「天皇制はない方がよい」3%、そこに留まる一人として
4月29日は、天皇誕生日、いや、みどりの日だった。いや、いまは、なんと「昭和の日」だった。2007年から、みどりの日は5月4日に移動して、「昭和の日」になっていたのだった。そして、もう忘れかけそうな、4月30日には、どんな事情があったのだろう、5年前の、この半端な時期に、平成の明仁天皇が退位し、2019年5月1日に徳仁天皇が即位している。きょうの 朝刊を見ると、天皇家の令和の5年間を振り返る記事が並んでいる。「時代や社会に応じ<象徴>を模索/国民と苦楽を共にする」(東京)「国民の中に広がる活動」(朝日)、「苦難と向き合い 国民と歩み」(毎日)という見出しであった。「国民とともに」といわれてみても、私たち国民にその実感はない。訪問先や被災地でのふれあいは、限定的でもあり、一過性でもある。歌会始や園遊会、文化勲章など国家的な褒章制度などは、国民の栄誉欲と権威付けが伴う活動の場となっているのではないか。
そんなカレンダーを踏まえ、しかも、「安定的な皇位継承の在り方」に関するか各党の見解が出そろった4月28日、共同通信社は「皇室」に関する世論調査結果を発表した。
近年の皇室に関する世論調査には、女性天皇、女系天皇の賛否を問う質問が必ず登場するようになった。上記の世論調査でも、全体で20の質問事項の中で、2問への結果はつぎのようであった。どちらも圧倒的に賛成と出た。
問7女性天皇の賛否:
賛成52%、どちらかといえば賛成38%、 併せて90%
反対3%、 どちらかといえば反対 6%、 併せて 9%
問10女系天皇の賛否:
賛成38%、どちらかといえば賛成46%、 併せて84%
反対 5%、どちらかといえば反対 9%、 併せて14 %
(2024年4月 共同通信社世論調査)
なお、4年前の共同通信社の世論調査結果は以下のようであった。
「女性・女系天皇 「支持」が高く 天皇に「親しみ」58%」東京新聞 2020年4月26日
これは、高齢者にとっては男女平等、若年層にとっては、ジェンダーによる差別なくそうとする考え方がある程度浸透してきたことと女性皇族—美智子さん、雅子さん、愛子さんらの行動とその報道などが反映されていると思う。
しかし、このことは、当ブログでも何度も述べているように、天皇制自体が平等を前提としておらず、男女を問わず皇族たちのごく当たり前の基本的人権が認められていない仕組みなので、女性天皇、女系天皇で皇位をつなげたとしても、その平等・人権に反する状況は何も変わらない。
今回の世論調査で、私が着目したのは、以下の問3であった。
問3あなたは、日本に天皇制があった方がよいと思いますか、ない方がよいと思いますか
あった方がよい: 44%
どちらかといえばあった方がよい:44%
どちらかといえばないほうがよい: 7%
ない方がよい: 3%
無回答: 1%
この種の世論調査で、「天皇制」の存否をストレートに問う質問事項が登場するのは稀である。さらに、その回答は、私にとっては、“どちらかといえば” 想定外なものであった。これほどまでの差があるとは思わなかった。あわせて88%があった方がよい、であり、ない方がよい、10%という低さだったのである。私は、この質問をするならば、その理由も聞いてみたかった。が、別の問15において、即位後の活動について、評価する活動の二択において、以下のような結果だった。
海外訪問や外国賓客のもてなしなど国際親善53%、
訪問先での国民とのふれあい42%、
被災地のお見舞い38%、
憲法の定める国事行為18%
戦没者の慰霊、宮中祭祀が各8%
ここに、あった方がよいとする理由を垣間見ることができるような気がする。国事行為の18%をのぞいては、法的根拠のない、公的行為か、私的行為に過ぎない。平成期の天皇夫妻が、拡大してきた「公的行為」であり、「私的行為」の広報や公務化を、令和期の天皇夫妻も踏襲してそのままに報道するようになった。そうしたことが、問15や問3の回答結果に反映しているのではないかと思う。
「天皇制」はない方がよい3%にとどまって何ができるのか、どちらかといえばない方がいい7%とともに、進む道はあるのか、心細いながら考えていきたい。
「「皇室」世論調査の詳報」(一部) 東京新聞 2020年4月26日
読みにくいのですが、クリックすると拡大します。
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