2024年3月 5日 (火)

消防団はどうなる、どうする(2)各地の消防団で何が起きているのか

 佐倉市の消防団の何人かが、新年会かの帰りに酔っ払い運転で事故を起こしたという、なんとも“しまらない”一件を思い出す。だいぶ古い話になるので、ネットで調べても分からずじまいだったが。

 また、近所の中学校の校庭から、夏の夜遅く、何やらの掛け声が聞こえてくるので、不思議に思ったものである。後で、消防団の操法訓練と知った。消防操法大会というものがあってそれに向けての訓練で、たまたま帰宅が遅くなって中学校を通り抜けたとき、太いホースを走って巻いている姿に出会ったこともある。ご苦労さまと思う反面、消防団にまつわる問題も浮上してくる。

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2023年7月30日、毎日新聞より

 見落としはあると思うが、この問題について熱心に取材を続けているのが毎日新聞ではないか。

手元のスクラップを繰ってみると

  • 記者の目(岡山支局 高橋祐貴)・私物化される「幽霊消防団員」の報酬 2019年1月11日
  • 消防「幽霊団員」9000人 昨年度活動ないのに報酬/報酬「中抜き」4割超 (本誌調査)旅行や接待費に流用 2020年12月28日
  • 消防団報酬不正「野放し」 新たな情報次々 不徹底な自治体調査・20人の通帳印鑑保管・団員に振り替え指示 2022年7月19日
  • なるほドリワイド・消防団の課題 2023年7月30日
  • 外国人消防団員 活動どこまで 2024年2月2日

 3番目までは高橋祐貴記者の記名がある。見出しを見ても分かるように、団員には自治体から年間報酬と出動による報酬とが各消防団に支払われている。これらをめぐって、団員数や出動回数を水増ししたり、団員への報酬を消防団が一括して受領し、それを飲み代や旅行代に流用する例や団員に渡った報酬の一部を再徴収して消防団としてプールしたりする各地の実態などが報告されている。
 こうした実態とマイナンバー制度の導入などに伴い、政府は、報酬の団員個人へ振り込みにするよう進めているが、徹底していない。

 人口17万、世帯7万9000の佐倉市の場合、以下2023年度(令和5年度)予算の数字である。
・一般会計:518億、消防費:29億2000万円
・消防費のうち常備消防(消防署関係):26億9000万円、非常備消防(消防団関係):2億4000万、消防団員701人(定員  805人)
・消防団員報酬(年額):団長156000円~一般団員36500円計2942万円
・災害出動(1回)4時間以上8000円、4時間未満4000円、他の出動1500円 計2538万円
・交付金(年額)本部54000円、分団45000円×7、部54000×52 (消防団は地区わりで、7分団、52部より構成されている)計380万円

令和5年度消防団の概要
https://www.city.sakura.lg.jp/material/files/group/48/R5syouboudanngaiyou.pdf

 自治体によって、数字は異なるのだが、佐倉市の場合は、消防費全体の約一割強が「非常備消防」に充てられている。かつては、多くの市町村で、地域の自営業に近い人たちが仕事の傍ら、消防団業務に従事していたが、現在は会社員など被雇用者が大部分であって、十分機能しなくなっている。そこで、無理やり入団させたり、団員数を水増ししたり、自治会から後援会会費を徴収したりして、飲食代などの慰労費にあてたりする不正会計、地域の有力者による旧態然とした運営が上記の報道にも垣間見ることができる。ちなみに、佐倉市は、昨年度より、団員の報酬は団員個人の口座に振り込むことにしたという。

 そもそも、消防団は、地域の事情に詳しい団員が、防火水槽や消火栓の確保、交通規制、住民誘導などが円滑にできることがメリットとされてきたが、現在は、昼間は地域を離れている被雇用者が増えるにしたがって、活動が難しくなっている。また、消防団員たちが、消防士たちの業務や活動を補完することによって、常備消防費を抑制してきたという。しかし、ここにも、近年の防災、災害救援における行政の対応を見てとれるようだ。

 最近の災害救助、支援において、消防士も足りず、消防団員も被災者であって活動が困難な状況を目の当たりにして、ボランティア的な消防団に頼るのではなく、自衛隊の災害出動を拡大活発にすることではないかと思うようになった。
「専守防衛」のためなどという絵空事に防衛力の拡充、防衛費に莫大な予算を投入するのではなく、目の前の国民の命と暮らしを守るための自衛隊、自衛隊というより災害救援のための訓練を重ね、充分な機材をつかいこなせる隊員を育てることの方が先決ではないか。

 殺傷能力のある次期戦闘機の共同開発に兆の単位の予算が投入されるという。被災地の復旧・復興のためにと称して、新年度予算の衆院採決を強行した政府だが、補正予算でも予備費でも対応できるはずである。裏金を全額拠出するだけでも、できることはいっぱいあるはずなのに・・・。

 

 

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2024年3月 4日 (月)

消防団はどうなる、どうする(1)消防団への「お礼」って

 少子高齢化社会に加えて、コミュニティの衰退が進むなかで、近年、消防団の在り方が問題になることが多い。
 一つは、消防団員の減少と高齢化が進み、後継者の確保が困難になっているが、ざっくり言えば1950年前後200万人いた消防団員が1980年代には100万に、2022年4月1日現在、78万3578人までに激減している。消防団の担い手の確保が困難なっていることである。また近年は、消防団の任務自体も消防活動よりも災害出動の方に重点が移りつつあることである。

 私が消防団に関心を持ったのは、7・8年前に、順番に回って来る自治会の班長になって、自治会の決算書をよくよく見てみると、いつのまにか、消防団協賛金2万円という支出が続いているのを知って驚いたからである。
 というのも、もう四半世紀も前になるが、私たちの自治会では、当たり前のように、日赤の社資、社協会員、共同募金等にかかる「寄付金」を、班長がそれぞれ500円の領収書をもって集金していた。いずれへの拠出金は、寄付であって、強制的に集めるものではなく、自由じゃないのか、と疑問視する会員も多かったのだろう。私を含め主婦たちが、自治会の役員10人の半分ほどを占めることになって、集金をやめて、自由意志によるものとする提案をしたところ、班長の負担軽減にもなるというので、班長会ではすんなり承認された。ただ、自由な寄付金をどう集めるかが問題となったが、A4の茶封筒に小さめの切れ目を入れて、そこへお金を入れてもらい、手渡しで、回してもらうことになった。二十数年たった現在もその方法は踏襲されている。
 なのに、消防団協賛金という名目で、支出されていたのである。2017年になるが、佐倉市の自治推進課と危機管理課と何回か電話や文書でやり取りしたことは、以下のブログでも書いている。

防団・社協・日赤などへの寄付を強制されていませんか~自治会の自治とは(1) »
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/04/post-8f66.html

消防団・社協・日赤などへの寄付を強制されていませんか~自治会の自治とは(2) »
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/04/post-7804.html

