来年の歌会始の選者が発表されたが。
7月1日付の官報で、来年の歌会始の選者が発表された(1738号 5頁)。宮内庁告示7号は、「令和九年歌会始お題「旅」の詠進歌の選者は、七月一日、つぎの者に定められた。」として、5人の氏名(ペンネームも可らしい)だけが並ぶ、そっけないものだ。各新聞の報道では、年齢と肩書を付しているが、新聞によって、その肩書は微妙に異なる。たとえば、「産経新聞」によれば、以下の肩書が付されていた。(以下敬称略)
永田和宏(79)=歌誌「塔」選者、京都大名誉教授
秋山佐和子(79)=短歌結社「玉ゆら」主宰、日本文芸家協会会員
今野寿美(74)=歌誌「りとむ」同人、現代歌人協会会員
栗木京子(71)=歌誌「塔」選者、日本文芸家協会会員
大辻隆弘(65)=現代歌人協会会員、現代歌人集会理事
「朝日新聞」では、永田が朝日歌壇選者、栗木が読売歌壇選者という肩書が加わるが、今野が「りとむ」の編集人であること、今年まで「りとむ」発行人三枝昂之・編集人今野が夫妻で選者であったこと、これからも続くあろう「塔」の永田と栗木が選者であることを見ても、かなり偏った人選であることはたしかである。来年は三枝に代わり国学院大学の岡野弘彦師系の秋山が入り、5人のうち3人が女性となった。歌壇、短歌を支えてきた女性たちの数をいささかでも反映したことになるのかもしれないが、女性であればよいというわけではない。女性歌人の力を借りて、少しでも歌会始を盛り上げたい意図が見え隠れする。女系、女性天皇によってでも天皇制を維持をしようとする目論見にも通じ、多くのリベラル派と称する人たちにも支持されていることを思うと、暗澹たる思いにかられる。
2008年の以下のブログで触れた 選者の男女逆転が今回実現したわけだが、その内実が変わるのか、変わらないのかを見届けたい。
節度を失くした歌人たち―夫婦で選者、歌会始の話題づくりか: 内野光子のブログ
「詠進歌」と称して公募した短歌作品は、皇族や選者たちの短歌は入選作とともに天皇に奉じられるのである。「伝統」や「文化」の名のもとに身分制度をあらわにしているのが、「歌会始」ではないか。そして、以下の表にみるように、歌会始選者と国家的褒章制度とは密接にリンクしている。あたらしい選者には、今後の「選者」という功績によって、叙勲や”文化的な栄誉”ある褒章が待ち受けているように思う。この叙勲や芸術選奨、文化勲章などの選定経過については、このブログでも触れたことがあり、選考組織は名ばかりで、各省庁、官邸の意向で進行していることがわかるのだが、詳しくは別稿に譲りたい。
上の表は拡大できますが、以下のPDFでもご覧になれます。
<近年の歌会始選者の国家的褒章受章歴>ダウンロード - e8bf91e5b9b4e381aee6ad8ce4bc9ae5a78be981b8e88085e381aee59bbde5aeb6e79a84e8a492e7aba0e58f97e8b39ee6adb4.pdf

通りがかりの方に教えていただいた「ポポー」、花も咲いていたようだが、気づかなかった。熟した実はクリームのように美味という。
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