2020年4月13日 (月)

『「関さんの森」の奇跡』(関啓子著)を読みました。自粛の折の「関さんの森」の今

  ホームページ「関さんの森・エコミュージアム」(http://www.seki-mori.com/)によれば、さまざまな行事は中止ながら、散策路は開放されているようだ。この芽吹きと花の季節、すぐにも新緑の季節がやってくるというのに、あの手入れが行き届いた里山の草木はもちろん、鳥や虫、小さな生き物たちはどうしているだろうか。昨年の台風で倒れた木や折れた枝の始末も、ボランテイアの方々が懸命に進めている、という。私も、だいぶ前になるが、二回ほど訪ねている。その頃、転勤前の長女がボランテイアで、休日には、よく通っていたのだった。あの鬱蒼とした森の中には、池もあり、もちろん、曲がり家の関さんの自宅も蔵もある。

 ことし一月に、新評論から出版された『「関さんの森」の奇跡―市民が育む里山が地球を救う』の長いサブタイトルにも興味をそそられた。著者は、関家の姉妹の一人の関啓子さんなのである。また、本の帯の「行政指導に<待った>をかけた・・・」というのも気になるところだった。というのも、私たち市民グループや自治会で、隣接の緑地や雑木林の開発をめぐって、開発業者と佐倉市・千葉県と幾多の交渉を重ねた経験があったからである。

目次

はじめに
第1部 里山論
 第1章 里山とは何か
 第2章 なぜ、里山は壊れるのか―里山の昔と今
 第3章 里山の価値―なぜ、里山を護らなくてはならないのか

第2部 里山を育み、護る運動
 第4章「関さんの森を育む会」の誕生と活動
 第5章「関さんの森エコミュージアム」の誕生 
 第6章 市民力が自然を護る―環境保護の市民運動と学習
 第7章 市民力が自然を救う

第3部 里山保全イノベーション
 第8章 コモンズとトラスト
 第9章 緑と親しみ、人とつながり、今を楽しむ―市民としての成長

エピローグ
あとがき

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 そもそも、「関さんの森」とは、千葉県松戸市にある2.1へクタールの里山で、江戸時代に名主を務めていた関家が代々引き継いできた広い屋敷林だが、周辺の開発が進む中、関家当主の武夫さんは、屋敷林の自然を守り続け、「こどもの森」として一部を開放していた。1994年、関武夫さんの死後、残された姉妹は相続税のこともあって、翌年、一部を環境保護団体に寄付、「関さんの森」として、市民に開放され、憩いの場として、子供たちの環境教育の場として活用されている。

 本の第1部では、里山の保護の重要性が論じられる。第2部の前半では、1996年に発足した、ボランテイア団体の「関さんの森を育む会」を中心に、屋敷林の維持管理作業をはじめ、ニュースの発行などさまざまな形の広報活動と定例の見学会、学習体験、花まつり、タケノコ掘り、そうめん流しなど季節の催しものなど、多彩な活動を多くの写真とともに、かかわった人々の熱意と努力による活動が具体的に語られている。そうした人々への敬意と感謝の気持ちがおのずと伝わってくるのが印象的だった。
 また、第2部の第6章では、2008年「関さんの森エコミュージアム」の発足とともに市民による活動が活発になった折、なんと1964年に都市計画決定した都市計画道路3・3・7号線予定地の強制収用手続きが松戸市によって、突如、開始し、屋敷林が分断することになるのであった。松戸市や市議会の強硬姿勢、隣接の区画整理組合と松戸市民たちや研究者たちによる抗議や抵抗の活動が時系列で綴られている。しかし、その攻防が膠着状態になったときに、「景観市民ネット」の助言などもあり、いわゆる「政策提案型」の運動に舵を切るようになる経緯などは、不安と期待がないまぜになって、読者をひきつけるのではないか。
 ここでは、利便性を標榜する道路づくりの「公共性」より、以下の指向性を持つもう一つの「公共性」の重要性を強調する。すなわち、自然環境の保護/子供と市民による公共利用の優先/強制収用という手段ではない政策実現過程の民主化/行政主導ではない市民の希望を反映したまちづくり、の観点から、道路計画の線形を変更し、自然破壊の少ない道路建設の代替案を提出、実現への道を歩み始めた過程を明快に論じ、社会学専攻の研究者(一橋大学名誉教授)としての姿勢にも感銘を受けた。2009年には、計画道路は関家の屋敷の外側を迂回することで、関家と松戸市は合意、2012年の開通にこぎつけたのは、「市民力」の成果であったとする。地縁や血縁に拘束されない開かれた集団、共通の目的や関心のもとに生まれた、自発的な「手作りのコミュニティ」重要性をと説く(212頁)。

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迂完することによって開通した都市計画道路、関家の蔵や門が残された(相続の折、寄付を受けた埼玉生態系保存協会のHPより)


 
第3部では、より広い視野で、日本内外のナショナル・トラスト運動や日本各地の市民運動が報告される。また、最終章では、都市近郊の里山保全に加えて林業地域での里山再生に触れて、目指すところの、藻谷浩介の「里山資本主義」、広井良典の「定常型社会」の考え方を紹介するが、いま私は、両氏の著作を読んでいないので、ややわかりづらいところがあった。前者は「森や人間関係といったお金で買えない資産に、最新のテクノロジーを加えて活用することでで、マネー―だけが頼りの暮らしよりも、はるかに安心で安全で底堅い未来が出現する」といい、後者は「経済成長ということを絶対的な目標としなくても十分豊かさが実現していく社会」(持続可能な福祉社会)への移行を目指すとするが、行政や開発優先の人々と闘い、市民分断にも直面してきた、関さんの森を守ろうとしたきびしい闘いの現場との乖離が思われたのだが。

 なお、2012年5月、見学に訪れた折の、当ブログ記事を、併せてご覧いただければと思います。

・新松戸、「関さんの森」に出かけました(2012年5月8日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2012/05/post-e122.html

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「育む会」の会報は、毎年1月に刊行されている。手元にあった36号は、28頁もあり、20年の歩みの年表も付されていた。

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2012年5月、見学に訪れた時の、古い写真。右のような古木もあるし、散策路も整備されていた

