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2024年10月28日 (月)

ショウほど素敵なものはない?政府が決める文化勲章なのに

 投票日が27日に迫った、10月25日、政府は、文化功労者20人と文化勲章受章者7人を決定、発表した。受章者を誰が選ぶのかといえば、政府なのだ。「選ぶ」の主語は政府なのだが、主語なしで「今年の文化勲章は、・・・〇〇さんら7人、文化功労者には・・・〇〇さんらの20人が選ばれた」と報じたのは朝日新聞である(11月26日朝刊、35頁)。手元の「毎日」は「政府は・・・文化勲章を・・・の7氏に贈ることを決めた」(10月26日朝刊 23頁)と「東京」は、「政府は、・・・〇〇氏ら7人に贈ると決めた」(10月26日朝刊 4頁)とある。選挙報道でざわついていたメディアだが、すでに著名な受章者たちの幾人かのよろこびの声も併せて報道している。ことしは、文化功労者の草笛光子、文化勲章のちばてつやへの注目度が高かったようである。11月3日の文化の日、皇居での授章式後の記念撮影には、緊張した姿が報じられて来た。中には、日常の言動とうらはらに、ひたすらありがたがる受章者もいたりする。

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 私は、これまで、このブログをはじめ、いろいろな場所で話したり書いたりしてきたことなのだが、文化勲章は文化功労者の中から、多くは数年後に受章することが多い。文化功労者や文化勲章のような国家的褒章制度において、受章者がどのように選定されたかを問題にしないで、その受章の結果ばかりが独り歩きすることに危惧を抱いている。というのも、文化功労者を選考にあたって、文科大臣は文化功労者選考分科会に諮問の上、文科大臣が決定することになっている。その選考分科会の委員は文科大臣が学識経験者から任命する。要するに、文科大臣から選考を投げられている選考分科会の委員は、文科大臣任命なのだから、いわば、文科大臣の意向が最重要視されていることになる。

  さらに、驚くことは、文化功労者選考分科会の委員は9月初めに任命され、会議はたった一日しか開かないそうだから、そこで文化功労者と文化勲章の授章者が決まるというのである。文化勲章については、文化功労者選考分科会委員の全員の意見を聞くという手続きが加わるが、その後は、文科大臣の推薦、内閣賞勲局の審査を経て閣議決定される。選考分科会委員に任命された人が、いくら優秀な学識経験者としても、選考はまずムリ筋の話ではないか。

  ということは、文科省サイドから提出された受章者候補者を承認するしかないのではないか。そして、元文科省次官であった前川喜平のつぎのような発言などと考え合わせると、文科大臣の選考分科会委員の任命にすら首相官邸の横やりが入っているというのだから、さもありなんという推測は、現実となって驚きもしたのである。
  つまり、朝日新聞デジタルの記事「前川喜平元次官が語る官邸人事・不当と違法の分かれ目は」(2020年10月28日)によれば、文科大臣が任命するはずの分科会メンバーなのだが、前川さんが文科省次官のとき、文化功労者選考分科会委員10人のリストを杉田和博官房副長官のところは持っていくと、「この2名を外せ、政権批判をメデイアでしていた、こんな人を選んじゃダメ、ちゃんと調べてくるように」と差し替えさせられたという。

  10人の文化功労者選考分科会委員は毎年9月上旬に任命されるが、どういう訳か、官報での氏名公表は10月末日のようである。受章者の決定・報道後にしか、選考分科会委員の氏名が公表されないことは、何を意味するのか。今年の選考分科会委員の氏名は、まだ官報には載っていない。

  そんなふうに、時の政府により、恣意的に、閉鎖的に決まっていく受章者を華々しく報じ、受章者のよろこびの声と晴れがましい姿を報じるメディアの変わらぬ姿勢には、疑問を抱かざるを得ない。

 ショウ(章・賞)ほど素敵なものはない、ということなのか。

 

 

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