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2026年5月13日 (水)

「皇族確保案」の拙劣、「愛子天皇待望論」の陥穽

「皇族確保案」の拙劣

  「皇室典範」の「改正」をめぐって、5月12日、中道から旧宮家出身の男系男子を皇族の養子とする案も容認するという方向性が示されたところで、各党の方針が出そろった。このタイミングで朝日が5月12日、毎日がきょう5月13日の社説で論じ、5月7日には、読売新聞がすでに社説を出している。

  与野党の全体会議では、有識者会議提案の ①の女性皇族の身分保持案に主要政党の大半が賛成し、②養子案には自民、日本維新の会、国民民主、参政、公明、中道などが賛成していることになる。

  朝日新聞はつぎのような表にまとめている。(「〈立法府の総意〉集約焦点 皇族数確保策 各党見解出そろう」朝日新聞 2026年5月12日 ) 

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 上記全国紙三紙のスタンスは以下の通り。

・読売は、5月7日の社説で今国会での典範改正が成立する公算が大きいとし、4月の社説では「皇位継承の安定 女性・女系を排除せず論じよ」(4月16日)と題し、「各党は報告書の2案にとらわれてはならない。今の継承順位は変えないことを前提に、将来の女性・女系天皇も排除せず、皇統の存続を最優先に検討すべき」だとして、あの読売が「女性、女系」に踏み込んだと話題になった。

・朝日は「養子案の容認 皇室への信頼保てるか」(5月12日社説)とし、「女性・女系天皇への道を閉ざすことなく、広く国民が納得できる開かれた議論が求められる。」と結ぶ。

・毎日は、「皇室に男系男子養子案 国民の理解得られるのか」の見出しで「天皇の地位は国民の総意に基づくもので、幅広い合意形成が不可欠だ」とし、「拙速に事を進めるようなことがあってはならない。」と結ぶ。

  今国会での「典範」改正を目指す高市政権のもと、与野党協議が活発化した4月以降、メディアでの記事も多くなった。しかし、議論の対象となっている二案は「皇族数確保」のための方策で、皇位継承の在り方は協議事項にはない。しかも、「有識者」会議が出したと思えないほど、憲法を踏まえない、荒唐無稽な、欠陥の多い二案に翻弄されている形である。

 ①案の女性皇族が結婚後も皇族に残る案では、その配偶者や生まれて来る子どもは皇族になるのか、ならないのか。②案の男系男子養子案にしても、皇籍離脱して80年も経つ宮家の男系男子を辿ること自体、時代錯誤も甚だしく、憲法14条による「性別」「門地」による差別になることも指摘されてきた。だったら、メディアも日本国憲法下の「天皇制」自体の問題にかかる情報と論点を国民に伝えるべきだし、世論調査でもそれを問うべきだろう。

  そして何よりも、日本国憲法の根幹たる民主主義に反する「天皇制」を維持しているが故に、奪われている皇族たちの基本的人権、とくに今回の女性皇族の結婚の自由、該当者?旧宮家の男系男性の結婚の自由を侵害すること、女性皇族へ男子誕生を強制するシステムとなってしまうことをどう考えているのだろうか。国民と皇族の差別、身分制度を前提とする議論を続けていることに、憲法学者の天皇制論と言えば、「憲法の番外地」「憲法自身が認めた例外」と逃げ、もっぱら天皇制護持を確信する皇室に詳しい研究者は別として、研究者の多くはどこか曖昧で、核心には触れない。また、テレビなどで活躍するリベラルと称されるコメンテイターやジャーナリストたちも触れたがらない。というより、番組のテーマとしては扱わないのが常である。

「愛子天皇待望論」の陥穽

 今回の皇室典範改正は、あくまでも「皇族数確保」のための改正であって皇位継承を安定化に直接資するものではないはずである。にもかかわらず、皇室典範改正にからめて週刊誌やネット上では「愛子天皇待望論」が盛り上がっている。冒頭に上げた、全国紙の社説ですら、読売「今の継承順位は変えないことを前提に、将来の女性・女系天皇も排除せず、皇統の存続を最優先に」、朝日「女性・女系天皇への道を閉ざすことなく、広く国民が納得できる開かれた議論」と論じている。日本共産党も、4月2日の記者会見で田村智子委員長は「憲法の下での天皇制度と考えれば、女性天皇の容認を含めて議論すべきだとの考え」を改めて示した(時事ドットコム 4月2日)。小池晃書記長は、4月20日の記者会見で「女性天皇も女系天皇も容認」し、「悠仁親王までの継承をゆるがせにしないとの立場には立たない。憲法に基づく議論を進めるべきだ」と述べたという(産経新聞4月22日)。

  また、週刊誌の最新号を見ると、愛子さんネタが目白押しである。「徹底論争、〈愛子天皇〉じゃダメですか?」(週刊文春2026年5月7・14日合併号)、「20年越しの〈皇室典範〉見直しへ 〈愛子天皇〉大論争の核心」(週刊新潮 5月21日号)、「〈愛子さまか悠仁さまか〉女子皇族まで分裂に雅子さま憂悶」(女性自身5月26日号)、「愛子さま佳子さま 未来は見通せない状況〈皇室典範改正〉は〈憲法違反〉の声」(週刊女性5月26日号)、「愛子さま〈母と生き写し〉女性活躍へ!海外訪問7日間」(女性セブン5月21・28日合併号)と賑やかである。

  全国紙の社説は、今回の皇室典範改正論議で、「女性・女系天皇」も議論されているようかのように読めてしまうような部分があるが、週刊文春、週刊新潮、週刊女性では、「女性天皇、女系天皇」まして「愛子天皇」はまったく今回の議論の対象外であることを明確にしているし、新聞社による世論調査で「女性天皇」の賛否を問うなどは国民をミスリードするものだとの指摘もする(週刊新潮)。

 こうしてみると、政権や権力者に対して、中立を標榜し、忖度をはばからない新聞、テレビなどでは踏み込まないところまで、週刊誌が切り込み、ファクトの提供と論点の提示、自らの主張という、メディア本来の機能を果たしている側面があるように思えたのであった。

 

 

 

 

 

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