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2012年5月、関家の庭側から見た門、木漏れ日が揺れていた

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2012年1月、3年がかりの準備を経て、移植された、関さんの森のシンボルツリーであるケンポナシが芽吹き始めていた

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2014年5月に訪ねた折のケンポナシ、立派に根付いていた

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2018年7月15日 (日)

ユーカリが丘駅北口、あたらしい街づくりというが 

 

6月の自治会の回覧資料のなかに、地元の開発業者山万発信の「平成30年度6月~開発計画について」(63日)があった。地域の複数の自治会で構成される自治会協議会で、報告されたようであった。営業所の移転、スタバの開店予定、シネマコンプレックスの運営会社の変更などの情報に混じって、「(仮称)佐倉市ユーカリが丘駅北再開発事業計画」という3頁の書類が入っていた。数年前から山万が業務代行となって「佐倉市ユーカリが丘北土地区画整理組合準備会」を立ち上げ、駅前の3000坪ほどの土地を順天堂大学に提供するので、一部のキャンパスを移転してはどうかの話が持ち上がっていて、大学生でにぎわう街、それに伴う経済効果をうたい、駅前の再開発計画を目論んでいた。佐倉市には、約25億円の補助金を要請していたが、市長は、大学から詳細な計画が提出されていないことと市財政の立場から、あくまでも消極的だった。 

 

三年前、大学誘致をめぐる市長選挙は何だったのか

 

ところが、三年前の市長選挙のとき、山万が、大学誘致を全面的に推進する候補者を突如立てて、悪辣とも言ってよい選挙戦を展開した。その実態は、年表にまとめてあり、このブログでも10数回にわたって、記事にしているので、関心のある方は、一読いただけれと思う。周辺住民への説明会も、おざなりのもので、道路計画などには大きな不安が募っていた。現職の市長も誘致推進派の対抗馬に引きずられて、本来の公約そっちのけで応戦してもいた。選挙民は怪文書や違法ポスター、ネット情報に翻弄された。山万が、あの醜悪な選挙戦をリードしたのを目の当たりにすると、どんなきれいごとを並べられても、私には信用しがたいものがある。

 

その上、私には、私の住む街区に隣接する「井野東土地区画整理組合」による約50ヘクタールの開発事業(200279日都市計画決定~2012217日組合解散)で、組合の業務代行だった山万が見せた開発の手法への疑問があった。その開発過程で、私たち周辺住民になされた、環境保全、周辺住民無視にも等しい数々の対応を忘れることができない。土地造成に伴う産廃・残土処理・盛り土の高さ、法面の処理、道路計画、建造物の高さ、工事に伴う騒音・振動・交通対策などについて、自治会を中心とする住民組織との数年にわたる会議や質疑・折衝に見せる不誠実で、強硬な姿勢に、気を緩めることができなかったからである。さらに加えて言えば、そのときの千葉県や佐倉市の開発優先の対応にも疑義が深まったのだった。この辺り経緯は、本ブログ開設当時2006年以降の記事や地域のミニコミ誌「すてきなあなたへ」の当時の各号に詳しい(本ブログのマイリストからも閲覧できます)。

 

“狂乱”の市長選挙の結果は、現職に落ち着いたが、一部市議会議員と山万は、引き続き大学誘致を進めようとしていた。佐倉市側からの経過説明は以下のサイトで読むことができる。


佐倉市HP:順天堂大学の誘致について(2015716)

http://www.city.sakura.lg.jp/0000011401.html

 

〇佐倉市における順天堂大学誘致問題の動向2015~市長選を中心に(告示日:2015419日、投票日:426日)20155月作成、同年6月、20187月補、内野光子作成)
 http://dmituko.cocolog-nifty.com/yukarinenpyou.pdf

 

大学側も、佐倉市からの補助金引き出しを困難と見て、キャンパスの都心回帰志向が高まる中、補助金がないままの進出は、どうでもよくなったのか、201610月、大学と山万は協議の上、「佐倉市ユーカリが丘北土地区画整理」事業による都市計画提案は取り下げるに至ったのである。 加計問題の二の舞になるところではなかったか。

 

取り下げから、一年半余り

 

そして、取り下げから一年半余り、佐倉市との事前協議を重ねていたのだろう、2018320日、今回の「都市計画」提案になったのである。大学に提供すると言っていた1ヘクタール弱の敷地を含めた4.3ヘクタールに、「内外の企業誘致をするためのビジネス街、子育て世代からシニアのための多機能住宅構想を柱に、就業人口、昼間人口、定住人口の増加を目指す」とした都市計画提案を、613日付で、佐倉市は採用・決定した。下のホームページでも明らかなように、計画書、審議結果の双方とも、大学誘致についての経緯や評価にはいっさい触れていない。その提案者は区画整理事業組合(準備会)ではなく、山万からのものであるが、実質的には、大きな変わりはない。

 

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2018年3月20日、山万から提出された「都市計画提案」

上記の決定内容の詳細は、以下を参照ください。

〇佐倉市HP:都市計画提案(仮称)佐倉市ユーカリが丘駅北再開発地区及び周辺地区2018613日)
http://www.city.sakura.lg.jp/0000019052.html


あらたに決定した計画書と開発実績とは

 

「職住近接下コンパクトな街づくり」「国際色豊かで多彩な都市的機能の享受機会に恵まれた駅前拠点」として再構築を目標とし、「賑わいと活力のある商業・業務機能と利便性に富んだ都市型住宅機能の整備をはかり回遊性と界隈性を備えた街づくり」を実現する、とある。また、佐倉市の審査結果には、都市計画法や千葉県、佐倉市の都市計画との整合性、地権者・周辺住民との調整、環境への配慮、地元での開発実績からの実現性を評価し決定したと記されている。

 

 <用途地域のの新旧対照図> 

 

 

 

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右が用途地域変更後の見取り図になる。現在、みずほ銀行の角裏の空色の台形部分の第1種低層住宅専用地域と黄色い296沿いの第1種住宅地域の一部がピンク色の近隣商業地域に取り込まれ、変更となる

  <予想建築物計画図>

 

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みかん色が三か所の高層住宅で、合わせて432戸。灰色の立体の専用駐車場639台とビルに併設が221台で、あわせて860台。ピンク色の2か所の1階部分が商業施設となる。中央の青色部分が1500人収容の多目的ホールになるという。各建造物の事務所スペースが多い