 そこでわかったことは、消防団員は、非常勤地方公務員なので、消防団は寄付金を求めてはいけないが、協賛金、後援会費などは、自治会と消防団との間のことであり、佐倉市は関知しないとの一点張り。また、自治会支出の消防団協賛金は、地域の商店会・自治会連合体共催の夏祭りの警備のための謝礼とわかった。
 そこで、危機管理課に、祭りのときに制服を着て警備にあたっている以上、地方公務員として謝礼を受け取っているのは寄付にあたりませんか、の質問には、地域住民による自治会が、警備等のお礼の「お気持ち」であって寄付とは言えないとの説明だった。 
 この見解は、今でも変わらず、以下の「自治会等役員の手引き」では、「労をねぎらうために支援をされているもの」「消防団を支援しようという地域の厚意による任意のもの」との説明がされている。

(Q)消防団の後援会費というのはどういうものなのですか
(A)後援会費につきましては、地域の方が、同じ地域の中で、仕事を持ちながら消防団活動に従事されている方々の労をね     ぎらうために支援をされているものと考えます。

(Q)消防団の後援会費は絶対に支払わなければならないのですか
(A)あくまでも消防団活動を支援しようという地域の厚意による任意のもので強制・義務的なものではありません。 また、消防団は市内の全地区を管轄しており、後援会費支払いの有無に関わらず、火災発生時には、必ず出動いたします。

<佐倉市の消防体制>令和5年度自治会等役員の手引き(自治会活動Q&)
https://www.city.sakura.lg.jp/material/files/group/16/yakuintebiki.pdf 
42-43頁

 佐倉市の見解では、地方公務員はその業務について、地域住民から「労をねぎらうため」「厚意による任意」の金銭を受け取ってもなんら問題もない、ということになる。
 一方で、以下の「自治会等問題解決の手引き」では、「募金を自治会費にあらかじめ上乗せして集めること」について「募金の一律収集は注意が必要です」の見出しで「募金を自治会費に上乗せして集める場合は注意が必要です。募金を自治会費に上乗せして強制的に徴収するとした決議は無効であるとした裁判例があります。」と注意を促している。この文言は、令和3年度の手引きには「自治会費からの寄付金や募金等を出すことは危険です」と言って裁判例の説明が続いていた。「危険」から「注意」への変更は何を意味するのか。私には、寄付金等の一律徴収の違法性からの一歩後退にしか思えなかった。

 いま、私にとって、自治会は遠い存在になってはいるが、消防団協賛金、夏祭り参加費、防犯活動をしているNPO法人の会費が自治会財政からの一括納入になっている件ついて、会員の自由意思にゆだねるべきもので、こうした種類の募金・寄付は拡大する危惧があるので見直しをと、何回か自治会執行部に要望書を提出してはいる。しかし、なしのつぶてだったり、近隣自治会、地域住民との関係上必要との回答だったりしている。

皆さんの自治会では、どうなっていますか。

<募金の収集で悩んだら>自治会等問題解決の手引き(事例方式による問題解決の参考)
https://www.city.sakura.lg.jp/material/files/group/16/tebiki_mondai_2022.pdf  28頁

 その裁判例というのは、自治会決議による募金及び寄付金の徴収は「会員の生活上不可欠な存在である地縁団体により、会員の意思、決定とは関係なく一律に、事実上の強制をもってなされるものであり、その強制は社会的に許容される限度を超えるものというべきである。したがって、このような内容を有する本件決議は、被控訴人の会員の思想、信条の自由を侵害するものであって、公序良俗に反し無効というべきである。」(大阪高裁平成 19 年 8 月 24 日、最高裁上告棄却)

  さらに、最近は、消防団内部の運営・会計における不正、脱法が問題になっている。(続く)

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きのう、買い物帰りに、一本違う道を抜けようとすると、広い庭のお宅の門近くの樹にハシゴをかけてを剪定しているのに出会った。見上げると黄色い花をいっぱいつけていた。「立派ですね、なんの木ですか」と尋ねると「ミモザ」という。ミモザってこんな大きな木になるのか、とびっくりしてしまった。灌木のイメージが強かったのだが。道に落ちた枝を拾って「いい香りもしますね」「お持ちになりますか、どうぞ」ということで一枝いただいた。3月8日は国際女性デー、ミモザの日だそうだ。

 

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2022年6月19日 (日)

今、「自治会と寄付金」はどうなっているのか~日赤、社協、消防団、地域の祭り・・・、佐倉市は?!

 定着しつつあった「寄付は個人の自由」

 昨年度、十数年ぶりで、地域の自治会の班長の役が回ってきた。コロナ禍のため、活動は極端に縮小し、月一回の班長会の参加とそのときに手渡される会報と行政からの配布や回覧物を班の人たちに届けるのが仕事だった。
 その中には、日本赤十字社、市の社会福祉協議会への寄付へのお願いのチラシと当自治会が用意した集金袋もある。当ブログでも、相当しつこく?自治会が会費以外に、他団体への寄付を募るのは違法だと言い続けてきたし、もう20年前にもなろうか、私が自治会長を務めていたとき、役員会での協議の末、班長の戸別訪問による一律500円会費(日赤の場合は「社資」)の集金を廃し、自治会員の自由意思による寄付ということで、集金袋の回覧方式に変更し、定着しつつあった。
 私たちの自治会では、集金袋を回す際に、集金袋には、寄付は強制はでなく自由意思によるもので、会費(社資)として一口500円以上収める者は小袋に住所氏名を記して入れることになり、領収書は後で発行、届けるという仕組みとなって久しい。何回か当ブログでも紹介したが、その上、近年には、自治会長名による「補足説明」が集金袋といっしょに回覧されるようになり、寄付は自由意思によるとの念押しもされて、「進化」してきたなと思っていた。私としては、さらに自治会が「募金」に協力すること自体、止めにして欲しいと願うばかりなのだが。
 さらに、いつからか自治会が拠出するようになった「消防団協力金」、また、地域のNPO法人となったボランティア団体へ団体会員として納めている会費、地域の商店会などによる広域の祭りへの協力金が自治会財政から支出されていることも気になっている。これまでも、消防団員が特別地方公務員であることからその違法性が問われ、あとの二者についても、会員の意思にかかわらない自治会としての支出は、適切ではないとする意見書や要望書を佐倉市や自治会にも提出してきたが、改まる気配はない。

 先日、佐倉市が、毎年、年度初めに、市内の自治会長、町内会長・役員を集めて実施する説明会に配布する「自治会等役員の手引き」を、久しぶりにホームぺージで確認したところ、「手引き」の曖昧な文言は、相変わらずではあった。ところが、これはいつからホームページに載せるようになったのか不明だが、問答式の「自治会等問題解決の手引き」というものが掲載されていた。「令和3年4月改訂」版に「募金の収集で悩んだら・・・」①という頁に行き当たった。拡大して読んで欲しい。

朱文字で、コピーしてみると・・・。
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問 募金の収集で悩んだら・・・
事例 (前略) A自治会長は、募金を自治会費にあらかじめ上乗せして集めることを考え、総会にかけることとした。
一つの解答案
1.募金の一律収集は危険
 自治会費から寄付金や募金等を出すことは危険です。寄付金や募金は、本来、個人の自由な意思のもとに行われるものです。一方、自治会費は、会員に対して金額の差が生じる場合があっても会員であることを理由に一律に課されるものです。特に事実上自治会が抜けられない等の状態にある場合には、思想・信条の自由を侵害する可能性が高まります。この様な募金の収取を定める総会決議は無効となる可能性が高いです。

