2023年5月25日 (木)

どうする!<天皇制>~イギリスの君主制が手本?

 

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5月6日「NOT MY KING」などを掲げ、
トラファルガー広場に集まった人々、多くの人が黄色いものを身に着けている。戴冠式も英国国教会の教義を守ることを宣誓する宗教的儀式であるが、全額国費でおこなわれ、約166億円と言われている。イギリスにおいても2018年の世論調査では無宗教が52%を占めているという。

 ハフポストUS版によれば、5月6日、イギリスの戴冠式当日、デモの前やデモのさなかに50人以上が逮捕された。メトロポリタン警察の関係者は「我々は、関連する法律に従い適切に取り締まる義務があります。また、抗議が犯罪に発展し、混乱を引き起こす可能性がある場合に介入する義務もあります」と主張するが、その法律というのは、戴冠式に先立つ5月3日に施行された、警察による平和的なデモの取り締まりをより強固にする「公共秩序法」だったのである。
 しかし、ロンドンのトラファルガー広場に集まった市民たちは、戴冠式反対、君主制反対のプラカードをかかげ、戴冠式が行われるバッキング宮殿へと行進した。

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バッキンガム宮殿に向かうデモ隊、大きなプラスターには「君主制反対」とあり、黄色い帽子の女性は「バッキンガム宮殿をホームレスのシェルターに」と訴えているではないか。右側の高く掲げられているプラスターの文字がはっきりしないのだが、下の方には「GENOCIDE PAST」上方には「CRUMBLING UNDEMOCRATIC HANGOVER」(反民主手的な遺物を粉砕?)と読める。写真の2枚は下記より借用
https://www.huffingtonpost.jp/entry/anti-monarchy-group-slams-coronation-arrests_jp_64584bbce4b0452cee9e9428

 

   日本での天皇代替わりの一連の儀式を思い出さないわけにはいかない。2016年8月8日の明仁天皇の生前退位表明以来、政府、皇族周辺が急にあわただしく動き出し、17年6月16日には“静かな環境の中で”議論したという「天皇退位特例法」が公布された。19年4月1日には新元号「令和」が発表された後の、出典が「万葉集」ということで、歌人まで巻き込むほどだった。19年5月1日に徳仁皇太子の新天皇即位前後の一連の儀式を経て、19年11月14・15日には「大嘗祭」が行われた。5月1日は「剣璽等承継の儀」は何やらあやしい「三種の神器」の受け渡しに始まり、即位後朝見の儀、10月に入って、即位礼正殿、三日にわたっての饗宴、11月22日祝賀御列の儀と続き、あの異様な雰囲気の中で進められる大嘗祭に至るのである。

 しかし、これらの儀式に先立つ2018年10月1日、詩人や研究者、宗教家ら13人が、これら一連の儀式が、憲法の「政教分離」「主権在民」の原則に照らして多くの問題をはらみ、これらに対する国費、税金が支出されるのは明らかに違憲と考えられるので税金の支出の差し止め請求と違憲を求める訴訟を呼びかけた。呼びかけ人の一人、関千枝子さんから、原告になってくださいとの丁寧なお手紙をいただいた。関さんとは、その数年前、市川房枝記念会での講演会を聞きに伺ったとき以来、私の方から年賀状などを差し上げる間柄であった。私たち夫婦は、訴訟委任状に納税を証明する書類、源泉徴収票のコピーを裏に貼って、提出した。2018年12月10日、原告241人と13人の代理人弁護士は、東京地裁に「即位の礼・大嘗祭等違憲差止請求」訴訟を提訴した。その後原告は最終的に318人となった。提訴当時はさまざまなメディアで報じられたので、覚えていらっしゃる方も多いだろう。その後、差止請求が分離され、最高裁でも棄却され、終結してしまったが、現在は、即位・大嘗祭違憲訴訟の「国家賠償請求」分の口頭弁論が続いており、さまざまな曲折はありながら、2023年5月31日に第15回口頭弁論、6月21日に第16回口頭弁がなされる。弁護団は大部の準備書面を提出しているにもかかわらず、被告側の国の代理人弁護士は何もしない、何も言わない、という不誠実な対応が続いているという。東京地裁の裁判官は、原告の証人尋問は認めても、研究者らの証人尋問は「陳述書」で足りるとして、直接口頭での証言は必要ないという姿勢をとっているのが現況である。

