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2026年7月 9日 (木)

皇室典範改正の行方~結局、今は何も変わらない

「静謐な環境」って、なに?

 国会の会期が7月17日まで迫る中、6月30日、「皇室典範改正案」が閣議決定した。その原文を見ても一読するにも長く、実に分かりにくい。報道によれば、この閣議決定案には、全体会議での審議がなかった追加条項を盛り込まれたとして、野党が反発し、国会は空転した。なぜか「皇室典範改正案」を最優先とする高市政権は、野党の条件―党首討論、参院予算委員会の集中審議と高市首相の出席などを容れて参院審議を再開するに至った。与野党とも、こと皇室事案になると「静謐な環境」が好きらしい。天皇退位の特例法の時もそうだった。今回、中道、立憲の対応が異なるものの、どうも、賛成多数で成立しる見込みである。 

世論という同調圧力

 「皇室典範改正案」の ① 女性皇族が結婚しても皇族として残る  ② 旧宮家の男系男子を養子にする
という二案とも、今の憲法とは相容れない拙劣な改正案である。いや、現行の皇室典範自体も違憲なのだが。しかし、新聞各紙の社説や世論調査では、さすがに、荒唐無稽で時代錯誤も著しい②案への違和感や疑問を呈する流れが出てきた。非科学的な「万世一系」の疑わしさを指摘する論者もいる。しかし、それとセットで主張されるのが、女系・女性天皇への期待である。たとえば、
 読売新聞は、4月16日に「皇位継承の安定 女性・女系を排除せず論じよ」とし「今の継承順位は変えないことを前提に、将来の女性・女系天皇も排除せず、皇統の存続を最優先に検討すべき」と明言した。7月1日には「皇室典範改正案 「旧宮家」へ皇統が移る恐れも 女性・女系を排さず議論し直せ」、「各紙の社説の多くも懐疑的だ。憲法1条は天皇の地位は「日本国民の総意に基づく」とする。「養子案は国民の総意にかなうだろうか。世論はむしろ、女性・女系天皇を望む声こそ高まっている。その道を閉ざすことなく、広く国民が納得できる議論の場を速やかに設けてもらいたい。」とした。

 朝日新聞は、5月12日に「養子案の容認 皇室への信頼保てるか」と題し、「女性・女系天皇への道を閉ざすことなく、広く国民が納得できる開かれた議論が求められる。」6月9日には「皇族数の確保 養子案には疑問が残る」の見出しで「今後は女性・女系天皇への道を閉ざさず広く国民が納得できる議論の場を速やかに設けてもらいたい」としさらに、6月12日には「皇室典範改正 「総意」の名に値するか」と題し、「世論はむしろ、女性・女系天皇を望む声こそ高まっている。その道を閉ざすことなく、広く国民が納得できる議論の場を速やかに設けてもらいたい」と結ぶ。

 毎日新聞は、6月11日に「安定的な皇位継承 女性・女系排さず議論を」「毎日新聞の世論調査では、女性天皇への賛成は72%を上る。女性・女系天皇を認めるかどうかも含めて検討しなければ、制度面からも国民の理解の面からも、いずれもゆき詰まり兼ねない」と述べ、7月1日には「養子の子に皇位継承権を付与するという男系固執」は、「女系・女性天皇を封じる意図」すると指摘する。どの社説も、自社の世論調査の女系・女性天皇への賛同を踏まえ、議論を加速させたい意向だが、ここにも大きな陥穽がある。

 ①案によれば、女性皇族は結婚後も皇族として残り、従来通り、基本的人権を奪われたままで、法律に基づかないで増やし続けた「公務」「公的行為」の人材要員となるにすぎない。配偶者や子どもとの身分関係が複雑になり、住居や生活費はどうなるのかも不明に近い。かりに女性天皇が実現したとすると、従来、天皇が背負ってきた義務や重圧を女性皇族までに拡大することになる。いずれも、女性皇族の非婚・結婚の自由、子供を持つか持たないかの自由が損なわれる。女性天皇の配偶者になった男性にとっても、子孫を残すという重圧を背負うことになり、基本的人権を認めない人間をふやすことになる。天皇制を憲法の「番外地」としてこの矛盾を放置する憲法学者もいる。新憲法下で天皇は政治的権能を有しないはずが、果たしてきた役割を省みれば、政権との密接な関係は否定できない。外国訪問、戦死者・被災者慰霊、種々のイベントへの参加によって政権の欠落部分を補完する機能を強いられ、利用され続けている現状に着目する必要がある。

 今回の改正「皇室典範」の見直しは30年後をめどにというから、その間に何が起こるか分からない。改正案の無責任さも露呈していることにもなろう。
 この改正案の前提は、現在の皇嗣子から皇嗣子の長男へという皇位継承の順位は”ゆるがせにしない”というので、女系・女性天皇容認を言い立てても、愛子天皇が実現するわけでもない。政権交代ができ、皇室典範を改正して、女性天皇が実現できるようにしたとしても、愛子さんが皇族に留まっているかどうか、結婚していない場合、とどまって結婚し子どもがいない場合、女系を容認しても男女の子どもがいた場合、秋篠宮の長男の処遇はどうなるのか・・・などの課題に直面するだろう。