裁判例としては以下のものがあります(略)

2.会費からの募金への振り替えも危険
 上記の裁判例の趣旨は、一律徴収というやり方の問題ではありません。また、自治会からの制裁的な対応があることを問題にしたものでもありません。ポイントは会員の意思に反するような方法で募金を集めてはいけないということです。したがって、会員の同意もなく自治会費の一部を募金へ流用してしまうようなことも危険です。
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 上記の文書①「1.募金の一律収集は危険」の後略部分の「裁判例」は、2008年8月31日最高裁決定により上告棄却となったので、大阪高裁2007年8月24日確定した判決の要旨である。判決文というのは、いつ読んでも、何回読んでも、意味がとりにくいし、判決独特の言い回しがあるので、まさに要注意なのである。とくに、佐倉市が要約した上記下線部分「一方、自治会費は、会員に対して金額の差が生じる場合があっても会員であることを理由に一律に課されるものです。」などは、どういう状況を指しているのかわかりにくい。しかし、見出しは「募金の一律収集は危険」と警告しているのである。
 また、「2.会費からの募金への振り替えも危険」の下線部分以降の「ポイント」部分は明快だが、前段は、「一律徴収も可」、「自治会の制裁的な対応も可」とも読めないか。しかしここでも、会員の意思に反する方法での募金集め、「自治会費の募金への流用が危険」であることを警告していたのである。これまでの、「手引き」などでの曖昧表現や文言に比べると、ともかく「募金の一律徴収」と「自治会費の募金への流用」が自治会としては危険なことを明言するようになったとの感慨もある。

 佐倉市は、なぜ後退したのか

 ところで、この記事を書くにあたって、もう一度、市のホームページににアクセスすると、6月1日付で、「自治会等役員の手引き」の令和4年度版と「自治会等問題解決の手引き」が掲載されていた。あらためて、両者の必要個所を確認してみると、前者の「手引き」の内容は前年度とほとんど変更はなかった。後者の「問題解決の手引き」の表紙には「令和3年4月改訂」と記されていたので、これも昨年度と変わりはないだろうが、念のため、同じ28頁の「募金の収集で悩んだら・・・」②を見ると、設問も変わりがないまま、下記のように変更されていたのである。

 裁判例はまったく同じながら、その前後を拡大して読み比べて欲しい。
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2022

一つの解答案
〇募金の一律収集は注意が必要です
募金を自治会費に上乗せして集める場合は注意が必要です。募金は自治会費に上乗せして強制的に徴収するとした決議は無効であるとした裁判例があります。

裁判例としては以下のものがあります。(略)

〇自治会内で募金について様々な意見が出た場合
募金は任意であり、強制力を伴わないものです。会員から募金について様々な意見が出た場合は、総会や役員会等で十分話し合ってください。
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 最初に、ホームページで閲覧した日は、何日だったのだろう。5月下旬だったようにも思う。「問題解決の手引き」の方は「令和3年4月改訂」と銘打って、何の変更もないような体裁ながら、少なくとも、28頁に限っては、重大な改変がなされていたのである。昨年度の「警告」は何であったのかの思いが強い。「警告」は、いつの間にか?実にどうともとれる短い文章に変更されていた。「自治会と寄付金」の佐倉市のスタンスは確実に後退したのである。昨年度分も、一昨年度分も、過去のものはホームページ上では確かめることができない。これって、もしかっしたら、公文書改ざん?!

 一律に集めて欲しい、上乗せして集めて欲しい募金団体からのクレームでもついたのか、そうした団体に関係のある会員のいる自治会やいささかでも手間が省けると考えた自治会役員たちから抗議があったのか。いや、行政内部で異議が出たのか・・・。

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上記は、拙稿「私の視点/自治会と寄付金~一律集金に異議を唱ええよう」『朝日新聞』2014年3月17日。2016年には、TBS『白熱ライフビビット』の「自治会特集」コーナーに出演?したり、『朝日新聞』の「自治会は、今」シリーズの取材を受けたりしました。

なお、当ブログの関連記事の主なものをまとめてみました。その他の関連記事は、ブログのカテゴリー「寄付・募金」の検索で見ることができます。

自治会費からの寄付・募金は無効」の判決を読んで―自治会費の上乗せ徴収・自治会強制加入はやっぱりおかしい(2007年8月31日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2007/08/post_6d09.html

赤い羽根共同募金の行方~使い道を知らずに納めていませんか1~3(2009年12月7日、9日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-2f90.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-dd38.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-8c19.html

自治会の募金・寄付の集金の問題点~やっぱりおかしい、全社協や共同募金会の考え方(2010年11月8日)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2010/11/post-1838.html

消防団・社協・日赤などへの寄付を強制されていませんか~自治会の自治とは(1)(2)(2017年4月9日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/04/post-8f66.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/04/post-7804.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2010/11/post-1838.html

赤い羽根共同募金」の使い道、ふたたび(2019年10月2日)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/cat20187440/index.html

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2019年10月 2日 (水)

10月1日、「赤い羽根共同募金」の使い道、ふたたび

 当ブログをおたずねくださりありがとうございます。昨日10月1日から、赤い羽根共同募金運動が始まりました。共同募金って何?という関心を持つ方や自治会や町内会で、募金集めをする羽目になった方、募金を迫られた住民の方々からのアクセスが重なったのだと思いますが、いつになく、にぎわって?います。
  なかでも、10年ほど前の「赤い羽根共同募金の行方~使い道を知らずに納めていませんか1~3」へのアクセスが多かったのです。関心のある方はご参照ください。最近は、やや遠ざかっているテーマですが、自治会や町内会へ要請される種々の寄付が、会員への強制になっていないかについて書いた記事などへのアクセスも多くなっています。

*赤い羽根共同募金の行方~使い道を知らずに納めていませんか1~3
(2009年12月7日、9日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-2f90.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-dd38.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-8c19.html

 基本的には、記事を書いた当時の状況は、現在と大きく変わることはありません。私の住む佐倉市の私が属している自治会では、これまでも何度か紹介しているのですが、社会福祉協議会会費、日本赤十字社社資、いくつかの募金については、寄付をするか否かの自由、いくら寄付するかの金額の自由をとりあえず確保するということで、自治会の班単位で、手渡しの募金袋を回し、定着しかけています。寄付というならば、私は、個人の自由意思によることが基本と考えていますので、自治会・町内会への寄付依頼自体がなされてはならないものと考えています。自治会の中途半端な対応には不満もあるのですが、脱会などは考えず、総会などの機会に、「寄付は個人の自由」の観点から意見を言い続けていきたいと思っています。ご参考までに、9月下旬に我が家に回ってきた「募金袋」です。

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 ちなみに、久しぶりに、中央共同募金会のHPを訪ねてみました。敗戦直後の1947年から始まった共同募金ですが、つぎのようなグラフがありました。余分のことながら、この間まで、中央共同募金会の会長を務めていたはずの高校同期の元参議院議長が、「顧問」になっていました。天下り?名誉職?なのかなあ。