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下記の「即位・大嘗祭違憲訴訟の会NEWS」の最新号と一緒に届いたリーフレットである

 

 なお、この代替わりの儀式に、いったいどれほどの国費が費やされたかというと、以下の表がわかりやすい

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『東京新聞』の調査による。記事本文「皇位継承式典関係費133億円、当初予算より支出27億円減、18~20年度、概要などの公表なく」(2021年7月15日)。たしかに、2018年12月皇位継承式典事務局作成の「皇位継承式典関係(一般会計)予算額(案)」によれば、160億8500万であり、その詳細も分かる。なお、この「予算額(案)」では、昭和から平成の代替わりの折の予算額とも比較できる。
https://www.kantei.go.jp/jp/content/yosangakuan31_ichiran.pdf

 

   裁判の進行は、「即位・大嘗祭違憲訴訟の会NEWS」01号(2019年1月25日)から17号(2023年5月9日)によって知ることができるのだが、コロナ禍とも重なり、いまだ傍聴には出かけていない原告で、申し訳ない気持ちでいっぱいである。

 原告になってと誘ってくださった関千枝子さんは、2021年2月に逝去された。「後期高齢者、人生最後の闘いになるかもしれません」などとお手紙にあったが、裁判所へ出かければお目にかかれるものと思っていながら、私の怠慢が悔やまれるのであった。

 

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2015年11月25日 (水)

「マイナンバー制度」は、日本だけ!? 先進国の失敗からなぜ学ばないのか

日本のマイナンバー制度は、国民の利便性や行政の効率化を考えてのことなのか

 

「マイナンバーのお知らせ」、 皆さんのお手元に届いただろうか。私の家には11 22日に届いた。全国から簡易書留の配達ミスや自治体の窓口での交付ミスが連日続いていて、関係者があちこちで頭を下げている映像を目にする。とくに千葉県内の件数が多いとか。情報漏えいについては万全を期しているという法律ながら、スタートの時点でなんとも基本的なミスが続くではないか。他人のマイナンバーがいとも簡単に知られてしまうリスク、その無防備さが露呈した。

 

マイナンバー制度について、内閣官房は「マイナンバー 社会保障・税番号制度 国民生活を支える社会的基盤として、社会保障・税番号制度を導入します。」、総務省は「マイナンバー制度は行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤です。」と、そのホームページのトップで説明する。果たして、ほんとうなのだろうか。

 

マイナンバー法とは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の略称で200頁以上にも及ぶ。関連法合わせて四法を指すこともあり、すでに2013531日に公布され、来年20161月から運用が開始される。さらに、今年、201593日には、マイナンバーの利用範囲を預金口座や特定健康診査(メタボ健診)、予防接種にも拡大する改正法が成立した。日本年金機構の個人情報流出問題を受け、マイナンバーと基礎年金番号の連結は延期した。預金口座へのマイナンバー登録は、いまは、預金者の任意としているが、義務化が検討されている。義務化により、税務当局や自治体は、脱税や生活保護の不正受給を減らせると見込んでいるがほんとうにそうなのか。それより先にやることがあるのではないか。

 

 

どの先進国も、進めている「マイナンバー制度」というが、その実態は

 

10月の終わりに、テレビ朝日の玉川さんの「そもそも総研」で、一部外国での「マイナーバー」実施状況を知った。私も、ネット検索などで調べていくと、いろいろなことがわかってきた。いわゆる「先進国」で、日本のような、「マイナンバー制度」(国民共通番号制度)を採用している国は、見当たらないのだ。国民共通番号制を採用したが撤廃したイギリス、社会保障番号の民間利用を拡大したため「なりすまし被害対策」に必死のアメリカ、納税者IDカードとして税務以外の利用は一切禁止するドイツ、税と健康保険に留まるフランス・・・。いったいどうなっているのか。資料もいろいろ出てきたが、以下のようにまとめてみた。とくに、経過と課題の欄に注目してほしい。日本における、やがて連結される年金情報、健康保険情報などが民間にも開放されたとすると、保険会社や製薬会社などにとっては、格別の情報になってしまうのではないか。

