2008年9月 6日 (土)

住宅街の真ん中に、24時間営業のスーパーができる、大店法は何を守るのか

窓を開ければ、屋上駐車場が

 1か月以上、更新ができなかったのは、世の中、夏休みというのに、妙に忙しかったからだ。隣接の井野東土地区画整理事業の中の一つの街区に、スーパー出店の商業施設建築計画が、今年20083月に当地の地元ディベロッパー山万から発表された。向かいの街区に建築中の14階建てのマンションの来年3月の入居にあわせて、購入者に約束したスーパーの開業をなんとか間に合わせようというのだ。その商業施設は、2階建てながら、屋上に駐車場ができるというのだ。300戸越えるマンションの足元に、屋上駐車場付きのスーパーが建つというわけだ。私たち、20数年来、まがりなりにも閑静な戸建て住宅街に住み続けてきた近接の住民は、驚いた。自治会と専門部会たる開発対策協議会は、早速ディベロッパーと協議を始めることになった。道路やモノレールの軌道を挟み、第一種低層住居専用地域とマンションに隣接し、さらに将来は、高齢者施設も計画されている、その真ん中に、屋上駐車場はないだろう、というのが正直な感想であった。まだ、周辺には空地がある、平置きの駐車場にならないか、少なくとも地下駐車場にできないか、と要望したのだが、業者は土地の有効活用と経済性の観点から一歩も引かない。屋上駐車場への導入路を若干低くして、駐車台数を数台減らしたのが相手の譲歩だった。駐車場への主たる導入路は、大店法の「指針」では原則禁止している右折だった。ディベロッパーや市役所・県庁に、その危険回避対策を迫っても、「指針」に強制力はないと涼しい顔なのである。

それでも、予想できる照明、騒音、排気ガスなどの被害や交通被害を極力抑えた建築物にするよう協議は重ねられ、ともかく協議の確認書を取り交わせたのが8月上旬だった。続いては、着工に先立って、建築主のディベロッパーと施工業者を相手に「工事協定書」を結ばなければならない。その協議も始まった。

大店法手続きの虚実

そして、予定より早く、抜き打ち的になされたのが、出店届の申請・受理と約10日後の住民説明会開催だった。同日の午前・午後の2回開催、その壇上に行政も含め関係者は居並び、物々しいが、要は、大店法にかかる手続きの代行業者コンサルタント会社が説明の主役なのである。この大店法手続き上の住民説明会は、半径1kmの住民に対する、いわば、建築主(家主)とスーパーの事業計画のお披露目でもある。このときの住民の意見は、県へは数行で報告されるのではないか。いわば大店法手続きの最初のセレモニーである。説明会後、事業計画書が縦覧に付され、4か月間、住民の意見提出を受け付けるという。しかし、一方では、建物の建築工事の着工は、建築確認が下りさえすれば、大店法の手続きとは関係なく可能なのである。本来、スーパー出店の建物の「建築計画」と建築主(家主)であるディベロッパーによるスーパー入居と併設施設にかかる「事業計画」は一体的なものと思われるが、手続き上は、大店法と建築基準法の二流れで進行するのだ。もし、住民の強い意見等で事業計画に変更をきたし、建築計画自体の変更を迫られたらどうするのだろうと、素人は心配するが、役所は、事業者や建築主がそのリスクを背負うといい、ハード面での変更など最初から変更する気がないのが実態らしい。

縦覧中に提出された、市町村の意見や住民の意見は「県報」の公告・縦覧を経て「審議会」に掛けられ、出店届から8か月以内に審議会での審議・答申により県として「意見を有しない」のか「意見を有する」のかに分かれ、有すれば公告・縦覧に付する。意見がなければ、手続き終了ということになる。

さらに、県の意見がある場合、建築主の設置者は、その対応策として届出事項の変更をするのかしないのかを判断し、その変更は、再び4か月間縦覧に付されることになり、その変更が適正か否かにしたがって「審議会」は設置者に「勧告」するか否かを決定する。「勧告」に強制力はなく、勧告に従わなかった場合は「公表」するというぺナルティがあるのみである。

この「大規模小売店舗立地法」の手続きの流れを、資料をもとに県庁の役人からレクチャーされたが、気の遠くなるような話で、住民の意見が反映されるか否かの観点から、どのくらいの機能を果たしているのだろうか。いや、むしろその「無能力化」にいかに寄与しているのか、「形骸化」に貢献しているのか、その「むなしさ」が先に立つのだった。

住宅街の真ん中で24時間営業って、「あり」?

ディベロッパーとの協議の中で、6月にようやく、出店業者が発表された。イオン系のスーパーで、全国に600近く店舗を有し、24時間営業が「売り」という。まず、スーパーの本部に自治会は面談を申し入れ、事業計画を尋ねようとすると、商業施設の建築主たるディベロッパーがバリアになって、なかなか実現しない。スーパー本部の担当者は、説明会に先立って、近隣自治会長への挨拶まわりには怠りないが、店長も決まってない段階で、自治会という住民組織と面談するつもりがないと突っぱねる。

私たち地元住民が、いちばん心配しているのが、24時間営業の近隣の住環境への影響だ。まず、幹線道路から引っ込んだ、住宅街の真ん中での終夜営業は不要ではないか。たとえ、わずかな利用者がいても、その利便性のために、近隣住民が受忍しなければならない騒音、光害、防犯・風紀上の悪影響などが大きすぎる。

最近、自治体でもコンビニの24時間営業に規制を打ち出すところが出てきた。上述のような理由に加えて、エコロジーの観点からも規制を強めたい、夜型の生活スタイルを変えていこうとする考え方によるものである。規制反対派は、おもに業界からは、利用者がいる限り営業面で不利になる、たとえ自粛してもエコへの寄与はわずかなものだし、なぜコンビニから始めるのか、防犯面からはむしろ交番の代替としての役割を果たしているではないか、などが主なところらしい(朝日新聞2008630日、200896日参照)。繁華街や駅ビルならいざ知らず、住宅街の真ん中での終夜営業は、私にとっては理解に苦しむところだ。

3回目の住民説明会が近づいてきた。住民の関心は高まりつつある。

補記:

①2009年4月に24時間営業で開店したスーパー「マックスバリュユーカリが丘店」は、2009   年11月21日より、開店7か月で営業時間が短縮され、午前9時~午後12時営業となった。

②開店当時より医薬品コーナーの営業は短縮されて限定的だったが、2010年2月半ばで、医薬品コーナーは撤収した。

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