.or.jp/news/headline/191126_13250.html

新聞社の総売上高の推移(日本新聞協会)
https://www.pressnet.or.jp/data/finance/finance01.php

新聞業界全体の総売り上げが2兆円を割ったのは2010年、販売収入が1兆円を割ったのが2017年、総売り上げの60%から徐々に減って2021年は56%になっている。広告収入が5000億を切ったのは2009年、20%を割ったのは2018年、2021年は18%であった。

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数日前に、ご近所の菜園をなさっている方からいただいた、たくさんの菜の花。おひたし、みそ汁の具、炒めもの・・・、何でも使える重宝な野菜。今晩は、てんぷらにしてみました。冷蔵庫の中で、花が咲かないように。

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2023年4月 7日 (金)

フランスでは、大規模な年金改革反対デモが続いている~日本人は勤勉なのか

 3月28日、フランスでは、年金改革反対の大規模な反対デモが繰り広げられた。日本での報道は、ネットや新聞で見る限り、かなり控えめ?であった。フランスでのデモは、今年の1月以来、年金の受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる法案をめぐっての10回目のデモだった。これまでの経過は、下記の当ブログでも触れている。11回目のデモも4月6日に予定されている。

どうする高齢者!立ち上がるのは誰か(2023年2月13日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2023/02/post-5d21d1.html

どうする高齢者!どうすればいいのか~ルーブルや大英博物館職員がストできるのは(2023年2月18日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2023/02/post-3ba626.html

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3月28日、年金制度改革への反対を唱えながらパリ市内をデモ行進する人たち。(『東京新聞』4月4日)。かつて、私の学生時代、両手を広げて手をつないだ、道路いっぱいのデモ行進を、フランスデモと呼んで、穏やかな抗議手法だったのだが。

 

 年金改革法案は、3月20日、僅差で、すでに成立しているのだが、3月23日の9回目のデモは、フランス内務省の発表でさえ、1月に始まって以来、過去最多となる109万人が参加し、3月28日の10回目の抗議運動にも93万人が参加したと報じている。(谷悠己「フランスで年金改革反対デモが激化 「62歳定年」を死守したい国民…実は欧州随一の高い生産性」『東京新聞』 2023年4月4日)法律が成立した後も、抗議運動の勢いが衰えないのが頼もしい。

 それでは、なぜ、多くの市民が、これほどまでに持続して、抗議を続けるのか。
 フランス在住のジャーナリスト安部雅延は、マクロン政権が安全保障や社会保障で緊急性、重大性が認められる場合、議会審議の投票を省略して法案を可決させられるとする、憲法49条3項を適用し、国会の審議がないまま、一方的に法案を可決成立させたことをまずあげる。二つ目の理由として、反対派を見下す態度を国のトップ、マクロンが取ったことが、国民の怒りに火をつけた、と分析する。さらに、年金改革案に反対を表明しながらも、デモには参加しない市民の声として、「16歳から働いている人や肉体的に重労働の人たちへの配慮が足らない」「いかにも超エリート家庭で育ち金融機関で高給を取っていたマクロン氏の庶民感覚のなさが露呈した」とも伝える。(「パリがゴミだらけ、仏年金改革「反対スト」深刻背景受給年齢の引き上げに怒りを爆発させる理由」東洋経済オンライン 2023年4月1日)

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AFPBB-newsより

 そういえば、もう四半世紀ほど前になるが、退職して通っていた大学の社会学のゼミで、ピエール・ブルデューの報告があったとき、「ハビトゥス」とか「ディスタンクシオン」とかの言葉が行き交っていた。人間は、気づかないうちに、生まれた時から、自らが属する社会的階層によって教養や学歴、社会的地位などが決定づけられるという理論がなぜもてはやされるのだろうと、戸惑っていたことを思い出す。いまの日本では「親ガチャ」なるイヤな言葉を聞くのだが。