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なぜ「マイナンバー制度」の導入を急いだのか
20161月から運用開始といい、当初は、法律をところどころ、また解説などを読んでいくと、マイナンバーが「行政の効率化、国民の利便性、公平公正な社会」のためにというけれど、今までの役所の縦割り、役所の杓子定規による市民の不便さ、生活保護費の不正受給、富裕層や法人への税優遇が、一挙に解決するとも思われない。相変わらずの役所仕事は続くだろう。ともかく番号一つで国民の個人情報をたばねて、何にでも運用し、国民のひとりひとりの人権に踏み入ろうという狙いは明らかだ。情報漏れに関しては、だれが責任をとることもなく、第三者機関による調査と再発防止をうたって、管理職が頭を下げれば、一件落着である。さらにいえば、役所や法人からのマイナンバー事業の委託や管理事業という、巨大な利権が動く。いわば「コンクリート」公共事業の頭打ちのあおりをIT産業に振り向けるための政策であったのである。 

 

生活保護費の不正受給や医療費の不正請求を取り締まることは、今のシステムだってできるはずで、やらなかっただけではないのか?軽減税率をどの範囲に決めるか?などはいわば、財政上から見ればむしろ些末的な案件であって、それよりも、法人税率を1%でも下げないこと、所得の分離課税から総合課税へ、 逆進性の税制を改めること、内部留保税の新設・・・など、「決める政治」ですぐにでもできる財源確保ではないか。それらを財源に、福祉予算の大幅増額によって、貧困、病苦、非正規雇用、少子などの悪循環を止めることができるのではないか。政府雇いの有識者からは、そんな意見がさっぱり聞こえてこない。

 

安保法制によって得をするのは誰なのか、危険にさらされるのは誰なのか。防衛予算や基地の増強は誰のためなのか。原発再稼働によって得をするのは誰なのか。安心安全な暮らしを奪われるのは誰なのか。同じような構図が見えてくる。

 

この1週間、一日2・3回、マイナンバーの問い合わせ番号0120950178に電話しているが、通じない。もうそれだけでも、私などは、先行きの不安を覚える。たださえ、高齢者をターゲットにさまざまなサギが横行する昨今、民間への利用を推進しようとする「マイナンバー」が、まるで、怪獣のように私たちに襲いかかってくるような恐怖を感じてしまうのだ。

 

 

 

<参考文献>
・「マイナンバー制度」が利権の温床に「IT公共事業」に群がる白アリども『選択』20133
・巨額血税「浪費」のマイナンバー大手IT企業が「談合」でぼろ儲け『選択』20155
・近藤倫子「医療情報の利活用をめぐる現状と課題」『情報通信をめぐる諸課題』国立国会図書館 2014

 

・黒田充(自治体情報政策研究所のブログ)
「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (1)http://blog.jjseisakuken.jp/blog/2015/04/post-d673.html
「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (2)http://blog.jjseisakuken.jp/blog/2015/04/post-5cda.html
・玉川徹ほか「そもそもマイナンバー制度は海外ではうまくいっているの?」(約17分)『そもそも総研』(テレビ朝日、20151029日)
http://www.at-douga.com/?p=14841
・猪狩典子(GLOCOM国際大学グローバルコミュニケーションセンターのHM)「ICT利用先進国デンマーク」
http://www.glocom.ac.jp/column/denmark/igari_1_1.html
・高山憲之「フランスの社会保障番号制度について」(200711月)http://cis.ier.hit-u.ac.jp/Common/pdf/dp/2007/dp344.pdf#search='%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9+%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E7%95%AA%E5%8F%B7'
・「国家情報システム(国民ID)に関する調査研究報告書―英国、フランス、イタリアなどにおける番号制度の現状」(国際社会経済研究所 20113月)http://www.i-ise.com/jp/report/pdf/rep_it_201010.pdf#search='%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2+%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E7%95%AA%E5%8F%B7'
・「諸外国における国民ID制度の現状等に関する調査研究報告書」(国際大学グローバルコミュニケーションセンター 20124月)http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h24_04_houkoku.pdf#search='%E3%83%BB%E3%80%8C%E8%AB%B8%E5%A4%96%E5%9B%BD%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%9B%BD%E6%B0%91%EF%BC%A9%EF%BC%A4%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%80%8D%EF%BC%88%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC+2012%E5%B9%B44%E6%9C%88%EF%BC%89'

 

          

 

















































































 

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