*中央共同募金会統計データ
https://www.akaihane.or.jp/bokin/history/josei-data/

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敗戦直後の混乱期に発足してから、2017年には、70年になった。阪神淡路大震災までは、ある程度着実に募金総額は伸びているが、その1995年の266億円をピークに、減少の一途をたどり、2017年には179億円となった。その間、2011年の東日本大震災ほか、数々の事故や災害に見舞われたが、増えることはなかった。「共同募金」という寄付ではなくて、特定した災害の義援金などの形で、目的の明確な、かつ自発的な様々な募金活動やボランテイア活動の方が定着しつつあるのではないか。

 千葉県共同募金会のHPでは、自治会では、すでに回覧された2019(令和元)年度の募金のお願いとお礼のパンフが、まだ掲載されていない。前年度のパンフのままで、更新されていないことがわかった。といっても、今年度の手元のパンフと比べてみると、変わっているのは、「募金の使い道」の円グラフの数字が異なるだけで、目標額も二年連続して7億円と同額で、さらに、パンフの文章が一字一句まるで同じで、前年度のコピペだろう。熱意も誠意も感じられない仕事ぶりとみてしまう。

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自治会からの回覧パンフから千葉県共同募金会のHPには、まだアップされていない!

 千葉県共同募金会佐倉市支会のHPはどうでしょうか。独自のHPは持っておらず、佐倉市社会福祉協議会が支会の窓口となっています。佐倉市の社協は、民間の社会福祉法人ですが、市役所内に設置されています。この自治体との関係にも、社会福祉行政のゆがみのひとつがあるように思います。

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10月1日新聞折り込み配布の『社協さくら』の1面が、「赤い羽根共同募金」の広報であった。

<参考資料>

*(千葉県)共同募金概要

https://akaihane-chiba.jp/publics/index/3/

*はねっと佐倉市(共同募金の使い道)

https://hanett.akaihane.or.jp/hanett/pub/homeTown?data.jisCd=12212

 

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2019年5月25日 (土)

自治会と寄付・募金について、やはりおかしくないですか(3)日赤と皇室の関係も改めて考えたい(続)

 日本赤十字社には、年間にして、どのくらいの社資が集まっているのだろうか。平成29年度(2017年度)で日赤本社、千葉県支部、佐倉市地区の単位で調べてみると・・・。

 いずれも決算が出ている平成29年度の数字である。佐倉市地区に関しての歳出歳入などの詳細な数字は、公開されていないことがわかった。

・佐倉市地区では臨時職員を一人置いて、社会福祉課地域福祉班職員がその事務を行っている。なぜ、地方公務員が日赤の業務を行わなければならないのかも大いなる疑問である。佐倉市で集めた社資や寄付金はすべて県支部に送り、県は、毎年、全体の11%ほどを市町村に還元していることがわかった。かつては2200万以上の社資や寄付金が集まっていたが、いまは、1700万円台を推移しているようだ。人口減や自治会組織率が低迷していることも大きく影響しているだろう。

・千葉県支部では、歳入の77~78%が社資となる。前述のように歳出の11%は地元還元、13%程度が日赤本社に収められている。いわゆる運営費は、管理業務、各事業共通管理運営費などを併せてみると1億5000万円前後、歳出総額の20%程度を占める。

・一方、日赤本社では、一般会計歳入の三分の二が社資である。これが、年々確実に減少しているので、広報に努めるとしているが、足元の、地元での社資の集め方に、「自由意思」を標榜しながら、「強制」が伴っている現実を直視し、改革しなければならないはずだ。一般会計歳出を見ると、人件費・事務費などの科目では出てこない。各事業の中に組み入れているのかはわからない。総務管理費45億と、資産管理費12億などを合わせると運営費ということになるのだろうか、20%前後になることがわかった。なお、病院、血液、福祉事業は独立の特別会計とし、退職給与資金特別会計では、平成29年度は288億の積立金、264億の交付金、基金残高は465億を超えていた。

 災害への義援金は、運営・事務費などは差し引かないということであった。団体や個人からの義援金の受け皿になっているのが日赤だといえる。そもそも、戦場で、敵・味方なく負傷者の救護にあたった「博愛」精神を社是とする、1952年に厚生省の認可法人となった民間団体である。現代にあっては、政府を、国を、ひたすら「補完」するのではなく、本来の寄付文化を育て、根付かせてほしいと、願うばかりである。さらに、皇族たちの名誉職は必要なのだろうか。しかも「公務」というではないか。

日本赤十字社HPより作成

一般会計歳入決算のあらまし(平成29年度事業報告及び歳入歳出決算概要・一般会計)

・歳入総額  312億円(←平成28年度351億円)

 社資収入  209億円(←平成28年度228億円)

日本赤十字社千葉県支部HPより作成

千葉県支部の事業・活動(平成29年度事業報告書)

・歳入総額  763,166,654円(←平成28年度783,331,516円)

 社資総額  586,181,949円(←平成28年度613,994,940円)

佐倉市のHPより

平成29年度赤十字事業資金(社資)募集実績報告

・社資総額   17,531,766円 (←平成28年度17,864,541円)

 一般        16,913,966円 (←平成28年度17,249,341円)

 法人          617,800円 (←平成28年度   615,200円)

 皆さまからお預かりした赤十字活動資金(社資)につきましては、全額を日本赤十字社千葉県支部へ送金を行いました。

<問い合わせ>
 日本赤十字社千葉県支部 電話:043-241-7531
 日本赤十字社千葉県支部佐倉市地区 電話:043-484-6135
 (佐倉市福祉部社会福祉課地域福祉班内)

 

 

 

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2019年5月23日 (木)

自治会と寄付・募金について、やはりおかしくないですか(2)日赤と皇室との関係も改めて考えたい

 昨日5月22日、明治神宮会館で開かれた全国赤十字大会に出席した皇后は「皇后雅子さま初の単独公務」などの見出しで報じられた。皇后は、日本赤十字社の名誉総裁に位置付けられている。日本赤十字社は、その前身「博愛社」を経て、発足したのが1887年なので、名誉総裁は皇后五代により引き継がれていることになる。さらに女性皇族たちが、役職に就き、今回の報道写真にも、何人かの女性皇族の姿が見られた。また、日赤の現在の赤十字社社長は、2005年から近衛忠煇(旧近衛公爵家出身、妻は三笠宮家長女)が就き、1996年からは宮内庁長官だった藤森昭一が務めていたことからも、皇室との関係は深められている。

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 その日赤から、まもなく、私たち自治会員宅に「赤十字活動資金(社資)へのご協力のお願い」という文書が回覧されるはずだ。前記事の社協会費の場合と同じように、当自治会の「補足説明文書」が回覧されるだろうか。この日赤の「社資への協力」も、私たちの自治会は、社協会費、赤い羽根共同募金と同様の扱いで、手渡し回覧袋での集金が行われ、自由意思が維持されている。

 千葉県、佐倉市において、大方の自治会は、強制徴収や自治会会計からの一括納入や自治会費への上乗せによる徴収が実施されている。県の日赤支部や佐倉市地区からの協力依頼の回覧文書のどこかには、必ず協力は「強制ではなく個人の自由意思による」と申し訳のように記されていて、一方では「年500円を目安として」「年に500円以上を目安にして」などとも書かれている。さらに、日本赤十字社のHPには、<よくあるご質問>として次のような質疑を掲載する。

会費の募集に、なぜ町内会の人などが来るのですか? 