 

上記二つの図面の詳細は、以下を参照ください。

 

佐倉市HP:都市計画提案(仮称)佐倉市ユーカリが丘駅北再開発地区及び周辺地区2018613日)

http://www.city.sakura.lg.jp/0000019052.html

 

こうした、夢のような構想が語られても、その実現性は、これまでの、「井野東」「井野南」などの土地区画整理事業による開発経過と結果・実態をみれば明らかになるのではないか。それにしても、7月21日に予定されていた、公聴会は、公述人なしで、中止になったという。

 

これまでの開発で、多くの緑地と雑木林を失い、都市計画道路と宅地になり、高層集合住宅も建った。戸建て住宅の小規模化により子育て世代を呼び込んだり、集合住宅は、企業などの借り上げなどにも助けられたり、この地区の人口は確かに増加した。しかし、計画道路沿いの商業ゾーンは、当初、大型スーパーや葬祭場などができて、渋滞などが予想されたが、いまだ空き地が続いている。また、さらに、駅寄りに巨大なイオン・タウンが開業したが、どうだろう。それよりもユーカリが丘駅に近かった、二つの商業施設(ユーカリプラザ、旧サティ)のスーパーや専門店の撤退が相次ぎ、いまは、昨秋、開店のオーケーだけがにぎわっているのが現状である。駅の南側にあった電気店コジマや北側でもツタヤをはじめ、パン屋さん、いくつかの個人商店が閉業している。イオン・タウンへは、オープン以来、私は数回しか出かけていないが、連れ合いは、自転車で、ノジマや生鮮食品売り場、クリーニング店などにはよく通っている。私も出かければ、レストラン街など歩いてみるが、魅力的な店が見つからない。一流とか、有名とかにはこだわらないつもりだが、テナントとして入る店が、どうもこれという特色がない店が多く、リピーターがつかめないのではないか。同じようなことを、よく買い物に出かけるという友人も話していた。お客が多いのは生鮮食品売り場くらいで、閑散としている店が多いのだ。なかには、冷房も暖房も効いているので、もっぱらウォーキングのために出かけ、ところどころにベンチもあるので助かるという友人もいる。

 

それに、テナントの出入りもはげしく、定着しない。オープン当初、しっかりした眼鏡屋さんが入ったと思い、眼鏡を新調したら、なんと一年余で撤退してしまったという個人的な体験もある。

 

この街に、あんな大きな商業施設が必要だったのだろうか。呼び込んだ山万とイオンのコンセプトがわかりにくい。遠隔地からの集客は、近隣に同様の商業施設が乱立しているから、まず無理なのではないか、というのは素人でもわかる。私たち住民にとっては、地元の商店やコンパクトなスーパーが充実していれば十分にも思える。私は、コピーや公共料金納入・送金などで利用する程度のコンビニながら、この街にはコンビニが多く、内情はわからないが、共存しているらしいのだ。ということは、大型スーパーより、コンビニの利便性が評価されているのかもしれない。若者、シニア、単身者の利用が多いというのもうなづける。さらに、いくつかの生協の宅配、食材・弁当の宅配業者の車もよく見かける街となった。また、モノレールとて、運行距離が短く、限定的で、駅やホームへのアクセスが悪く、運賃が高い。結局は、小回りの利く、シャトルバスやコミュニティバスを運行する事態に到っている。

 

今回の開発で、さらに商業施設が増強され、事務所スペースが多く、ビジネス街を目指すという所以でもある。ほんとうに、ビジネスを誘致できるのか。この街はどうなるのだろう。近い将来、当地域の人口増加も、いずれ期待できなくなり、利用者激減の商業施設やモノレールはどうなっているのだろうか、を目の当たりにするのが恐ろしいのだが、そのころ、私などは・・・。 

 

それでも、企業や自治体、議員や研究者などの視察が盛んなのは

 

 そんな状況の街ながら、山万の街づくりが、モデルケースとして、国や自治体、地方議員、企業関係者、研究者らの来訪・視察の対象となっている。レポート類も数多く出されていて、業界紙やテレビでも紹介されることが多い。テレビの「カンブリア」にも登場していた。しかし、その大方は、山万が提供する資料や山万の社長や幹部のインタビュー取材にもとづくもので、いわば企業の広報べったりのレポートであることが多く、その裏付け取材や検証がなされないまま、独り歩きしているのだ。将来の人口構成まで見据えた年間200戸以上売り出さない「成長管理」、分譲したら、その地を撤退する開発ではなく、地域に密着した企業であり、社員を地域に住まわせ、関連会社による子育てから介護、環境整備まで支援し、環境に優しい新交通システム(モノレール)の導入、電気自動車のシェア、コミュニティバスなどの運行、住民へのアンケート実施などが高く評価されたことが、HPや広報誌「わがまち」、「夢百科」などで繰り返される。

 

 ともかく、地元の市役所や住民・自治会・地元のNPOなどに取材したり、関係資料を収集したりする努力、形跡が見えないものがほとんどである。

 実態を見ない机上の開発手法であることが多く、地域密着と称して自治会や管理組合在籍の社員による情報収集・情報操作がなされた場面にも遭遇している。

役人や議員、学者や実務家ら専門家・有識者と称する者やメディアの言は、まず疑ってみよ、が、私にとって、どんな問題にも共通する鉄則にも、思えてくるのだ。

 

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2017年12月20日 (水)

<談合>大きなものから、小さなものまで、どこまで続く

ゼネコン4社によるJR東海のリニア新幹線工事をめぐる談合のニュースが連日続いている。総工費9兆円にも及ぶというから、そこに群がるゼネコンは、醜悪な談合の歴史にまた大きな汚点を残す。9兆円の三分の一の3兆円は国債による公費投入が決まったと言い、JR東海、一民間事業と業者の関係ではなくなっている。ニュースが報じられるたび、大成、鹿島、清水建設の名前を聞くたびに、どうしても思い出してしまうことがある。もう20年前にさかのぼる。

