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2023年12月31日 (日)

名前はぜったい「いわない」女の児、無事、家に帰れたろうか

  きょう、昼過ぎに、最後の買い物と思って近くのスーパーへ出かける途中、十字路の横断歩道を渡ろうとしたところ、一台の車が止まってくれたが、なんと横断歩道の真ん中に、小さな女の児がひとり立ち止まって、動かない。車を降りてきた男性と、危ないよ、と歩道まで誘導した。見れば、辺りにだれもいない。裸足に紫色の女物のサンダルをつっかけていて、歩きにくそうだった。

 車の方と「おうちはどこ?」と尋ねても、右を指差したり、左を差したりする。二人で「迷子ですね」と。「お名前は?」と尋ねると、小さな声だが「いわない」と答える。車の方が、「近いですから、いま、車を置いてきます、110番しましょう」と、私は女の児と残されて、少し不安になってきた。もう一度名前を聞いてみるが、「いわない」との返事。ケイタイは家に忘れてきてしまったのを後悔した。すると、ご近所のOさんの奥さんと先ほどの男性がやって来て、「弟です」とOさんに紹介され、ほっとしたのだった。Oさんの「いくつ?」には三本の指を差し出す。「うちの孫と同じくらい」という。「おうちにだれがいるの?」には、「じじ」と答えていた。暮れに祖父の家に来たのだろうか。自分の家ではなかったのかもしれない。そう遠くから歩いてきたとは思われない。私は「ママはおうちにいるの?」と聞けば、「いない」と答える。マズイ質問だったかなと。そして、弟さんが110番すると、寒かろうと、自分の上着を女の児に着せていた。

 女の児は、長い袖から手を出そうと、まくり上げようと必死で、泣くでもない、上着の裾が地面につきそうなのに、ジッパーを上げようとまでする。「ふだん、着替えができる子なんですね」と、私は感心していた。「雨でなくてよかった」「夜でなくてよかった」「それにしてもパトカーが遅い」と女の児を囲み、大人3人で、待つこと10分余、警官は2台のバイクでやって来た。110番をした弟さんが、住所から名前、いろいろ質問されて、事情を話し始めたので、申し訳ないが、私は、そこで、失礼した。

 20分は経っていただろう、帰り道にもなんと、同じ場所に、警官二人はまだいたのある。女の児はバイクにまたがって、警官と遊んでいる風であった。「何かわかりましたか」と尋ねると、まだという。防災放送はするのですかと尋ねれば「パトカーを待っているところです」とのこと。思わず「ご苦労さま」と声をかけるのだった。

 なんと気丈な女の児なのだろう。名前は、たしかに最大の個人情報ではある。祖父はじめ家族の方はさぞかし心配されていることだろう。その後、防災放送の尋ね人はなかったので、無事帰ることができたのかもしれない。孫のいない私には、幼い児への対し方を忘れかけていたことを思い知らされた、大みそかの一件だった。お年寄りの行方不明者の防災放送は、よく聞く。せめてケイタイは忘れずに身に着けていよう。

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