赤十字の活動は、地域福祉やボランティア活動など地域に根ざした活動を行っており、また、災害が発生すると、自治体や地域住民の方々と協力して救護活動を展開するなど、赤十字の活動は地域と密接なかかわりを有しています。

こうした活動を支えていただくため、地域の皆さまには、会費へのご協力をお願いしているのですが、その際、赤十字ボランティアが直接お宅を訪問しお願いに伺うほか、それが困難な場合には、自治会・町内会の方々にご協力をお願いする場合があります。

  回答の前段は、建前で、本来、赤十字のボランティアがなすべきことを、自治会・町内会に丸投げをしていることを、自ら宣言し、それを自治体が公認しているのが実態である。その町内会や自治会が強制や自治会費への上乗せなどで徴収していることについては、当ブログでも何回も触れているように、最高裁の決定で違憲とされているにもかかわらず、町内会・自治会の総会決議などで、決定した方法ならば違法ではないという見解を表明していることへの異議申し立てには、どの政党も、どの自治体も、どのメディアも深くかかわろうとしない。「福祉」や「皇室」が絡んでいることをもって、いわばタブー視しているかのようである。

 この天皇代替わりの、異様なほど狂騒のなかでは、皇室情報は選別され、皇室批判が葬られていくことに気づく必要があるのだろう。

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昨年、各戸に配布された「日本赤十字社千葉県支部」のチラシ。上段矢印の箇所には「一人ひとりの自由意思で・・・」、下段の箇所には「年500円以上を目安として…」の文言が見える。

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日本赤十字社佐倉市支会のチラシ。矢印の箇所には「強制ではなく、個人の自由な意思、判断にもとづく・・・」、「年500円以上を目安として・・・」とあった。

 

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自治会と寄付・募金について、やはりおかしくないですか(1)社協会費の徴収、「自由」定着への歩み

 年度が替わって4月に入ると、私のブログの自治会と各種「募金」に絡む記事へのアクセスが激増?!する。新しく自治会役員になったり、班長になったりして、多分、募金徴収の仕事がわが身に降りかかってきて、疑問を持つ人が多くなるからではないかとも考えられる。私たちの自治会でも、かつては、役員や班長になって最初の仕事というのが、自治会費の徴収と5月の社協への募金500円の徴収であった。

当ブログでも、何回か触れている、自治会と寄付・募金の問題は、新聞紙上などでもよく記事にもなり、テレビのバラエティ番組の話題になることもあった。各地の自治会・町内会での強制的な寄付集めの実態やそうしたことへの疑問や改革の取り組みが紹介されることもあるのだが、全国的な動きには連動しないのが現実である。

私たちの自治会では、もう20年も前のことになるが、あることがきっかけになって、600世帯規模の10人の役員のうち6・7人が女性であった年が続いた。私もその中の一人だったのだが、社会福祉協議会が「会費」、日本赤十字社が「社資」と称して、500円を強制的に徴収するのっておかしくない?!という声が、役員からも班長からも飛び出した。私も、寄付集めを請負うのは自治会本来の仕事ではないという思いから、とりあえず、「強制」だけはやめて、社協の会員になる、日赤の社資に協力する、共同募金をするのは、あくまでも「自由」であるべきではないかと提案して、運営協議会と呼んでいる班長会の大多数の賛成で決定した。「強制」とならないためにと考えられたのは、B5の茶封筒の右肩の切れ目するから、会員・社資・寄付の希望者は、氏名を記入の上、500円を入れた小袋を、投入方法をとった。あとで、班長さんが、会員証や領収書を届けるという方式であった。封筒には、現金が入っているので、用心のため、郵便受けではなく、必ず手渡しで、ということにもなった。当初は「この町内は、なんと福祉に冷たいのか」などの声も聞かれたが、この20年間で定着した。ときには、社協や日赤の支部の人が、役員会に説得に来たこともあったという。年度初めには、市の自治人権課主催の自治会・町内会長を集めた地区代表者会議が開かれ、相変わらず、社協や日赤の支部スタッフによる協力要請の時間が設けられている。自治体が、こうした民間団体の寄付集めに全面的に協力していること自体も問題なのだが。

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私たちの自治会の方式は、むしろまれで、ほとんどの自治会は、ほぼ強制的に一定額を徴収しているか、それが面倒ということで、自治会会計から、世帯分の会費や社資、募金額をまとめて拠出しているところもかなり多いというのが現況である。

 ところが、昨日回ってきた、その手渡しの集金袋には会長名で「社会福祉協議会(会費募集)に関する補足説明」、という回覧文書が付いてきた。そこには、以下の文章とともに、「社会福祉法第109条」にもとづく、地域福祉の推進役を担う民間法人であることが付記されていた。

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 「まず、当自治会としましては、社協の会費募集に際し、お手伝いはしますが、自治会員に社協会費を強制するものではございません。あくまで、社協の活動趣旨にご賛同いただけた方のみ会費を納入頂き、当自治会はその際に回覧ネットワークを提供するのみとの姿勢です。くれぐれも誤解の無き様、よろしくお願いします」

  前述のように、私は、個人的には、本来、自治会が民間団体への寄付や民間団体の募金を請け負うべきではなく、協力する必要もないと思っているものの、現況にあっては、とりあえず、上記のように、「会費の強制」をきっぱり否定し、確認する文書を回覧に付したことは、至極まっとうなことだと思ったのだった。

 全国各地で悩まれている皆さん、自治会・町内会による社協の会費徴収について疑問を持ったり、戸惑いを感じたりしたときは、寄付や募金の基本に立ち返り、ぜひ「自由意思」によるべきとする改革を提案してみてはどうだろう。

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2017年12月 5日 (火)

「赤い羽根」への善意のゆくえ

赤い羽根 胸にともせる人に会う 小さな愛のあふれる季節(俵万智)

 

 ことしも、わが町の自治会でも、赤い羽根募金袋が回ってきたと思ったら、今月は、歳末助け合い募金も回ってきた。もうだいぶ古い話になるのだが、冒頭の「赤い羽根 胸にともせる人に会う 小さな愛のあふれる季節」は俵万智の短歌である。彼女が、一九九八年から三年間、中央共同募金会のポスターモデルになっていたときの一九九九年のポスターに掲載された短歌である。 

 

その前年、赤い羽根募金のポスターに「「寒いね」と話しかければ「寒いね」と 答える人のいるあたたかさ」という短歌が掲載されたのを見て、人気歌人の人気作品が、こうして利用されるんだ、の思いをあらたにしたのだが、翌年の、冒頭作品を見たときには、少し驚きもし、団体の要請により作歌に応じたんだと、少し怖いものを見た気がした。

 