私が住んでいる佐倉市のニュー・タウンに隣接した50ヘクタールに近い土地の区画整理事業が始まろうとしていた。ニュー・タウンの開発を手掛けた地元の不動産会社の山万が、千葉県の都市計画道路建設とからめて、土地区画整理事業組合方式による宅地造成を計画した。

1998年井野東土地区画整理事業組合準備会を立ち上げ、山万が業務代行となり、区域内の市街化調整区域の市街化区域への変更を進めた。 2002年には、組合が認可された。 街を走るモノレール軌道の内側の緑地だった第4工区の工事は、型通りの周辺住民への説明会も行われ、高い柵のなかで工事が進められていた。工事は、土地の凹凸を均してバリアフリーの宅地にするという触れ込みであった。ところが、2005年、高い塀が取り除かれると、道路から6m7mを越す盛り土が出現し、直近の住民の不安が募った。盛り土の危険性、景観・日照権への影響、モノレール軌道の安全性などが危惧され、自治会が動き、対策協議会が組織された。盛り土の撤回、産廃の撤去など山万・大成建設との交渉が始まり、署名を集め、市議や行政への働きかけも行った。

*その後、業務代行と佐倉市は、危ない橋を渡っている。それまでの佐倉市の条例規則では、一業者が区画整理対象用地の3分の2以上所有している場合は、助成金は出せないことになっていたが、この要件をはずして、助成直後、元に戻している。
<参照>

区画整理組合への助成金は、やはり業者への後押しだった! 

 交渉は、回を重ね、ようやく、盛り土をモノレール軌道沿いに10mの巾で1.5m下げ、のり面の傾斜を29度から22度に下げた。その交渉の途中で、のり面の植栽が、一晩7080ミリ程度の大雨で、根こそぎ流れるという事故が二度も発生し、のり面には小段も設けることになった。かつての緑地には、山万のそれまでの宅地造成や住宅建設で生じた産廃が一部運ばれていることは知られていたが、組合の事務所で調べてびっくり。6326トンのコンクリート塊、598トンのアスファルトがら、木くず250トンほか金屑、廃プラスティック、その他の廃棄物230トンのトラック800台分が搬出されていた。そこに残された土66000㎥で盛り土がなされていたことになる。残土の安全性も心配だったが、数値に問題はなかったという。信じるほかなかった。残土に拠る盛り土に工法上問題はなかったのだろうか。上物の建設物についても、冬至における日照を確保するために、階数を減らし、規模も縮小させた。現在は、宮ノ台6丁目となり、地上13階、地下1階建て323室のマンションと4階建て73室のケア付き有料老人マンションが建っている。

 そのマンション建設が鹿島建設であった。工事中の騒音・振動・工事用車両の交通対策なども問題となり、家屋への被害調査と補償も難航した。

 さらに、私たちの自治会区域に隣接する第2工区は、都市計画道路に近く、かつての馬の放牧場だった広い雑木林もあった場所だが、その宅地造成は、清水建設であった。対策協議会のメンバーでもあった私は、清水建設の現場事務所には出入りすることもあったし、犬との散歩コースでもあり、現場近くを通ることが多かった。そんなある日、現場の一角に、プールのような大きな穴が掘られ、そこに、コンクリート塊、木の根っこ、針金、農業用のシートのようなものから作業服、長靴、缶からなど、産廃から生活ゴミに到るまで、もろもろが投げ込まれていた。現場の作業員に尋ねると、埋めてしまうのだという。事務所に清水の担当者は常駐していない。あわてて、市役所に電話をして、現場に来てもらった。市役所と清水建設の話によると、大きな産廃は搬出したが、「細かなゴミ」は宅地ではない、公園予定地に穴を掘って埋めてしまうという計画であったという。宅地のように個人の財産になるわけではないし、公有地となる公園なのだから問題はないなどの言い訳も聞いた。もしそのまま埋められていたら、どうなっていたのだろう。現在、第2工区は、西ユーカリ1丁目となり住宅がびっしりと建て込み、くだんの公園には幼い子供たちが駆け回り、若いお母さんたちが立ち話をしている光景がみられる。

 井野東の土地区画整理事業は2013年に完了、組合は解散した。都市計画道路の沿道には、空き地が広がっているのが現況である。区画整理区域内にあった、縄文後期の環状盛り土遺構が国指定となった「井野長割遺跡」の一部が、約20000㎡、67000万円で佐倉市に売却された。かつて安く買いたたかれた地主さんたちは、腑に落ちない面持ちだったらしい。早い時期に、市の調査が行われていたら、早い時期に市が買い取っていたら、7億弱の税金を費消することもなかったと・・・。その他、モノレール跨線橋の傾斜が道路構造令ギリギリの10度に近く、安全性に問題が残ったまま、住宅街における商業施設の24時間営業、利用者のアクセス・駐車場問題なども浮上した。もっともスーパーの営業時間は、半年たたないうちに短縮され、問題は一部解消した。他に、私が個人で情報公開請求をした都市計画道路における公共施設管理者負担金の算定過程での組合の業務代行と県との打ち合わせ文書は、不存在との回答で、「談合」疑惑はかえって深まった。組合・県・鑑定業者の打ち合わせもある。そうした打ち合わせは、組合側の文書の「経過報告」に拠れば10回以上実施されているのにもかかわらず、「県側が文書を作成しなかったとしても必ずしも不合理とは言えない」というのが、私の異議申し立てへの回答であった。いつもどこかで、最近の森友・加計問題のやり取りでもよく聞くセリフである。「談合」疑惑は解消するどころか深まってしまった一件である。それにしても今でも不思議なのは、この区画整理事業の総予算が160億であったのに、急きょ半分に近い90億弱に変更されたことだった。どこでどれだけの予算が削られたのか。安全性に影響が出なければよいが。

 

「公共施設管理者負担金」とは、土地区画整理法第120条を根拠とするもので、重要な公共施設の整備計画がある場合、公共用地を取得する場合の用地費、補償費及び事務費の範囲内で、土地区画整理事業者が公共施設管理者に対して求めることができる費用負担のことである。以下参照ください。

 そんなこんなを思い出させる今回のゼネコンの談合、いつになったら根絶できるのだろう。また、スーパーコンピューター開発会社が外注費などを水増しして得た助成金や優遇融資名目で認められた公的資金が100億円を超えるという。創業当初からの大量の公的資金が流れ続けた経緯の解明を進めているという。永田町との関係も取りざたされている。オリンピック諸施設の建設も限りなく怪しくなってくる、だいじょうぶなのか。話はとめどなく広がっていく。