 女性・女系天皇を容認して、そこまでして「天皇の世襲制」を維持したいというのが世論の大勢と捉えていいものか、私には疑問である。マス・メディアが、愛子さん人気と表面的な「男女平等」志向にすり寄る形で、女性・女系天皇容認の世論を形成してきたのではないかと思うからである。いまは、政府案に反対する事案ではあるが、メディアのミスリードによって憲法の基本理念に反する憲法第一条の存在、象徴天皇制自体の曖昧さ、疑念から国民の目を反らす役目を果たしているのではないかと、思ってしまうのだ。

今すぐできることは

 それでは、いまの私たちがすぐできることはあるのだろうか。はっきり言って、私には、名案は浮かばない。秋篠宮の「皇族も生身の人間」発言に見るように、皇族数減少に対応するには、まずは「活動の規模を縮小するしかない」(2024年11月30日、秋篠宮59歳誕生日記者会見)のではないか。世間での非婚化、晩婚化、少子化は止めようもなく、いわば“お家断絶”も稀でなく、無縁となる墓も続出している。皇族たちの家庭にだって、そんなことは起こり得る。それを無理にでも、つなげようとするのが「改正皇室典範」ではないか。残念ながら、私は見届けることができないが、いましばらく、みずから知り得たファクトをもとに、拙い思いを発信するしかないかな、と。

 

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2026年7月 5日 (日)

来年の歌会始の選者が発表されたが。

 7月1日付の官報で、来年の歌会始の選者が発表された(1738号 5頁)。宮内庁告示7号は、「令和九年歌会始お題「旅」の詠進歌の選者は、七月一日、つぎの者に定められた。」として、5人の氏名(ペンネームも可らしい)だけが並ぶ、そっけないものだ。各新聞の報道では、年齢と肩書を付しているが、新聞によって、その肩書は微妙に異なる。たとえば、「産経新聞」によれば、以下の肩書が付されていた。(以下敬称略)

永田和宏(79)=歌誌「塔」選者、京都大名誉教授
秋山佐和子(79)=短歌結社「玉ゆら」主宰、日本文芸家協会会員
今野寿美(74)=歌誌「りとむ」同人、現代歌人協会会員
栗木京子(71)=歌誌「塔」選者、日本文芸家協会会員
大辻隆弘(65)=現代歌人協会会員、現代歌人集会理事

 「朝日新聞」では、永田が朝日歌壇選者、栗木が読売歌壇選者という肩書が加わるが、今野が「りとむ」の編集人であること、今年まで「りとむ」発行人三枝昂之・編集人今野が夫妻で選者であったこと、これからも続くあろう「塔」の永田と栗木が選者であることを見ても、かなり偏った人選であることはたしかである。来年は三枝に代わり国学院大学の岡野弘彦師系の秋山が入り、5人のうち3人が女性となった。歌壇、短歌を支えてきた女性たちの数をいささかでも反映したことになるのかもしれないが、女性であればよいというわけではない。女性歌人の力を借りて、少しでも歌会始を盛り上げたい意図が見え隠れする。女系、女性天皇によってでも天皇制を維持をしようとする目論見にも通じ、多くのリベラル派と称する人たちにも支持されていることを思うと、暗澹たる思いにかられる。
  2008年の以下のブログで触れた 選者の男女逆転が今回実現したわけだが、その内実が変わるのか、変わらないのかを見届けたい。
節度を失くした歌人たち―夫婦で選者、歌会始の話題づくりか: 内野光子のブログ  

 「詠進歌」と称して公募した短歌作品は、皇族や選者たちの短歌は入選作とともに天皇に奉じられるのである。「伝統」や「文化」の名のもとに身分制度をあらわにしているのが、「歌会始」ではないか。そして、以下の表にみるように、歌会始選者と国家的褒章制度とは密接にリンクしている。あたらしい選者には、今後の「選者」という功績によって、叙勲や”文化的な栄誉”ある褒章が待ち受けているように思う。この叙勲や芸術選奨、文化勲章などの選定経過については、このブログでも触れたことがあり、選考組織は名ばかりで、各省庁、官邸の意向で進行していることがわかるのだが、詳しくは別稿に譲りたい。

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上の表は拡大できますが、以下のPDFでもご覧になれます。
<近年の歌会始選者の国家的褒章受章歴>ダウンロード - e8bf91e5b9b4e381aee6ad8ce4bc9ae5a78be981b8e88085e381aee59bbde5aeb6e79a84e8a492e7aba0e58f97e8b39ee6adb4.pdf

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通りがかりの方に教えていただいた「ポポー」、花も咲いていたようだが、気づかなかった。熟した実はクリームのように美味という。

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