 そのころ、私たちの自治会でも、班長さんが、自治会費のほかに、社会福祉協議会の会費500円、日本赤十字会の社資500円、赤い羽根募金の500円ほかいくつかの寄付を集める仕事について、疑問の声があがっていた。とくに毎年転居してくる新住民から、「寄付は自由なはずなのに」「前の自治会では、こんなことはなかった」などの意見もあったし、私自身の班長の経験からも、留守の家も多く、集金は負担であったし、定額の領収書を持っての集金には抵抗があった。我が家では、ある時から、「寄付は自由だと思うし、別のかたちでボランテイアをしているので」と、班長さんにはことわっていた。

 

そして、その後、自治会の役員を数年やる羽目になって、これまでの本ブログでも繰返している「自治会と寄付」の問題に取り組むようになった。今、自治会には、直接かかわらないものの、会員として、市民として、ささやかながら発信を続けている。全国的にも、この問題への関心は高く、私のブログでの関連記事は、常時、アクセスが多い。「自治会と寄付」については、すでに最高裁判決が出ているというのに、なかなか改まらない実態があり、問題の根は深いからだと思っている。新聞やテレビでも、ときどき、特集が組まれるようにもなり、私自身も取材を受けたり、出演?したりしたこともあった。あるとき、昼のワイド番組から、「怒れる女たち」(?)というコーナーへの出演依頼?があったときには、即座に断ったのだった。

 

 

 五百円の寄付の代りに貰ひたる置きどころ探すこの赤い羽根 

    これは、今週、月曜日12月4日のある新聞歌壇の入選作である。そしてなんと、作者は、Tさん。彼は、大学時代の同期で、短歌研究会のメンバーであった。斎藤茂吉、佐藤佐太郎流の作品を、週一度、昼休みに開いていた研究会で発表していた。当時は、コピーなどはなかったから、お互いに、自分の作品を黒板に書いての歌会であった。年に一度だけ、『ポロニア』という謄写版の冊子に短歌や歌論を掲載するといった活動をしていた。「大学歌人会」も衰退の一途をたどっていた頃だが、それでも、数回の合同歌会で会ったことがあった岸上大作が、一九六〇年一二月、自殺したことを知って衝撃を受けた仲間のTさんだった。長い間、国語の先生をされ、海外で日本語教育にも携わった方でもある。 

 

Tさんの短歌は、この新聞歌壇欄でも、ときどき読むことがあるのだが、今回の入選作は、俵万智の短歌にも通じる「市民の善意」を詠んだものだろう。ただ、Tさんには「置きどころ探す」で、あの針のついた赤い羽根の置き所に苦慮している様子が伺われた。「上手だな」と思う一方、「五百円」の集められ方と「五百円」の行方にもう少し踏み込んでもらうと、「赤い羽根」の問題点が浮上するはずなのにと、この短歌を選んだ選者にも、もの申したい気持ちであったが。

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2017年10月 6日 (金)

これ以上<希望>をばらまかないで~「赤い羽根」募金を通して考える 

102日に東京へ出た。最寄りの駅の構内では赤い羽根の募金が始まっていた。国立国会図書館に調べ物があって出かけたのだが、議事堂近辺は、集会の声もなく、人通りも少なく、いたって静かなものだった。等間隔に立つ警官の姿、なぜか路上の何カ所かに置かれた蛇腹の鉄柵だけが目立っていた。すでにギンナン落果の季節は過ぎたのか、足元を気にしなくてもいいようであった。

今年の10月は、とんでもない10月になりそうだ。臨時国会の開催を3カ月も放置した挙句、9月末日に冒頭解散をした安倍内閣。臨時国会を開催しないのも、憲法7条解散もそれ自体が憲法違反ではないのか。議会軽視もはなはだしい。こじつけたような解散理由が「大義なき解散」といわれる所以である。一方、「野党共闘」に「期待」するあまり、「積み上げ」というよりは、ゆずりに譲ってしまった共産、小池新党の国政進出、民進党の希望の党への合流、はしごを外された「野党共闘」は「野党と市民の共闘」と言い換えたりしている。民進党リベラル派新党立ち上げで、少しばかり、選択肢が増えたかもしれないが、なし崩し的に選挙モードに入ってしまった。

これからいったいどうなるのだろう。日本は、近隣諸国との関係でも軍備強化、原発輸出・再稼働推進、雇用・消費が一向に伸びず、「全世代型」の福祉切り捨てなどによる危機が目前に迫り、私たち、高齢者にとっては、“命がけ”で病院や施設に入るか、そうでなければ、家族を疲弊させる在宅医療・介護に甘んじなければならない時代に入り、「絶望列島」になりかねない。「国民の命と財産を守る」と叫びながら、軍備増強によるリスクや国の借金を増やすばかりの自民党、「希望がゆきわたる国へ」とのポスターを街角に掲げる公明党、「希望の党」と名付けた小池新党・・・。不安や失望が渦を巻いているからこそ、政党は「希望」や「期待」という実のない、口あたり、聞こえのよい言葉だけをばらいてはいないか。

国にあっては、優先度をつけて、実施して欲しい施策がある。憲法改正などはまず不要で、現憲法下ですぐにでも実施できることは、山ほどある。「消費税の使い道を変える?!」って、自公は得意げではあるが、法人税のわずかな増税、内部留保税の導入、所得税の総合課税や累進性を高めれば、消費税増税などまったくもって不要にもなる。教育の無償化や補助は、憲法を改正しなくても立法により十分対応できるはずである。メディアは、政局内の攻防を面白おかしく伝えるばかりだし、登場する専門家という人たちは、素人でもいえそうなことしか口にしない。 

地域に押し寄せて来る数々の危険

この度の選挙にしても、私たち市民には、どんな選択肢があるのだろう。地域では、治安というだけの名目で、監視カメラがめぐらされ、自治会を中心に、社協、PTA、子供会、商店会、さまざまなNPOなどを束ねた「まちづくり協議会」、自治会の「法人化」、募金・防犯・防災というボランティアの強制など、いずれも自治体の行政下請け化、自治会の弱体化を図る目論見である。共謀罪新設と相まって、相互監視社会へと突入する。自治体が直面する危機~人口減少、商店街の衰退、学校の統廃合、交通困難、空き家問題など過疎化の問題、私の住む千葉県では、行政にも議会にも、羽田・成田空港の拡張に伴う環境被害、木更津基地へのオスプレイ配備の危険性、拙速な開発・再開発による弊害などについては、住民の切実な声が届かない、聞こえないふりをしているのが現実ではないのか。地元佐倉市でも、市からの24億円助成を前提にした順天堂大学学部誘致で揺れに揺れた。地元の不動産業者が暗躍、誘致の一点で市長選に候補者を立て、あくどい選挙戦を繰り広げた。消極的な市長も選挙戦後半には、その攻勢にフラフラしだしたのだ。誘致は今、白紙状態となったが、胸をなでおろしている人たちも多いであろう。

駅頭での赤い羽根募金は、あまり目にしなくなったのも、ボランティアの高齢化が進んだからであろう。自治会からはもう先月には、募金袋が回ってきていた。私たちの自治会では辛うじて、募金は、するもしないも、金額も、世帯の自由になっている。赤い羽根募金は、中央共同募金会が自治体の社会福祉協議会に募金業務を委託し、社協は、自治会や町内会に丸投げしているのが現状だ。自治会などがまさに集金マシンとなっている。本来ならば自由な寄付が、強制に近い形で集金される現状は、各地で問題を起し、裁判にもなった。このブログ記事でも何回か記事にしている。だいぶ古くなってしまったが、基本はいまだに変わっていない。