東京地検特捜部、ひるむことなく、しぼむことなく突き進んで欲しいものだ。

きのう1219日、政府は、トランプ大統領のセールスに見事に応え、イージスアショア2基の導入を、閣議決定した。これだけで2000億。18年度の防衛予算は、過去最大の5.2兆円、13年度以来増額が続いている。同時に、生活保護基準を見直し、生活費にあたる「生活扶助」を3年かけて1.8%の切り下げ、年間にして160億減らすことになるという。とんでもなく、なさけない国に生れてしまったものである。

 

 

 

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2016年11月19日 (土)

きょう「順天堂大学誘致の現状と真相」がポストに

「順天堂大学誘致の現状と真相」と題する『わがまち』臨時号(山万KK企画部編集・発行)がポスティングされていた。いつものタブロイド判の裏表の2頁だった。 いつもと違うのは、臨時号、いわば号外なのだろうけど、日付がない。発行・編集がいつもの「わがまち編集委員会」ではなく、「山万株式会社 企画部」となっていた。

『わがまち』は「地域の有志の方々と山万が協同で制作しているタウン情報誌」という触れ込みながら、まぎれもなく山万の広報誌なのだから、今回はそれがはっきりしたわけだ。日付がないのはどうしてかな。まだウェブ上には登場していなかった。

内容は、一面が、新聞報道を受けて、問い合わせが多く、不正確な報道でもあるので、「現状に至った経緯」を市民・住民に伝え、正確な理解を頂く、という趣旨で、「『こうほう佐倉』では語られていない真実」「断腸の思いでの取り下げ」の見出しで記されていた。裏面は「順天堂誘致に向けたこれまでの経緯(概要)平成17年10月~平成28年10月」と題して年表風な説明となっていた。しかし、その書きぶりは、昨年の市長選での「怪文書」めいて、その内容以前に、不快感が漂う。

最後は「順天堂大進出が白紙」という『千葉日報』の記事があったが、区画整理組合・山万・順天堂大学は、「白紙」との認識は持っていない、ユーカリが丘における順天堂キャンパス誘致の実現に向けた重要性の認識と熱意は変わっていない旨の文章で結ばれていた。

私は、地権者でもない、直近の住民でもないけれど、これまでの山万の井野東の開発手法を見てきただけに、不安だった。地元への説明会に参加したり、議事録を読んだりした。市議会や「大学等誘致に関する懇話会」の傍聴もした。説明会の資料がなかったり、後手になったり、かなりの情報操作をしているのも分かった。今回の経緯の中からすっぽり落ちている、市長選での誘致推進だけを争点とするような候補者陣営の露骨な選挙運動は、目を覆いたくなるほどだった。

「あきらめていない」というのだが、私たち住民にとっては、ユーカリが丘駅北のイオン撤退の跡がどうなるのかの方が、先決なのではないか、の思いも強い。肝心の駅周辺の既存の商業施設と駅から離れた、新しいイオンタウンの行方も心配だ。

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2016年11月18日 (金)

ユーカリが丘への順大誘致、白紙へ

 16日の夜遅く、知人からのメールで、1024日付で、順大誘致のための「都市画案の取り下げ」、区画整理組合設立のための「事前協議の取り下げ」がなされた、との一報が入っていた。京成ユーカリが丘駅北への順大誘致は、一帯の開発業者である山万が、かねてより強引に進めてきた計画だった。この数年間、周辺の地権者を巻き込み、自治会や市議会議員を巻き込み必死であった。昨年の佐倉市長選では、ほぼ順大誘致だけを公約に掲げた候補者を立て、実に醜い選挙戦を展開したが、敗退した。

 佐倉市ユーカリが丘駅北土地区画整理組合準備会(代表田中一雄)は、佐倉市が誠意ある対応をしないので、信頼関係を失ったとして、今年の14日付「土地区画整理組合の設立認可申請に係る事前協議」、24日付「都市計画提案書」を取り下げたことになる。山万は、土地を無償提供し、佐倉市からは負担金を出させるからと順天堂大学に進出を持ち掛けたのが事の始まりだろう。佐倉市は、負担金を出す以上は計画や費用の詳細を求めたが提出されないことを以って、進めなかったいきさつもある。少子社会で、大学キャンパスの都心回帰が強まる中、順大も踏み切れなかったのだろう。最大の地権者、山万の、そうした読みの浅さが、今回の結果を引き起こしたのだろう。それにしても、振り回された地権者、周辺住民、行政の経済的負担は計り知れない。あわせて市長や行政の優柔不断な姿勢も否定できなかったのではないか。 

 なお、「取り下げ書」の文書は、以下の藤崎良治市議会議員のホームページで見ることができる。

藤崎良治のHP

http://www.asahi-net.or.jp/~pn8r-fjsk/contentFrame.htm16/11/16) 

ユーカリが丘北 都市計画提案取り下げ書

  また、11月17日の朝刊では、若干のニュアンスの違いはあるが、つぎのような見出しだった。ネット上での掲載時間が一番早いのが『千葉日報』だったと思う。

千葉日報11/16 0500

順天堂大進出が白紙 佐倉市、誘致不透明に 地権者ら申請取り下げ

東京新聞11/17 0800

佐倉市の順大誘致が白紙に 地権者ら申請取り下げ

読売新聞11/17 1025

地権者と市の信頼崩れ、大学誘致が暗礁に

朝日新聞1117

佐倉にキャンパス 順大の計画中断 地権者ら都市計画案など取り下げ

 佐倉市のホームページでの昨年までの関連記事は、以下にまとめられている。

http://www.city.sakura.lg.jp/0000011401.html

 さらに、これまでの経過については、本ブログでも何回か記事にしているので、関心ある方は、あわせて以下をお読みいただければと思う。

(新着順)