 続くフランスのデモについて、日本では暴徒化する抗議デモと報じられることが多いが、先の安部雅延は、「デモ隊に紛れ込んで警官や憲兵隊に暴力を振るい、公道に面した店の商品の略奪やバス停の破壊行為を行う、通称<ブラックブロック>と呼ばれる暴力グループに警察は頭を悩ませている」という。(同上。 東洋経済オンライン 2023年4月1日)

 また、欧州連合(EU)の統計では年金受給はドイツやイタリアが67歳で始まる一方、フランスの62歳は最も低い。そのため年金財政は苦しく、2020年の支出は国内総生産(GDP)比15.9%と、加盟国で3番目に高い。その一方で、フランスの専門家は、「フランスの生産性は欧州随一だ」とし、週35時間の制約がある中で業務量は変わらないため、従業員が同じ時間内でこなすべき業務量は逆に増えた、という。(前掲『東京新聞』2023年4月4日)決して働きたがらないわけではないと。

 なお、マーサーの「グローバル年金指数ランキング」によると、「十分性」「持続性」「健全性」の三つの指標での評価で、フランスは43か国の中で22位、ちなみに日本は35位である。

マーサーの「グローバル年金指数ランキング」(2022年度)(2022年10月12日)
https://www.mercer.co.jp/newsroom/global-pension-index.html

 かなり劣悪な年金制度の日本では、65歳になっても、70歳になっても、働け、働け、と言わんばかりの風潮である。働かないにしても、年金や医療、介護の不安から、せめて健康寿命だけは延ばしたいと、高齢者は、歩け、歩けと街中を歩いている光景は見かけるが、年金制度の不安解消や改革に向けての抗議デモというのを、最近聞いたことがない。国家公務員に限っても、諸外国の近年のストライキの事例が、人事院の資料からも見て取れる。Img649
諸外国の国家公務員制度の概要(人事院)より。クリックして拡大してみてください。

  もう20年も前のことになるが、初めてのパリで、ロダン美術館の帰りだったか、官庁街を通り抜けたのが、午後4時半ごろだった。ちょうど退勤の人たちの群れに出会ったのである。誰もが、さまざまなファッショナブルな着こなしで、実にいきいきとした表情で家路へと急いでいるのが印象的であった。日本の官庁街ではあまり見かけない光景であった。

<参考資料>

主要各国の年金制度の概要<日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/kunibetsu/20131220-01.html

主要国の年金制度の国際比較
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000941410.pdf

諸外国の国家公務員制度の概要(人事院)
https://www.jinji.go.jp/kokusai/syogaikoku202202.pdf

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2023年4月 5日 (水)

バングラデシュ、ダッカの衣料品市場で火災

 

 5日、数時間前の先ほどのNHK「キャッチ」で、2500軒の店が建て込むダッカ最大の衣料品市場で火災が発生したとのニュースが流れた。ダッカにはこうした衣料品市場と4500の衣料工場があるそうだ。これまでだったら、遠くの出来事として見過ごすところだったが、やっぱりと、こころ痛むニュースであった。まず、昨年、岩波ホールでの映画「メイド イン バングラデシュ」を想起した。劣悪な環境の縫製工場で働く女性たちが妨害を受けながら労働組合結成に至る内容だった。本ブログの下記記事を参照していただければ幸いである。

岩波ホール、さようなら~「メイド イン バングラデシュ」(2022年5月17日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2022/05/post-13a535.html

  きつい管理の下、一か月の給料はTシャツ3枚分の売り値にも満たない。不平を言えば即刻クビにもなる環境で、働く女性たちとその家族たちが丁寧に描かれていた。改善しようとしない経営者を行政は見て見ぬふりをする怠慢ばかりか、行政との癒着ぶりをも、告発していた。工場の火災での負傷にも保障はない・・・。そんな画面が浮かんでくる。

 今回の火災は、衣料品市場の火災であって、すべてを失った店主が、この先どうすればいいのかと嘆いていた。そして、さらに驚くのは、近年に限っても、ダッカでは、2019年2月に旧市街、3月に中心街の高層ビル、8月にスラム街での大規模な火災が発生、2022年6月にはコンテナ集積地での火災も発生していて、いずれも、密集した建築物、狭い道路のため、消火活動が思うようにできない状況で、多くの犠牲者を出していた。まさに人災でもあったのである。