赤い羽根共同募金の行方(1)(2)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-2f90.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-dd38.html

 集められた募金は、年々減少の一途をたどる。中央共同募金会のデータによれば、赤い羽根共同募金は、70年前、1947年、約6億程度でスタートし、1851年に10億、1980年に100億、1998年の261億をピークに、減少し始めたのである。2015年には184億にまでになっている。自治会等を通して集められる「戸別募金」は、歳末助け合いなどを含むと、募金全体の70%以上占めることも、ほとんど変わっていない。街頭や学校での募金は、合わせても5%にも満たないのが現状である。以下の図をご覧いただきたい。これが募金の入り口と出口で、2015年度では、募金総額184億、助成総額160億、差額が経費とみてよいだろう。

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出典:中央共同募金会 年次報告書平成27年度(2015年)
http://www.akaihane.or.jp/organization/pdf/annual_h27.pdf 

では、これらの募金は、どう使われているのか。たとえば、千葉県では30%が広域で使われ、70%が地元に還元されているという。最後はどこに行き着くのかは、地元の佐倉市のデータベースに詳しいが、少し立ち入ってみると、疑問も多い。

佐倉市赤い羽根データベース<はねっと>

http://hanett.akaihane.or.jp/hanett/pub/homeTown.do?data.jisCd=12212 

たとえば、2016年度(平成28年度)で、歳末助け合いを含めての募金の配布先を見ると、14ある地区社協に各10万、各施設に3.5万、施設の催事に3万など合わせて80件、大口の配分先を含む個所を複写するとこんな具合だ。各行の【表示】をクリックすると、その詳細が現れる。各地区社協は10万をどのように使用しているかも見ることが出来る。

下記の大口の例では、支援金配分事業がほとんどで、対象の利用者数の延べ人数と使用目的~見舞金・祝い金の記載があるのみである。まさに、配分のための配分、機械的なバラマキの感がぬぐえない。募金会は単なる配分機関となり、配分を受けた事業主体や施設がまた配分機能を果たし、募金が配分されるたびに、人件費や経費がかさんでいく仕組みである。福祉の対象の人たちに届く時点では、わずかな見舞金や茶菓子代になってしまっていないか。これって福祉なのだろうか。

 

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広報雑誌「社協さくら」発行

 
 

赤い羽根

 
 

2,858,000

 
 

表示

 
 

23

 
 

在宅福祉(いきいきサロン・食事サービス等)

 
 

同上

 
 

1,039,000    

 
 

表示

 
 

24

 
 

福祉総合相談事業

 
 

同上

 
 

1,044,000  

 
 

表示

 
 

27

 
 

要支援世帯に対する支援金配分事業

 
 

歳末助け合い

 
 
  

2,040,000   

 
 

表示

 
 

28

 
 

母子・父子世帯に対する支援金配分事業

 
 

同上

 
 

5,013,000 

 
 

表示

 
 

29

 
 

ひとり暮らし高齢者世帯に対する支援金配分事業

 
 

同上

 
 

1,680,000

 
 

表示

 
 

30

 
 

寝たきり高齢者世帯に対する支援金配分事業

 
 

同上

 
 

94,000

 
 

表示

 
 

31

 
 

心身障がい児・者世帯に対する支援金配分事業

 
 

同上

 
 

424,000    

 
 

表示

 

 

  身近な福祉に目を向けていくと、国における福祉政策が透けて見えてくる。年金記録問題や年金支給漏れなど、原因や責任の解明が済まない先の不祥事は後を絶たない。根っこには、寄付文化やボランティア精神が根付かないまま、「絆」とか「共助」、「家族愛」まで持ち出し、福祉や災害復興政策の補完が強制されている現実を見失っていないか。足元の地域で何が起こっているかも知らずして、国の政治は語れないと思うのだ。

 

活動の対象

 

活動の対象

 
 

件数

 
 

金額

 
 

高齢者

 
 

32

 
 

2,889,00013.2%

 
 

障害児・者

 
 

15

 
 

1,559,000円 7.1%

 
 

児童・青少年

 
 

9

 
 

  5,273,00024.1%

 
 

課題を抱える人

 
 

2

 
 

2,052,000円 9.4%

 
 

その他

 
 

22

 
 

10,106,48846.2%

 
 

合計

 
 

80

 
 

21,879,488

 

  活動の目的  

 

活動の目的

 
 

件数

 
 

金額

 
 

日常生活支援

 
 

16

 
 

   11,745,00053.7%

 
 

社会参加・まちづくり支援

 
 

51

 
 

   9,224,48842.2%

 
 

社会福祉施設支援

 
 

2

 
 

70,000円 0.3%

 
 

その他の地域福祉支援

 
 

11

 
 

840,000円 3.8%

 

合計

 

80

 
   21,879,488 

 

    図書館からの帰り道、議員会館の方から、なにやら黒いスーツの一団が渡ってきた。この時期に陳情団でもないし、地方議員の見学でもないだろう。よく見るとまだあどけない青年たちだった。そう、近辺の役所の新人たち、どうも内定者たちなのか、101日は休日だったから、今日が内定式解禁日ということなのか。先頭に、これも若い案内役が「今年は女子が少ないんですよ」との声、その後はよく聞こえなかったが、「ヴァレンタインデーが・・・」の声のあとでは、若者たちの小さな笑い声が起きていた。総勢145人だったろうか、茱萸坂を下って行った。決して佐川長官のようにはなるな、初心を忘れるな、と見送るのだった。

 

 

 

 種類 助成額 

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2017年7月12日 (水)

自治会等からの消防団への寄付は、違法性が問われ、廃止の方向へ~迷走する佐倉市の対応に驚く~

 九州、福岡での水害では、懸命の救出作業が進む中、多くの犠牲者が出ている。災害時における自衛隊や消防団員の活動には感謝したい。今回は、消防団員の犠牲者も伝えられている。 

 その一方で、地域の自治会や町内会からの消防団への寄付が、いま問題になっている。当ブログでも四月上旬に、私の住む街での自治会の出来事に端を発して、消防庁や佐倉市に問い合わせたり、判例や各地の動向などを調べたりして、以下の記事を書いた。

 

消防団・社協・日赤などへの寄付を強制されていませんか~自治会の自治とは(1)(2)201749 

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/04/post-8f66.html 

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/04/post-7804.html

 

1.消防団への寄付について、ふたたび 

行政とのやり取りの中でも、疑問は解明できず、411日に佐倉市に質問書を提出していた。佐倉市の場合、「市長への手紙」や質問や要望に対する回答は、多くは、内容に実のない回答ではあったが、ともかく、回答は3週間をめどに、届いていた。ところが、今回は、数回の督促にもかかわらず、回答が届いたのは6月末日であった。2か月半以上かかってしまったわけで、担当の「危機管理室」の名とはあまりにもかけ離れているではないか。