順天堂大学「誘致ありき」のユーカリが丘駅前再開発はどうなる!説明会に参加 ~「誘致」が決まらないのに、強引に進める不可解 15/09/29

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/09/post-5850.html

佐倉市の市長選での順天堂大学誘致問題とはなんだったのか~また新しい情報に接して(15/06/05

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/06/post-ab09.html

・佐倉市長選挙、違反ポスター・虚偽ネット広告は放置のままだ~候補者も、スポンサーもここまで堕ちた(15/04/27

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/04/post-224d.html

・市長・市議選の争点は「大学誘致」ばかりではない~やっぱり出た”怪”文書「順天堂大学誘致の会ニュースレター」(15/04/18

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/04/post-7056.html

・佐倉市、順天堂大学誘致をめぐる「選挙戦」 ~誘致の効果は机上の空論、得をするのは誰なのだろう(15/04/14

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/04/post-5c84.html

・ユーカリが丘、順天堂大学キャンパス誘致、見送り?(15/02/09

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/02/post-fea7.html

・ユーカリが丘駅前の大学誘致をめぐるおかしな動き、やっぱり、山万が ~第3回「大学等の誘致に関する懇話会」(20141010日)傍聴から振り返る(2)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/10/320141010-ebd5.html

・ユーカリが丘駅前の大学誘致をめぐるおかしな動き、やっぱり、山万が~第3回「大学等の誘致に関する懇話会」(20141010日)傍聴から振り返る(1)

14/10/14

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/10/post-7e2b.html

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2015年9月29日 (火)

順天堂大学「誘致ありき」のユーカリが丘駅前再開発はどうなる!説明会に参加 ~「誘致」が決まらないのに、強引に進める不可解

 9月27日(土)18時~志津コミュニティセンターで、山万(ユーカリが丘駅北土地区画整理組合準備会)による住民説明会が開かれるという。4月の、あの思い出すのも気色が悪くなる市長選挙の争点となった「順天堂大学誘致」を含む「ユーカリが丘駅北土地区画整理事業」開発についての説明会なのだ。東の空の大いなる満月がユーカリが丘の街を照らす夜だというのに。 4月の市長選挙で、突然、「順天堂大学誘致」のみで勝負するかような形で仕掛けた開発業者山万がN氏を立候補させた。その後の尋常ならざる醜い選挙運動が展開されたことは記憶に新しい。「佐倉にゆかりのある順天堂大学を誘致すれば、この街が活性化する」という“バラ色の幻想”を振りまくだけでなく、違法な選挙運動と対立候補のネガティブ・キャンペーンによって、佐倉市やユーカリが丘の人々を巻き込んで、街のイメージを貶めてしまった。  

   その後、順天堂大学誘致問題はどうなったのか。あれから5カ月。市長は、市民の要望書や市議会での質問に答えて、いずれ経過報告は広報紙に公表するとしていたが、「こうほう佐倉」7月15日号と8月1日号において「透明性の高い公正で開かれた市政へ~『順天堂大学誘致』について~」(その1)(その2)として公表した。これまでの報道や市議会での質疑のなかで明らかになってきた以上の事実は出て来ず、佐倉市と順天堂は順天堂が佐倉市への進出の意向を継続していることを確認したというのが現状である。

    その後の報道によれば、市長は、8月20日の記者会見で、順天堂から、ユーカリが丘駅前にこだわらず広く候補地を探したい旨の意向が示されたという(毎日新聞8月21日)。 これまで、私が気付かなかった事実だったのかもしれないが、「こうほう佐倉」の「主な協議経過」のなかで、2012年12月~2013年10月に、佐倉市に運動部寮建設や国際学部設置に向けて協議・調整が行われるが、立地等の理由により、順天堂が一度は完全に「断念」していることだった。そして同時に浮上するのが2013年11月28日、順天堂側は、駅前の3000坪の土地を山万から無償貸与が受けられ、市からの助成金24億円を条件に進出を表明しているので、山万からの熱烈な誘致がなされたのだろう。しかし、それよりも数か月前の2013年7月6日の周辺住民への説明会では、もっぱら大学進出を核とする再開発計画を表明しているのだ。 その辺の山万・順天堂の動向が釈然としない。 佐倉市も、市民への説明会を開くなり、積極的に情報を公開して、いくことが重要なのではないか。

  住民説明会は、市長選挙の直近の前後、3月29日、4月30日にも開催され、今回は4回目に当たるというが、相変わらず住民への周知は回覧だけという徹底していないままの開催だったらしい。したがって、住民の参加者が極端に少ない。25人前後だろうか。その内、市議が3人、駅からは離れたところに住んではいる私だが、駅前の開発には無関心ではいられない、というより政争の具になっている「開発」からは目が離せず、同じ町内の友人と参加した。パワーポイントで、さまざまな図面が示されるが、手元にないので分かりにくい。一通りの説明が終わった後の質疑で、当初は、現在のユーカリが丘3丁目の生活道路6mが3mの歩道つきで拡幅整備されることによる、住民の方々の不安に集中していた。交通量が激増し、また用途変更により第1種低層住居専用地域(容積率100%建蔽率50%)が突然近隣商業地域(200%/80%)(300%/80%)に変更して高層マンションと隣り合わせになるとしたら、そして、1・2階が商業施設となり、駐車場の車の出入りも半端ではなくなるとしたら、その危険と精神的ダメージが予想される。そうした危惧は、計算上「ないと思う」、「ないと考えられる」との答弁しか得られないのだ。それに、当然のことながら、景観、日影、ビル風、電波障害などの影響調査も延々と説明されたのだが、スクリーンの数字が見づらく、ホールの音響効果も悪くききとれない。参加者への配慮が皆無であった。ともかく、とりあえず、きょうの参加者への資料送付をようやく約束したのだが。こんな実のない説明会は、住民理解への“努力”をしているという行政向けへのパフォーマンスではないのか。 参加者のなかにはもちろん大学誘致、開発賛成の人たちもいて、「問題になっている生活道路はユーカリが丘3丁目の住民だけのものではないはずだ、整備され、便利になれば・・・」とか、「みなさん、なぜ反対ばかりするのですか。山万さんと一緒に、いい街にしようではないか」という自治会長まで現れた。こういう人はどこの町内にもいるのだが、それでも、なんとか同じ住民として、少しでも住みやすい街にするためには、究極は営利目的の業者とは対峙しなければならないことを一緒に学んでいかなければならないだろう。。