 お気に入りのTシャツやパンツのタグをもう一度、確かめてみて欲しい。どこの国で、どんな工場で、どのような人たちが縫い上げたものなのか、を考えるチャンスとしたい。

<追記>2023年4月19日
今日の毎日新聞朝刊で、上記火災の詳報とこの10年の動向を追跡した現地からの報告記事があった。
「バングラ<縫製ビル>崩壊10年 安い労働力っ苦境の今も 先進国側の都合優先・・・」
記事によれば、低価格ブランドのGUやイタリアのベネトンなどの衣料品製造を請け負う現地の企業グループと日本の東レの子会社との共同ベンチャーが2015年に設立されたそうだ。「環境重視」への転換は、まだ模索中という。

以下で記事の半分ほど読むことが出来る。
https://mainichi.jp/articles/20230419/ddm/002/030/110000c

 

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2023年4月 3日 (月)

宮内庁の「広報室」って、何を広めようとするのか

 4月1日に、宮内庁総務課に「広報室」が新設され、その室長が決まったという。報道によれば、職員は、従来の記者クラブ対応の総務課報道室(15人)からの5人と兼務職員、増員3人と併せて9人、増員のうち1名は民間出身でのスタートで、室長が、警察官僚から起用された女性であった。茨城県警捜査二課、警視庁組織犯罪対策総務課長を経て、警察庁外事課経済安全保障室長からの転任である。暴力団、外国人犯罪対策、国際的な経済犯罪対策にかかわってきた経歴の持ち主が宮内庁へというのだから、ただならぬ人事といった印象であった。

 そもそも、広報室新設の背景には、秋篠宮家長女の結婚や長男をめぐっての情報が報道やネット上に氾濫したことや秋篠宮が記者会見で、事実と異なる場合に反論するための「基準作り」に言及したことなどがあげられる。

 現に、広報室は、皇室への名誉を損なう出版物に対応する専門官、あたらしい広報手法を検討する専門官も置き、SNSを含めた情報発信の強化を目指し、さらに1人、民間からの起用を予定しているという。

 ということは、裏返せば、皇室報道の規制強化、広報宣伝による情報操作をも意味するのではないか。

 象徴天皇制下にあっても、深沢七郎「風流夢譚」事件(1960年)、嶋中事件(1961年)、天皇制特集の『思想の科学』廃棄事件(1961年)、小山いと子「美智子さま」連載中止、(1963年)、富山県立美術館カタログ販売禁止(1987年)・・・にみるような皇室情報のメディア規制が幾度となく繰り返されてきた。その結果として、現在にあっても、メディアの自主規制、タブー化のさなかにあるともいえる。逆に、新聞やテレビが昭和天皇の在位〇年祝賀、昭和天皇重病・死去、平成期における天皇の在位〇年祝賀、生前退位表明・改元の前後の関係報道の氾濫状況を目の当たりにした。

 メディアの自主規制が日常化する中で、広報室長は、記者会見で「天皇陛下や皇族方のお姿やご活動について皆様の理解が深まるよう、志を持って取り組んでいきたい」と述べたそうだ。

 <マイナンバーカード普及宣伝>を民間の広告代理店にまかせたように、宮内庁も<電通>?人材を入れたりして、大々的にというより、格調高く、丁寧な?広報を始めるのだろうか。

 現在の天皇・皇后、皇族たちへの関心が薄弱になってきている現状では、情報が発信されれば、されるほど、「なぜ?」「なんなの?」という存在自体を考えるチャンスになること、メディアが確固たる自律性を取り戻すことを期待したい。

 

わが家の狭庭には桜はないけれど、春は一気にやって来た。 

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3月29日、黄スイセンは、かなり長いあいだ咲いていた。

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3月31日、レッドロビンを越え、モクレンは2階に届くほど。

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4月4日、奥のツバキは、ほぼ散ってしまったが

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