「官報に載せるのを忘れてた」って! 文化功労者選考分科会委員
「官報」に載せるのを忘れてた?って、そんなことがあるのだろうか。
10月22日、「文化勲章は誰が決めるのか」を書いたあと、やはり気になって、今年の委員は誰だったのだろうと、毎年発表のある9月1日前後の「官報」をもう一度調べてみたが、見つからない。10月23日、「官報」掲載の日だけでも聞きたいと思って、ネットで見つけた文化審議会委員任命(文化功労者選考分科会委員を除く)の報道資料担当「文化庁長官官房政策課」に電話した。一緒に電子版「官報」を検索するが、わからずじまい。「担当の者が調べて電話します」とのこと。翌日、文部科学省の担当?から回答があったのだが、「たしかに、9月2日に任命されていますが、官報担当の者が、登載を忘れていまして、10月31日の官報に登載します」という。「ええ! そんなことってあるんですか。10月31日?」といえば、「ご迷惑おかけしました。担当の者への引継ぎがうまくいかなかったもので・・・。記者クラブの記者さんには報道資料として配布しているんですが」ともいう。1週間以上も先ではないか。任命からほぼ2カ月後になるなんて。これぞ、役所仕事、責任の所在はどこへやら。
2023年10月31日「官報」、浅川ひとみ(萩尾瞳)、天谷雅行、鍋島稲子、猪又宏治、木部暢子、塩見美喜子、清水玉青(有吉玉青)、寺井真実(片岡真実)、原久子、沼上幹、三島良直、村田善則とある。
そして、きょう10月31日の「官報」に、なるほど小さく載っていた。私が電話しなかったら、ずっと忘れていた?っていうことなのか。たった一日しか開かれない「文化功労者選考分科会委員」とはいえ、ずいぶんと軽んじられたものである。それもそのはず、“選考”との名の付くものの、役所のどこかで選ばれた“文化功労者”を承認するだけのこと。250万円の年金がつき、やがて”文化勲章“の候補者にもなる人たちの決め方なのである。メデイアも、文化功労者や文化勲章の受章者は、華々しく報道するが、どんな仕組みで決まるのかは、報道しないことになっているようだ。きょう「官報」に文部科学省人事として発表されたのは10名の委員の氏名のみ。「清水玉青」?、下の名前から、もしかしたら有吉佐和子の娘?報道資料には、肩書も記されているだろうが、私が知るのは、この人くらい。自分でもかなりしつこなと思いながら、委員の肩書をネットで調べ始めると、元大学学長から元野球選手まで、取り揃えていた。いわゆる政府の審議会の常連もいる。しかし、その決め方について、なるほどという記事を見つけた。当時の新聞記事を見過ごしていたらしい。前川喜平元文部科学省事務次官が、日本学術会議の任命問題に関連して、つぎのように語っていたのである。
政権にたてつく人間は排除し気に入った者は重用する。官邸のその姿勢を、私自身、じかに感じたことがある。
文部科学事務次官だった2016年、「文化功労者選考分科会」の名簿を官邸に持っていった。この分科会は文化審議会の下に置かれており、選考する文化功労者のなかから文化勲章受章者が選ばれることもあって、人事について閣議で了解をとる必要があった。 約1週間後、呼びだされて官邸に行くと、杉田和博官房副長官から、10人の委員のうち2人を差し替えるようにと指示された。「政権を批判する発言をメディアでしたことがあった」「こういう人を選んじゃだめだよ。ちゃんと調べてくるように」と言われた。(朝日新聞デジタル「前川喜平元次官が語る官邸人事 不当と違法の分かれ目は」2020年10月28日)
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