 私が、佐倉市長あての質問・要望書は、先の記事と重なる部分もあるが、その要点は、以下のようなものだった。

~~~~~~~~~~~~~ 

(質問)
 
.市内の各地域で実施されている「消防団への寄付」(協力金、後援会費等含む)は、以下の①②③の条文からして違法と思われます。「公務外の仕事に対して、各自治会などが消防団へ寄付することは、消防団への感謝や慰労の気持ちであって問題がない」とする根拠はなにか。以下の条文・判決内容に沿って回答願います。
 
①消防組織法第9条・15条:消防団は地方行政団体の行政機関である
 
②地方公務員法第63項の五:消防団員は非常勤の地方公務員である
 
③地方財政法第4条の五:割当的寄付金等が禁止されている
 
2010324日、横浜地裁の判決:
 

 

〇消防団員の慰労のために,市民等から寄附金等を受け取ることは,公務員が本来の職務やそれに関連する業務につき金員を受領しているとも受け取られる可能性があるから、決して好ましいものではない
 
〇消防団が,本来業務のほか本来業務との関連が疑われる活動につき,市民等から慰労などの趣旨で直接寄附金を受領することは、違法となる余地がある
 
⑤『消防団の概要』(危機管理室・消防団本部)では、
 

「4.消防団の仕事」に「(1)消防団員の身分・仕事・権限⇒[1]消防団員の身分⇒3.消防団員は社会に奉仕する団体である⇒②消防活動に対して何らの代価も求めない」とある。

 

 2.消防団員が個人としてではなく、制服を着て、公務と類似の業務をすることは、外形上、公務とみなされ、団員たちの認識による判別には意味がない。さらに、前掲『消防団の概要』では 

「4.消防団の仕事」に「(1)消防団員の身分・仕事・権限⇒[2]消防団員の仕事⇒2.災害発生時以外 ⇒ ①火災発生予防 ②警備警戒活動 ③教育訓練活動 ④機械器具等の点検」 

 

とあり、災害発生時以外の①~④の業務も「消防団の公務」とされている。消防団員としての地域での諸活動を「公務外の活動」とする理由は何か。

(要望)
 
今年度ないし次年度、直ちに実施できることとして以下を要望します。
 
1.消防団が寄付を請求するはもちろん、消防団が寄付を受け取ることも、法令に従って、禁止してください。あわせて『自治会長・町内会長・区長の手引き』における「消防団の後援会費」についての質疑を削除するとともに、自治会等と消防団の金品の授受の禁止を明記してください。
 
2.他の市町村の条例には、団員の「遵守事項」の一つに「金品や酒食の接待の請求や受けることも禁止する」主旨の条文があるが、佐倉市の「消防団条例」には示されていない。「遵守事項」として条例化してください。
 
3.同時に、まず慣例と実態を知ることが大事なので、佐倉市は、自治会等及び消防団において、消防団への寄付がどのように集められ、渡されているのかの調査をしてください。

~~~~~~~~~~~~~~~

 2.消防団による祭礼の警備や野焼きや花火の監視活動は、公務か公務外か 

2か月半後、回答ではない中間報告が届き、そこでは、重大な訂正がなされていた。先の記事にも紹介した、電話でのやり取りで「消防団の地域での活動の中には公務外の活動もあって、それに対する自治会などからの慰労や謝礼の気持ちである寄付には問題がない」とする部分への訂正と思われる。詳しくは、添付資料Aを見ていただきたい。要は、「地域貢献活動として本来の業務以外である自主的な警戒活動をはじめとする地域の祭礼の警備、野焼きの監視活動などの『公務外の活動』に対して地域住民が『慰労や気持ち』として任意に支援しているものであり、市では関知することはできないもの」と説明したが、『公務外の活動』は、『公務の範囲』と訂正する、という内容であった。上記質問書の2.に応えたつもりかもしれないが、なぜ見解が一変したか明らかではない。

 

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資料A・中間報告↑

 

  これは、「公務の範囲」での上記のような活動に、地域住民の『慰労や気持ち』として任意に支援していることに市は関知しない、と読み替えなければならない。本来「公務」に従事する公務員に「慰労や気持ち」が入り込む余地はないはずである。寄付をする方も受領する方も、まさに刑事犯にあたる行為となる。佐倉市内でも、一世帯当たり千円単位で、自治会として数十万単位で消防団への寄付を強いられている地域もあり、これに関知しないということは、佐倉市自体も、行政機関「消防団」への「公務」に対する寄付は、受領するならば佐倉市への収入として処理していないことになる。   

「回答書」の文章をたどれば、そこにも大いなる矛盾が 

 

 6月末日にようやく届いた回答書は、添付資料Bをご覧いただきたい。その冒頭には、「消防団員が特別地方公務員であること、消防団が消防組織法に規定する行政機関であること、および地方財政法により割り当て寄付が禁じられていることは、事実ですが、これらの規定を踏まえても、当市の消防団への自治会等からの寄付が違法であるとの結論」には飛躍があるという。その次の文章は「自治会等からの寄付は消防団という組織に対する寄付であり、消防団員がこれを受領することはありません」とあり、「消防団という組織」は、回答書冒頭にあるように「行政機関」への寄付であることを明確にしている。飛躍でもなんでもなく、行政機関への寄付であることは、自明のことであるので、「ふるさと納税」のような制度がない限り、受け取ってはならない寄付であり、返還しなければならない性格のものである。 

 

 回答書にはさらに、消防団への寄付は、「自治会町内会等の自主的・自立的判断に基づく任意の自治活動であり」というが、行政機関たる「消防団」への寄付は、だれからであろうと、何の目的であろうと、行政機関の収入である。行政機関が、市の関知しない収入を得て、関知しない支出をすることは、ほかの行政機関を例に考えても、想定外であって、違法である。しかも、市は、当然のことながら、条例に基づいて、消防団の予算は約7000万円(うち報酬費約5000万円)、渡し切りの交付金も支払われ、消防団員は、特別公務員として、役職によって異なるものの、年間の一律報酬や出動手当、退職報償金なども支払われているのである。

 

 近年、消防団員の成り手が少ない自治体が続出して、消防団の機能が弱体化している例が多く聞かれるのも事実である。少子高齢化、地域の過疎化、地域共同体・家族の在り方自体が変容している中で、消防団制度を維持することに限界に来ているのは確かである。しかし、そのことと地域からの「慰労や謝礼」の印として「寄付」を合法化するのは筋違いで、別問題として考えなければならない。

 

 また、回答書に、寄付が割り当てられていない、寄付をしない自治会もある、ことが任意の証左といい、消火活動は寄付の有無にかかわらず公平に行っていることをもって、行政が関知しない理由としているようであるが、述べてきたように、要は、行政機関が寄付を受領していることの適法性を担保することにはならないだろう。

 

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資料B・回答書↑

 

  ともかく、佐倉市は、この件の実態を知りたくない、関わりたくないの一点での弁明、いささかあきれた対応が続いている。 

全国的な動向として、各地で、自治会等の寄付の在り方をめぐって、議論が起こっているし、消防団の寄付については横浜地裁の判例などがきっかけで、消防団への寄付を廃止する市町村も増えている。昔のムラ社会意識から抜け出せない佐倉市、後れを取らないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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