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2023年4月 5日 (水)

バングラデシュ、ダッカの衣料品市場で火災

 

 5日、数時間前の先ほどのNHK「キャッチ」で、2500軒の店が建て込むダッカ最大の衣料品市場で火災が発生したとのニュースが流れた。ダッカにはこうした衣料品市場と4500の衣料工場があるそうだ。これまでだったら、遠くの出来事として見過ごすところだったが、やっぱりと、こころ痛むニュースであった。まず、昨年、岩波ホールでの映画「メイド イン バングラデシュ」を想起した。劣悪な環境の縫製工場で働く女性たちが妨害を受けながら労働組合結成に至る内容だった。本ブログの下記記事を参照していただければ幸いである。

岩波ホール、さようなら~「メイド イン バングラデシュ」(2022年5月17日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2022/05/post-13a535.html

  きつい管理の下、一か月の給料はTシャツ3枚分の売り値にも満たない。不平を言えば即刻クビにもなる環境で、働く女性たちとその家族たちが丁寧に描かれていた。改善しようとしない経営者を行政は見て見ぬふりをする怠慢ばかりか、行政との癒着ぶりをも、告発していた。工場の火災での負傷にも保障はない・・・。そんな画面が浮かんでくる。

 今回の火災は、衣料品市場の火災であって、すべてを失った店主が、この先どうすればいいのかと嘆いていた。そして、さらに驚くのは、近年に限っても、ダッカでは、2019年2月に旧市街、3月に中心街の高層ビル、8月にスラム街での大規模な火災が発生、2022年6月にはコンテナ集積地での火災も発生していて、いずれも、密集した建築物、狭い道路のため、消火活動が思うようにできない状況で、多くの犠牲者を出していた。まさに人災でもあったのである。

 お気に入りのTシャツやパンツのタグをもう一度、確かめてみて欲しい。どこの国で、どんな工場で、どのような人たちが縫い上げたものなのか、を考えるチャンスとしたい。

<追記>2023年4月19日
今日の毎日新聞朝刊で、上記火災の詳報とこの10年の動向を追跡した現地からの報告記事があった。
「バングラ<縫製ビル>崩壊10年 安い労働力っ苦境の今も 先進国側の都合優先・・・」
記事によれば、低価格ブランドのGUやイタリアのベネトンなどの衣料品製造を請け負う現地の企業グループと日本の東レの子会社との共同ベンチャーが2015年に設立されたそうだ。「環境重視」への転換は、まだ模索中という。

以下で記事の半分ほど読むことが出来る。
https://mainichi.jp/articles/20230419/ddm/002/030/110000c

 

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