  今回の開発計画は、すべて「順天堂大学誘致ありき」からのスタートなのだ。誰もが思う、「誘致が失敗に終わったらどうするのか」。山万のH専務取締は「私どもは、そんなことがないように、前向きに進めています」「十年、二十年先のことを考えて、みなさんによかったと思ってもらうまちづくりを考えています」という。しかし、ユーカリ、宮ノ台からの商店の撤退、中型の商業施設さえ売り場をもてあまし、これにイオンタウンができたら、駅前のイオンはどうなるのかしら。宮ノ台のマックスバリュには買いたい商品がめっきり少なくなってしまった。買い物一つとってもこんな具合なのだ。

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2015年6月 7日 (日)

「すてきなあなたへ」70号(2015年6月8日)をマイリストに掲載しました

目次
川崎簡易宿泊所火災に思う~ある記憶に重ねて~
嵐のような、あの佐倉市長選は、何だったのか
          ~これからが大事、見抜く力の大切さ*
編集後記~70号までたどり着きました
菅沼正子の映画招待席 42 「アリスのままで」
          ~明日はわが身かもしれない

*6月5日の前記事と重なる内容ですが、年表も付してコンパクトにまとめましたので
 あわせてお読みいただければと思います。下をクリックしていただくか、左のマイリスト欄の70号をクリックしていただいても読むことができます。

http://dmituko.cocolog-nifty.com/sutekinaanatahe70.pdf

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2015年6月 5日 (金)

佐倉市の市長選での順天堂大学誘致問題とはなんだったのか~また新しい情報に接して

順大誘致問題の勉強会へ 

まるで嵐のような様相で、通りすぎていった市長選・市議選におけるユーカリが丘駅前の順天堂大学誘致問題とはなんだったのか。結果的に敗れたN候補サイドが余りにも虚偽に満ちた情報によって世論操作まがいのことをやっているのを目の当たりにして、いても立ってもいられず、当ブログにも何本かの記事を書いた。投票日からは、あっという間に過ぎた一か月たったのだが、そんな折、順大誘致問題についての勉強会があると声を掛けられた。 

井野東開発での体験~山万の手法

 順大誘致問題に関して、私は、ブログに書いた以上の情報は持ち合わせてはいなかった。でも、開発業者山万を業務代行とする「井野東」土地区画整理組合による開発事業については、近隣住民としてつぶさに眺めてきた。同時に、隣接の自治会の住民として、自治会に設けられた開発対策協議会の委員として、さまざまな活動をしてきた。このブログにも、その後半部分の一端をいくつかの記事にもしてきたので、キーワード「都市計画」「土地区画整理事業」「佐倉市」などで検索を掛けていただければと思う。この井野東開発は、本格的には2002年から始まるが、その準備はその数年前にさかのぼる。その過程で、いやというほど山万の手法を思い知らされたのである。少しでも今ある緑を残してほしい、危ない道路はやめてほしい、安全な造成・建設工事と日照確保・騒音防止などを願う住民による署名、意見・要望をその都度、市役所や山万に届け、説明や協議を求めた。区画整理、都市計画の決定に必要な法的な手続きの過程でも、縦覧・情報公開・意見書提出、公聴会での意見公述などにも多くの住民が参加した。だが、当時は、佐倉市としても、この開発を都市計画の一端として積極的にバックアップしていたため、結果的に私たち、周辺住民の意見などは、ほとんど聞いてもらえなかった。重要な交渉や協議には、行政の担当者も複数・多数で参加していたことは、当たり前と思う一方、最近の行政の姿勢からは、ちょっと想像ができないでいる。そうした中で、私たち自治会と市長との面談、市長の現地視察などを実現させながら、自治会と区画整理組合・山万との「覚書」は行政立ち合いで手交した。連日連夜と言ってもいい協議で締結した、ある工区の「工事協定書」は、住民が決して満足するものではなかったが、「覚書」も「工事協定書」も、その後の建築物建設にも生かされ、せめてもと、それらの趣旨や文言が順守されているかを見守っているのが現状である。

 しかし、現実には、周辺住民の要請や期待が、ことごとく「粛々と」覆されていくのを見ながら暮らすのは、じつに口惜しく、息苦しいものがあった。今回の順大誘致にかかわる地域の地権者や周辺住民の方々も、同じような思いをされないよう、切に願うのだった。

新しい情報~3回にわたる住民説明会で、何が起こっていたか

今回の勉強会では、そうした私の思いの一端も伝えた。順大誘致問題は、山万の開発利権が露骨に浮上した一件ではなかったか。大学誘致を絡めた開発計画を、強引に推し進めたいばかりに、「順天堂大学誘致の会」をリードして、いわば慎重派だった現職市長の引きおろしを目論んだ市長選挙だったように思う。その執念と物量作戦は目に余るものがあった。選管や警察からの再三の撤去要請にもかかわらず、大量の違反ポスターや中傷ビラが市内に溢れた。ネット上の虚偽情報を含むサイトや動画広告に至っては、そのえげつなさに眼を覆うものがあった。投票日の翌日、それらのすべてが撤去、削除されていた。もっとも、違反ポスターについては、いまだ、残っているところもある、と参加者の一人が語っていた。

 そして、勉強会では、あらたな情報を得ることができた。201376日に開催された「駅北区画整理組合設立準備会 第1回近隣説明会」(ユーカリが丘3丁目自治会、4丁目自治会、上座第2町会、第7町会、第3町会ほかより計57名参加)の模様は一部、すでにお伝えしたが、説明会は、長い空白の後、市長選直前の329日の「(仮称)佐倉市ユーカリが丘駅北土地区画整理事業 概要説明会」(ユーカリが丘3丁目自治会、4丁目自治会、上座1~7町会自治会から70名参加)、4月30日「(仮称)佐倉市ユーカリが丘駅北土地区画整理事業 第3回事業概要説明会」(ユーカリが丘3丁目自治会、4丁目自治会、上座1~7町会自治会より25名参加)の議事録を見ることができた。3回の説明会の表題が異なるのも?なのだが、議事録を読んでいくと、私の懸念はますます募るのだった。

   説明会の案内の回覧期間が短く住民に徹底しなかったり、説明資料がパワーポイントだけだったり、掲示のみの用意で済ませたりなどの情報開示の不備があったことにも住民は納得しがたいようであった。

 ユーカリが丘3丁目の地区計画を条例化する際に、今回の再開発対象区域にある山万所有の戸建て用宅地を用途変更する場合には自治会との協議を前提とする「覚書」を無視して、近隣商業地域へと用途変更計画を発表したのも住民を怒らせた。

 対象区域に接する6mの生活道路を3mの歩道を付して9mにする道路計画も、周辺の施設によって交通量の激増が予想されるだけに不安が広がっている。さらに、1年半以上の空白の後、市長選直前の説明会では、とりあえず、近隣商業区域の建蔽率80、容積率300%は、大学予定地だけに限定して、他を80200%とすること、同時に、順大の学生規模が将来的に870人から2000人になるときは、容積率300%が広がることもありうると発表している。とりあえずの容積率を抑えたのは、市との協議の結果だったのだろう。山万による順大誘致の決意表明は繰り返されるが、誘致自体が不確定の中で、こうした計画が進むこと自体が、私たち市民には納得がいかない。

 今年開催の2回の説明会では、さすがに、例の「大学誘致等に関する懇話会」の報告にある「経済波及効果」に言及することはなかった。しかし、山万の幹部が、誘致が佐倉市の人口減少や民生費激増の歯止めとなり、税収増などをもたらすという文脈の中の発言に「大学生は食事を多く取りますし、地域のなかにどんどん入っていくそうした要素がありますのでそれを街づくりに活用したいなと思います」なんていうクダリもあって笑えるのだが、こんな認識だったのかと、少々がっかりもした。

 勉強会の参加者にはユーカリが丘以外の方も多くいらしたのだが、「ユーカリが丘だけに、税金を投入してほしくない、市の予算には、何かと地域格差を感じる」との発言もあった。

もう、メディア戦略?は、いい加減にして

 きのうのポストには「必見!65日、<NHKニューウォッチ9>でユーカリが丘の街づくりが放送されます!」の山万のチラシが入っていた。今年になって、これで何回目?11日の「NHKスペシャル」、41日NHK「あさイチ」、NHKもNHKで、ヤラセはかなりまずくなったので、“明るい話題”をと必死になって探していて、行き着くところが「ユーカリが丘」? 被災地復興にしても、地域再生にしても、民間活用にしても、よくウラも取らず、検証もしないまま、話を盛り上げる番組が多くなってきた。

宮ノ台では、また、先月、花屋さんがひっそりと店をたたんだ。この数年で、並んでいた美容院が閉り、レストランが店じまいし、パン屋さんも撤退してしまった。まさにシャッター街である。近くのイオン系のスーパーでは、「プライベート・ブランド」ばかりが並び、これまで買っていた商品がどんどん消えていく。

ユーカリが丘駅に近い新しいマンション1階のベーカリーチェーン店が、なかなかオープンできないでいるらしい。また、ユーカリが丘駅につながるホテルのパン屋さん、職人さんは見つかったのかしら。あまり品数が少ないので、びっくりしていると、職人さんがしばらくお休みなのでと、店員さんは申し訳なそうに口ごもる。

暮らしやすい、足を地につけた「まちづくり」を目指してほしい。

 

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2015年4月28日 (火)

佐倉市長選挙余話~N候補の違反ポスター撤収は、投票日の翌日27日だった!

きのう、ある交差点で小学校の下校時交通見守りに参加していると、この記事でも何度か触れた、N市長候補の公職選挙法違反ポスターを撤去している人に出会った。「大変ですねえ、何枚くらい回収するの」と尋ねてみると、「200枚かな」とあっさり答えていた。「これって違反じゃない?」といえば否定もせず、ポスターを留めてあるテープをカットしながら、ポスターに候補者と並んだ、例の小出監督を指して「このヒゲ面と酒ヤケの顔がイケなかった」(それが敗因?)とブツブツといいつつ、車に運んでいた。支持者か業者だったのか。投票日の前日、選挙事務所が回収中と答えていたのは、方便だったのだなあ。翌日撤収の200枚という枚数は信憑性があるかもしれない。それにしてもそのポスターの下に小さく記してあった530日の二人のユーカリ駅前の演説会は中止なのかしら。

告示後の当ブログへのアクセス件数は、日ごとに増えて、投票日翌日の27日には普段の5倍を超えたのには驚いている。ネット上でも、違反ポスターと虚偽バナー広告の動画はかなり話題になっているようだった。どう始末をつけるつもりかしら。

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2015年4月27日 (月)

佐倉市長選挙、違反ポスター・虚偽ネット広告は放置のままだ~候補者も、スポンサーもここまで堕ちた

   なにやらキナ臭い、見苦しい市長選挙戦が終わった。投票所前の候補者掲示板の横に、まだ堂々と違反ポスターが撤去されずに残っていた。「ヤリ得」ということか。現職で三期目をねらう蕨市長に対立する西田候補は順天堂大学誘致を専らの争点として担がれ、支持母体の誘致推進派の執拗なネガティブキャンペーンは続き、ポスターやネット広告は、公職選挙法違反のまま突っ走った。選挙管理委員会と警察がどこまで摘発するかもしっかり監視しなければならない。担がれる方も担ぐ方も、法律もモラルも投げうっての汚れた手は、洗い落とせるのだろうか。今後は、開発業者主導による土地区画整理事業による再開発、都市計画変更を注視していかねばならない。

 

   当選した市長も、褒められたものではない。告示が近づくと、ネガティブキャンペーンに危機を感じたのか、順天堂大学誘致のそれまでの慎重な姿勢を崩して、非常にあいまいな態度を取り始めた。「誘致の方向はすでに決まっていて、選挙後は順天堂の理事長と会うことになっている」ということを強調し始めたのだ。この件については、フラフラせずに、「選挙公報」にも「大学誘致活動」としか触れていないのだから、財政緊迫の折、無駄遣いなきよう努力してほしい。企業誘致、サッカースクール招聘・長嶋野球教室推進・オリンピック選手団のキャンプ誘致・・・etc. メデイア向けのパフォーマンスに気を取られるのではなく、どれほどの経済波及効果と活性化に寄与するのか、その実質を見極める施策であってほしい。

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